雲鳥の統べる空
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幸子が窓を拭いていると応接室のドアがノックされた。
雲雀が「いるよ」と声をかけるとドアを開けて入って来たのは風紀委員会副委員長の草壁だった。
「委員長!」
草壁は足早に雲雀の座る執務机の前まで来ると、窓を掃除している幸子をちらりと見た。
「彼女の事は気にしなくていい」
「はっ…。実は委員長、先日の我が校の生徒が恐喝された件なのですが……」
そこで草壁は更に声を潜めた。気にしなくていいと言われたが、やはり幸子の事が気になるのだろう。
「制裁を加えた黒曜の連中が、委員長を逆恨みしているという情報を得たのです」
「だから?」
顔色を変えるでもなく雲雀が尋ねた。草壁は一瞬躊躇してしまう。
だから、気をつけるように言いに来たのだ、草壁は。おそらく彼は雲雀への忠誠心が人一倍強いのだろう。
背後でのやりとりを聞きながら幸子はそう思った。
「僕が群れた草食動物に負けるとでも?」
「いえ!まさか!?」
「話は終わりだね」
「は、はい。失礼します」
草壁はまだ何か言いたそうであったが、雲雀のそれ以上の会話を許さない雰囲気に頭を下げて退室した。
「雲雀くん……」
「君は知らなくていい事だよ」
切り出す前に先手を打たれてしまった。
それ以上何か聞く事も出来ず幸子は黙々と掃除を続けるしかなかった。
恐喝…制裁…
なにか穏やかな話ではない。
幸子はこの時初めて雲雀の裏の顔を垣間見た気がした。
―――――‥‥
それから掃除以外にも色々と雑用を言いつけられ、気がつけば外は真っ暗になっていた。時計を見れば20時近い。
「そろそろ帰るよ」
雲雀が応接室のソファーから立ち上がった。
「じゃあ、私はこれで」
「どこへ行く気?」
またも呼び止められる。まだ何か用があるのだろうか。
「どこって…家に帰ろうかなー…って」
「来て」
雲雀について校舎を出ると、連れて来られたのは教職員用の駐車場であった。
「これつけて」
渡されたのはヘルメット。
「早く乗りなよ」
前方に停まっていた大きなバイクにつかつかと歩いていきながら雲雀が言った。
バイクはあっと言う間に幸子の自宅であるマンション前に到着した。道案内せずとも、まるで雲雀は幸子の自宅を知っていたかのようにここまで送ってくれた。
「雲雀くん、送ってくれてありがとう」
ヘルメットを返しながら幸子はにっこりと微笑み、礼を述べた。
「別に。たまたま通り道だっただけだよ」
「それでも…嬉しかった」
「!」
その言葉を聞いた雲雀がまた面食らったような顔をする。
「雲雀くん?」
不思議そうに覗き込んでくる幸子に悟られないよう、雲雀はバイクに跨がった。
「じゃあね」
「うん、おやすみなさい」
バイクは加速してあっと言う間に見えなくなった。その背を見送ってから幸子は家に帰るべくマンションの玄関に入っていった。
そんな幸子の姿を見つめる数人の影……。
「おい、見たか?さっきのバイクの男…」
「ああ、間違いねー。雲雀だ」
「するってぇと、一緒にいたのは雲雀の女か?」
「へへ…。コイツは思わぬ所で運が向いてきたぜ」
男達は下品た笑みを浮かべながらその場を後にした。
雲雀が「いるよ」と声をかけるとドアを開けて入って来たのは風紀委員会副委員長の草壁だった。
「委員長!」
草壁は足早に雲雀の座る執務机の前まで来ると、窓を掃除している幸子をちらりと見た。
「彼女の事は気にしなくていい」
「はっ…。実は委員長、先日の我が校の生徒が恐喝された件なのですが……」
そこで草壁は更に声を潜めた。気にしなくていいと言われたが、やはり幸子の事が気になるのだろう。
「制裁を加えた黒曜の連中が、委員長を逆恨みしているという情報を得たのです」
「だから?」
顔色を変えるでもなく雲雀が尋ねた。草壁は一瞬躊躇してしまう。
だから、気をつけるように言いに来たのだ、草壁は。おそらく彼は雲雀への忠誠心が人一倍強いのだろう。
背後でのやりとりを聞きながら幸子はそう思った。
「僕が群れた草食動物に負けるとでも?」
「いえ!まさか!?」
「話は終わりだね」
「は、はい。失礼します」
草壁はまだ何か言いたそうであったが、雲雀のそれ以上の会話を許さない雰囲気に頭を下げて退室した。
「雲雀くん……」
「君は知らなくていい事だよ」
切り出す前に先手を打たれてしまった。
それ以上何か聞く事も出来ず幸子は黙々と掃除を続けるしかなかった。
恐喝…制裁…
なにか穏やかな話ではない。
幸子はこの時初めて雲雀の裏の顔を垣間見た気がした。
―――――‥‥
それから掃除以外にも色々と雑用を言いつけられ、気がつけば外は真っ暗になっていた。時計を見れば20時近い。
「そろそろ帰るよ」
雲雀が応接室のソファーから立ち上がった。
「じゃあ、私はこれで」
「どこへ行く気?」
またも呼び止められる。まだ何か用があるのだろうか。
「どこって…家に帰ろうかなー…って」
「来て」
雲雀について校舎を出ると、連れて来られたのは教職員用の駐車場であった。
「これつけて」
渡されたのはヘルメット。
「早く乗りなよ」
前方に停まっていた大きなバイクにつかつかと歩いていきながら雲雀が言った。
バイクはあっと言う間に幸子の自宅であるマンション前に到着した。道案内せずとも、まるで雲雀は幸子の自宅を知っていたかのようにここまで送ってくれた。
「雲雀くん、送ってくれてありがとう」
ヘルメットを返しながら幸子はにっこりと微笑み、礼を述べた。
「別に。たまたま通り道だっただけだよ」
「それでも…嬉しかった」
「!」
その言葉を聞いた雲雀がまた面食らったような顔をする。
「雲雀くん?」
不思議そうに覗き込んでくる幸子に悟られないよう、雲雀はバイクに跨がった。
「じゃあね」
「うん、おやすみなさい」
バイクは加速してあっと言う間に見えなくなった。その背を見送ってから幸子は家に帰るべくマンションの玄関に入っていった。
そんな幸子の姿を見つめる数人の影……。
「おい、見たか?さっきのバイクの男…」
「ああ、間違いねー。雲雀だ」
「するってぇと、一緒にいたのは雲雀の女か?」
「へへ…。コイツは思わぬ所で運が向いてきたぜ」
男達は下品た笑みを浮かべながらその場を後にした。