真っ赤な嘘
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武闘家として良きライバルであった風と幸子。
幼き頃より切磋琢磨しあい共に武術の腕を磨いた。
そんな2人も成長するにつれ互いに互いを"ライバル"以外の目で見るようになり――いつしか恋仲へと発展していった。
「構えですが、もう少し腕をあげるといいですよ。その方が相手に付け入れられにくい」
手合わせの後、こうして風は的確なアドバイスをくれる。
「こう?」
「はい。その角度を忘れないよう体に叩き込んで下さい」
「うん。ありがとう風」
「いえ。幸子の役に立てて嬉しいです。では上がりましょうか」
ニコリと笑い、風は脱ぎ捨ておいていたチャイナ服を拾い上げにいく。幸子はタオルで汗を拭いながら、そんな風を眺めていた。
風に指導を仰ぐ事が多くなった。
手合わせしても負ける事が多くなった。
ライバルなんて関係にいたのは、もうずっと遠い昔に思えた。
風はどんどん強くなる。
自分なんてもう、追い付けないくらいの速さで。
「悔しいなぁ」
「どうしたのですか、幸子?」
幸子が何気なく呟いた言葉に、チャイナ服に袖を通していた風が即座に反応する。
「風に勝てなくて悔しい」
「勝ち負けの問題ではありませんよ。立ち向かうべくは己自身です」
「それはそうだけどさ、やっぱり悔しいの。ライバル…なんて名ばかりで」
そう口を尖らせれば、風はボタンをとめていた手を休め、困ったような笑顔で息をつく。そのまま俯く幸子に近づくと、その頬を撫で顔を上向かせる。
「ん…?」
「人にはそれぞれ成長速度というものがあります。幸子は幸子のペースで腕を磨いていけばいいのですよ」
「風…」
「鍛練していけば、幸子は確実に強くなるはずです」
風はこういう時にその場を取り繕うだけの、安易な言葉をくれたりはしない。必ず相手の為を思った発言をする。
強い上に誠実。そんな風は幸子にとって唯一無二の恋人であり。
「ですが私は――」
「へっ?」
そのまま抱きしめられる。
「幸子には、ライバルより恋人でいて欲しいのです」
「っ、風…っ!?」
「幸子を守りたい。どんなものからも、私のこの手で」
風が言葉を発する度に髪にかかる熱い吐息が幸子を芯から熱くした。
彼の一言一言に込められた想いの熱さに、自分がどれだけ愛されているのか分かる。
「幸子」
「風…」
顔を上げれば、温かく真剣なまなざし。
そこに互いの名前を呼び合う以外の言葉は必要なくて。
ゆっくりと、重なる唇。
幼き頃より切磋琢磨しあい共に武術の腕を磨いた。
そんな2人も成長するにつれ互いに互いを"ライバル"以外の目で見るようになり――いつしか恋仲へと発展していった。
「構えですが、もう少し腕をあげるといいですよ。その方が相手に付け入れられにくい」
手合わせの後、こうして風は的確なアドバイスをくれる。
「こう?」
「はい。その角度を忘れないよう体に叩き込んで下さい」
「うん。ありがとう風」
「いえ。幸子の役に立てて嬉しいです。では上がりましょうか」
ニコリと笑い、風は脱ぎ捨ておいていたチャイナ服を拾い上げにいく。幸子はタオルで汗を拭いながら、そんな風を眺めていた。
風に指導を仰ぐ事が多くなった。
手合わせしても負ける事が多くなった。
ライバルなんて関係にいたのは、もうずっと遠い昔に思えた。
風はどんどん強くなる。
自分なんてもう、追い付けないくらいの速さで。
「悔しいなぁ」
「どうしたのですか、幸子?」
幸子が何気なく呟いた言葉に、チャイナ服に袖を通していた風が即座に反応する。
「風に勝てなくて悔しい」
「勝ち負けの問題ではありませんよ。立ち向かうべくは己自身です」
「それはそうだけどさ、やっぱり悔しいの。ライバル…なんて名ばかりで」
そう口を尖らせれば、風はボタンをとめていた手を休め、困ったような笑顔で息をつく。そのまま俯く幸子に近づくと、その頬を撫で顔を上向かせる。
「ん…?」
「人にはそれぞれ成長速度というものがあります。幸子は幸子のペースで腕を磨いていけばいいのですよ」
「風…」
「鍛練していけば、幸子は確実に強くなるはずです」
風はこういう時にその場を取り繕うだけの、安易な言葉をくれたりはしない。必ず相手の為を思った発言をする。
強い上に誠実。そんな風は幸子にとって唯一無二の恋人であり。
「ですが私は――」
「へっ?」
そのまま抱きしめられる。
「幸子には、ライバルより恋人でいて欲しいのです」
「っ、風…っ!?」
「幸子を守りたい。どんなものからも、私のこの手で」
風が言葉を発する度に髪にかかる熱い吐息が幸子を芯から熱くした。
彼の一言一言に込められた想いの熱さに、自分がどれだけ愛されているのか分かる。
「幸子」
「風…」
顔を上げれば、温かく真剣なまなざし。
そこに互いの名前を呼び合う以外の言葉は必要なくて。
ゆっくりと、重なる唇。