雲鳥の統べる空
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それから週に2、3回のペースで幸子は応接室へ通うようになった。
雲雀は指導の名目で幸子を呼んでいたが、実際は書類整理などの雑用をこなす事がほとんどで、生活指導など皆無であった。
今後応接室で雲雀の指導を受けるという話をした時、図書委員長も友人達もこぞって幸子の身を案じてくれた。しかし幸子には図書委員長や友人達、全校生徒がなぜそんなに雲雀を怖れているのか解らなかった。
確かに雲雀は風紀委員長でありながら最強最恐の不良だ。しかし応接室にいて手を挙げられた事はない。…意地悪な言動でからかわれる事ならあるが。
幸子は生徒達の抱く雲雀像と己の知る雲雀に随分差が出てきている事を感じていた。
「能天気な君が考え事とは珍しいね」
書類をまとめていた手が止まっている事に気づいた雲雀が、それが面白くないとでもいうように皮肉っぽい言い方をした。
「の、能天気って…」
「違うのかい?」
「………」
言い返せない代わりに軽く睨みつけるが、雲雀はさっさと日誌に視線を戻してあっさりとスルーした。
「あ、そうだ。明日からここに来れなくなるかも」
「なぜだい?」
雲雀の返答が早い。
「ほら、体育祭があるでしょ?その準備とかで少し忙しくなるから」
「そんなの他の連中に任せておけばいいよ」
なんというワガママを言うのだ、この男は。
今度は幸子がその言葉をスルーした。
「雲雀くんてクラスどこなの?私はA組だから違うチームになっちゃうね」
並盛中では縦割りで、A・B・C組に分かれてチームを作る。つまり同じ学年(と幸子は勝手に思っている)である雲雀はA組の生徒ではないので、自動的に違うチームとなるのだ。
「クラスなんてないよ。僕はいつでも好きな学年、好きなクラスだからね」
「へっ!?」
「誰も僕を常識で縛ることなんて出来ないのさ」
「………」
こんな調子だから未だに雲雀は謎が多い。
「つまんない事気にしてないで、早くその書類を整理しなよ」
「……はーい」
それから一時間かけて幸子は書類を整理した。
整理した書類をファイルに閉じて棚に収納し、幸子は雲雀を振り返った。
「雲雀くん、終わったよ」
「そう。じゃ、次は応接室の掃除をして」
「ええっ!?」
いつもならこうして1、2時間ほど雑用をすれば解放してもらえるのに…。
それに心なしか、さっきから雲雀が不機嫌そうに見える。…なにか気に障る事でも言っただろうか。
「早く始めたら?終わらなければ帰さないよ」
「っ……、うん」
結局素直に従ってしまう幸子なのであった。
雲雀は指導の名目で幸子を呼んでいたが、実際は書類整理などの雑用をこなす事がほとんどで、生活指導など皆無であった。
今後応接室で雲雀の指導を受けるという話をした時、図書委員長も友人達もこぞって幸子の身を案じてくれた。しかし幸子には図書委員長や友人達、全校生徒がなぜそんなに雲雀を怖れているのか解らなかった。
確かに雲雀は風紀委員長でありながら最強最恐の不良だ。しかし応接室にいて手を挙げられた事はない。…意地悪な言動でからかわれる事ならあるが。
幸子は生徒達の抱く雲雀像と己の知る雲雀に随分差が出てきている事を感じていた。
「能天気な君が考え事とは珍しいね」
書類をまとめていた手が止まっている事に気づいた雲雀が、それが面白くないとでもいうように皮肉っぽい言い方をした。
「の、能天気って…」
「違うのかい?」
「………」
言い返せない代わりに軽く睨みつけるが、雲雀はさっさと日誌に視線を戻してあっさりとスルーした。
「あ、そうだ。明日からここに来れなくなるかも」
「なぜだい?」
雲雀の返答が早い。
「ほら、体育祭があるでしょ?その準備とかで少し忙しくなるから」
「そんなの他の連中に任せておけばいいよ」
なんというワガママを言うのだ、この男は。
今度は幸子がその言葉をスルーした。
「雲雀くんてクラスどこなの?私はA組だから違うチームになっちゃうね」
並盛中では縦割りで、A・B・C組に分かれてチームを作る。つまり同じ学年(と幸子は勝手に思っている)である雲雀はA組の生徒ではないので、自動的に違うチームとなるのだ。
「クラスなんてないよ。僕はいつでも好きな学年、好きなクラスだからね」
「へっ!?」
「誰も僕を常識で縛ることなんて出来ないのさ」
「………」
こんな調子だから未だに雲雀は謎が多い。
「つまんない事気にしてないで、早くその書類を整理しなよ」
「……はーい」
それから一時間かけて幸子は書類を整理した。
整理した書類をファイルに閉じて棚に収納し、幸子は雲雀を振り返った。
「雲雀くん、終わったよ」
「そう。じゃ、次は応接室の掃除をして」
「ええっ!?」
いつもならこうして1、2時間ほど雑用をすれば解放してもらえるのに…。
それに心なしか、さっきから雲雀が不機嫌そうに見える。…なにか気に障る事でも言っただろうか。
「早く始めたら?終わらなければ帰さないよ」
「っ……、うん」
結局素直に従ってしまう幸子なのであった。