彩虹に輝く
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「私、さっきまで並盛神社にいて…」
「ここも並盛神社だよ」
「ええっ!?」
経緯を話そうと口を開けば意外な返答。
「この場所…覚えてないかい?」
指摘されてキョロキョロと辺りを見渡してみる。
暗いが、確かに見覚えがあった。ここは――‥
「恭弥と一緒に…桜を見に来た場所」
並盛神社の裏手だ。間違いない。
ちょうど高台のようになっていて、春頃には眼下に美しい桜が咲き乱れる。
「うん。思い出したみたいだね」
「でも、こんな…っ、きゃっ!」
麓から風が吹き上げた。
季節柄、春のように桜吹雪が舞う事はないが、代わりに風と共に柔らかい香りが流れてきた。
「なんだろう?いい香りがする」
「金木犀だよ」
「キンモクセイ…」
名前は知っていたが、こんな香りとは知らなかった。
「恭弥って物識りだね」
「何言ってんの。教えてくれたのは幸子だよ」
「わ、私…っ?」
「うん」
自分はこんな知識を持つようになるのか。…なんだか嬉しい。少し気分を高揚させている幸子の髪を、雲雀は大きな手のひらで一撫でした。
「それより…空を見上げてごらん」
「空…?」
と雲雀に誘導され見上げてみると――
「うわぁ……!」
幸子は感嘆の声を洩らした。
夜空にはキラキラと輝く満天の星空。
空という空。余す所なく散りばめられた星々。溜め息が零れる程に、美しい光景だった。
「素敵……」
幸子はぎゅっと胸に手を充て呟いた。
隣に雲雀が立つ。しかし彼は星空ではなく幸子をその目に映し。
「な、なあに…っ?」
「君って本当に変わらないね」
視線を感じて尋ねれば、雲雀は全てを見透かしたようにクスリと笑う。それがまた幸子の頬を赤く染めた。
「恭弥は……変わったよ」
「そうかな。どんな風に?」
「なんか前にも増して余裕たっぷりな感じになった」
「そんな事ないよ。僕はいつでも余裕なんてないさ。幸子、君に関してはね」
「っ……!!」
ああ。なんという甘さだろう。
大人になった雲雀は本当に心臓に悪い。
耐えきれなくて視線を外し再び星空を見上げれば、背後からふわりと包まれた。
「恭弥…!」
歳を重ねても変わらない。雲雀の匂いと…自分を見つめる優しいまなざし。
「そ、そういえば、恭弥はここで何をしてたの?」
「君と一緒にいた」
「私と!? こんな所で何を…!?」
「さあ。…なんだろうね」
はぐらかすように雲雀は、幸子の左手の薬指を、己の人差し指でつつ…となぞった。
「っ、くすぐったいよ、恭弥…っ」
しかし雲雀は笑みを浮かべたまま、優しく幸子の薬指をなぞるだけだった。
そしてそれを何度か繰り返した後、静かに幸子を呼ぶ。艶のある、甘く、低い声で。
「幸子…愛してるよ」
どくりと心臓が跳ねる。
もう一度雲雀を見ようと顔を振り向かせた所で、視界は再び煙に包まれた。
「ここも並盛神社だよ」
「ええっ!?」
経緯を話そうと口を開けば意外な返答。
「この場所…覚えてないかい?」
指摘されてキョロキョロと辺りを見渡してみる。
暗いが、確かに見覚えがあった。ここは――‥
「恭弥と一緒に…桜を見に来た場所」
並盛神社の裏手だ。間違いない。
ちょうど高台のようになっていて、春頃には眼下に美しい桜が咲き乱れる。
「うん。思い出したみたいだね」
「でも、こんな…っ、きゃっ!」
麓から風が吹き上げた。
季節柄、春のように桜吹雪が舞う事はないが、代わりに風と共に柔らかい香りが流れてきた。
「なんだろう?いい香りがする」
「金木犀だよ」
「キンモクセイ…」
名前は知っていたが、こんな香りとは知らなかった。
「恭弥って物識りだね」
「何言ってんの。教えてくれたのは幸子だよ」
「わ、私…っ?」
「うん」
自分はこんな知識を持つようになるのか。…なんだか嬉しい。少し気分を高揚させている幸子の髪を、雲雀は大きな手のひらで一撫でした。
「それより…空を見上げてごらん」
「空…?」
と雲雀に誘導され見上げてみると――
「うわぁ……!」
幸子は感嘆の声を洩らした。
夜空にはキラキラと輝く満天の星空。
空という空。余す所なく散りばめられた星々。溜め息が零れる程に、美しい光景だった。
「素敵……」
幸子はぎゅっと胸に手を充て呟いた。
隣に雲雀が立つ。しかし彼は星空ではなく幸子をその目に映し。
「な、なあに…っ?」
「君って本当に変わらないね」
視線を感じて尋ねれば、雲雀は全てを見透かしたようにクスリと笑う。それがまた幸子の頬を赤く染めた。
「恭弥は……変わったよ」
「そうかな。どんな風に?」
「なんか前にも増して余裕たっぷりな感じになった」
「そんな事ないよ。僕はいつでも余裕なんてないさ。幸子、君に関してはね」
「っ……!!」
ああ。なんという甘さだろう。
大人になった雲雀は本当に心臓に悪い。
耐えきれなくて視線を外し再び星空を見上げれば、背後からふわりと包まれた。
「恭弥…!」
歳を重ねても変わらない。雲雀の匂いと…自分を見つめる優しいまなざし。
「そ、そういえば、恭弥はここで何をしてたの?」
「君と一緒にいた」
「私と!? こんな所で何を…!?」
「さあ。…なんだろうね」
はぐらかすように雲雀は、幸子の左手の薬指を、己の人差し指でつつ…となぞった。
「っ、くすぐったいよ、恭弥…っ」
しかし雲雀は笑みを浮かべたまま、優しく幸子の薬指をなぞるだけだった。
そしてそれを何度か繰り返した後、静かに幸子を呼ぶ。艶のある、甘く、低い声で。
「幸子…愛してるよ」
どくりと心臓が跳ねる。
もう一度雲雀を見ようと顔を振り向かせた所で、視界は再び煙に包まれた。