雲鳥の統べる空
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「ひ、雲雀くん!?」
なぜ雲雀がここに!?
そんな疑問よりも、随分近い所に雲雀の顔がある事に驚き、幸子は真っ赤になって弾かれたように雲雀から離れた。
「あ、ご、ごめんなさい」
「ホントそそっかしいね」
そんな幸子の様子を大して気にもせずに雲雀が普段の口調で言う。
「あの…助けてくれてありがとう」
「別に」
ふいと雲雀が横を向く。
「そうだっ、本が……」
自分が落とした分厚い本を拾い上げる。よかった…どこも破損していないようだ。
幸子は倒れた脚立を立てて、今度こそしっかりと分厚い本を補充する為、脚立に片足をかけた。
「貸しなよ」
「あっ…」
幸子の手から本を取ると、雲雀は脚立も使わずいとも簡単に分厚い本を棚に戻した。その行動に幸子は思わず笑顔を見せた。
「なに?」
「ううん、なんでもない。また助けられちゃったね」
「君がまた脚立から落ちたら面倒だと思っただけだよ」
物言いは素っ気ない。しかし――‥
「雲雀くんて優しいんだね」
「!」
まただ。
雲雀は目を丸くしながら思った。
幸子の口からは自分が予想もしない言葉がよく飛び出す。
怖い、冷たいと思われた事はあれど、優しいなどと思われた事はまずない。
木梨幸子…不思議な女子生徒だ。
「そういえば雲雀くんはなんで図書室に来てくれたの?」
なんで……
風紀委員長として校内巡回をしていたからだ。
しかし雲雀の頭に最初に浮かんだ答えはそれではなく。
図書室に来れば幸子に逢えると思ったから。
だけどそんな答え馬鹿げている。
それではまるで図書室に群れにきたみたいだ。
どうも幸子といると調子が狂うが、己の風紀を乱す訳にはいかない。
「もしかして本を借りに――」
「木梨幸子」
突然話を遮られて名前を呼ばれた。
「君は著しく風紀を乱す」
「……えっ?」
「また応接室に来なよ。僕が直接指導してあげる」
「指導?」
「いいね?」
「う、うん」
勢いで頷いてしまった。
しかし雲雀はその返答に満足したようで、学ランを翻すと校内巡回に戻るべく図書室を後にした。
赤ん坊のように僕をワクワクさせてくれる人間が並中にいたなんてね。これからが楽しみだ。
なぜ雲雀がここに!?
そんな疑問よりも、随分近い所に雲雀の顔がある事に驚き、幸子は真っ赤になって弾かれたように雲雀から離れた。
「あ、ご、ごめんなさい」
「ホントそそっかしいね」
そんな幸子の様子を大して気にもせずに雲雀が普段の口調で言う。
「あの…助けてくれてありがとう」
「別に」
ふいと雲雀が横を向く。
「そうだっ、本が……」
自分が落とした分厚い本を拾い上げる。よかった…どこも破損していないようだ。
幸子は倒れた脚立を立てて、今度こそしっかりと分厚い本を補充する為、脚立に片足をかけた。
「貸しなよ」
「あっ…」
幸子の手から本を取ると、雲雀は脚立も使わずいとも簡単に分厚い本を棚に戻した。その行動に幸子は思わず笑顔を見せた。
「なに?」
「ううん、なんでもない。また助けられちゃったね」
「君がまた脚立から落ちたら面倒だと思っただけだよ」
物言いは素っ気ない。しかし――‥
「雲雀くんて優しいんだね」
「!」
まただ。
雲雀は目を丸くしながら思った。
幸子の口からは自分が予想もしない言葉がよく飛び出す。
怖い、冷たいと思われた事はあれど、優しいなどと思われた事はまずない。
木梨幸子…不思議な女子生徒だ。
「そういえば雲雀くんはなんで図書室に来てくれたの?」
なんで……
風紀委員長として校内巡回をしていたからだ。
しかし雲雀の頭に最初に浮かんだ答えはそれではなく。
図書室に来れば幸子に逢えると思ったから。
だけどそんな答え馬鹿げている。
それではまるで図書室に群れにきたみたいだ。
どうも幸子といると調子が狂うが、己の風紀を乱す訳にはいかない。
「もしかして本を借りに――」
「木梨幸子」
突然話を遮られて名前を呼ばれた。
「君は著しく風紀を乱す」
「……えっ?」
「また応接室に来なよ。僕が直接指導してあげる」
「指導?」
「いいね?」
「う、うん」
勢いで頷いてしまった。
しかし雲雀はその返答に満足したようで、学ランを翻すと校内巡回に戻るべく図書室を後にした。
赤ん坊のように僕をワクワクさせてくれる人間が並中にいたなんてね。これからが楽しみだ。