雲鳥の統べる空
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決起集会終了後。
体育祭クライマックスに男子が行う『棒倒し』の総大将が沢田に決まり、生徒たちがガヤガヤと帰り支度をしている中、先に支度を終えた京子が幸子に声をかけた。
「幸子さん、一緒に帰ろうよ」
「ごめんね。ちょっと寄るところがあるんだ」
「そっか。それなら仕方ないよね」
残念に思いながらも、京子は快く幸子を見送ってくれた。
鞄と紙袋を持った幸子の向かった先は応接室。
「あれっ、いない…」
ノックをしてドアを開けると珍しく雲雀は不在だった。校内巡回にでも出ているのだろうか。どうしても今日中に雲雀に逢いたい。
「探すしかないよね♪」
片っ端から校舎内を回ればどこかで逢えるだろう。行動あるのみ!
そんな幸子が最初に向かったのは屋上。雲雀はそこにいた。
フェンスに頬ついてぼんやりと空を見上げている。
「!……」
なぜだろう。
雲雀の横顔から目が離せない。
この胸を締め付けるような感覚は――‥
「木梨幸子。なにか用?」
気配を感じて振り返った雲雀が先に話しかけてきた。幸子はやっとの事で平静を装うと、フェンス際に立つ雲雀に近づいていった。
「探してたんだ。逢えてよかったぁ」
「探しに来なくても応接室で待ってれば確実に逢えたよ」
「あっ…!」
なぜそれを思いつかなかったのか。
「今気づいたって顔してるね」
「………うん」
かぁぁ、と頬を染めて頷いた。
ああ、このやりとり。前にもあった気がする。
「なに?」
「えっ?」
「なんの用?」
「あっ、そうだ」
持っていた紙袋を渡す。
「なんだい?」
「昨日のお礼。送ってくれてありがとう」
雲雀は特別何も言わずに紙袋を受けとり、中から可愛くラッピングされたクッキーを取り出した。
「手作り…じゃ、ないんだけど…」
「それは懸命だね」
「なっ!?」
からかうように言い、雲雀はラッピングをガサガサと開けてクッキーを頬張った。
「そこのクッキーおいしいんだよ」
「うん、悪くないね」
「よかった」
嬉しそうに微笑む幸子を雲雀が不思議そうに眺めた。
市販のクッキーを悪くないと言ったくらいでこんなに嬉しそうな顔するなんて。
でも悪い気分じゃないな。
体育祭クライマックスに男子が行う『棒倒し』の総大将が沢田に決まり、生徒たちがガヤガヤと帰り支度をしている中、先に支度を終えた京子が幸子に声をかけた。
「幸子さん、一緒に帰ろうよ」
「ごめんね。ちょっと寄るところがあるんだ」
「そっか。それなら仕方ないよね」
残念に思いながらも、京子は快く幸子を見送ってくれた。
鞄と紙袋を持った幸子の向かった先は応接室。
「あれっ、いない…」
ノックをしてドアを開けると珍しく雲雀は不在だった。校内巡回にでも出ているのだろうか。どうしても今日中に雲雀に逢いたい。
「探すしかないよね♪」
片っ端から校舎内を回ればどこかで逢えるだろう。行動あるのみ!
そんな幸子が最初に向かったのは屋上。雲雀はそこにいた。
フェンスに頬ついてぼんやりと空を見上げている。
「!……」
なぜだろう。
雲雀の横顔から目が離せない。
この胸を締め付けるような感覚は――‥
「木梨幸子。なにか用?」
気配を感じて振り返った雲雀が先に話しかけてきた。幸子はやっとの事で平静を装うと、フェンス際に立つ雲雀に近づいていった。
「探してたんだ。逢えてよかったぁ」
「探しに来なくても応接室で待ってれば確実に逢えたよ」
「あっ…!」
なぜそれを思いつかなかったのか。
「今気づいたって顔してるね」
「………うん」
かぁぁ、と頬を染めて頷いた。
ああ、このやりとり。前にもあった気がする。
「なに?」
「えっ?」
「なんの用?」
「あっ、そうだ」
持っていた紙袋を渡す。
「なんだい?」
「昨日のお礼。送ってくれてありがとう」
雲雀は特別何も言わずに紙袋を受けとり、中から可愛くラッピングされたクッキーを取り出した。
「手作り…じゃ、ないんだけど…」
「それは懸命だね」
「なっ!?」
からかうように言い、雲雀はラッピングをガサガサと開けてクッキーを頬張った。
「そこのクッキーおいしいんだよ」
「うん、悪くないね」
「よかった」
嬉しそうに微笑む幸子を雲雀が不思議そうに眺めた。
市販のクッキーを悪くないと言ったくらいでこんなに嬉しそうな顔するなんて。
でも悪い気分じゃないな。