千紫万恋
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踊り場が騒がしくなった。どうやら始まったらしい。
そんな喧騒を後目(しりめ)に、裏から建物内部へ侵入したデイモンは気配を消しながら廊下を進んでいた。
普段は孤高の存在で、同じ守護者であろうとも馴れ合わないアラウディだが、互いの正義が一致した時には頼もしい味方となる。しかし今回に限っては、その限りではない。
愛する女を救う為といえば互いに意思は一致しているのだが、こうなった経緯が経緯なだけに共に行動するには障害が多すぎた。
「あそこですか…」
最奥の部屋。その前に立つ見張り番が一人。
デイモンは闇に紛れ音もなく近づくと、見張り番の背後から彼を羽交い締めにした。
「!……むぐっ…」
声を出されるより先に、見張り番の口元を皮の手袋をはめた手で塞ぐ。
「大人しく私の質問に答えなさい。そうすれば命だけは助けてあげます」
「む…むご…」
見張り番は忍び寄る死の恐怖から逃げ延びたい一心で、コクコクと縦に頷いた。
「この中に、連れ去ってきた女がいますね?」
「むご…」
縦に頷く。…肯定の意だ。
「では彼女を捕えたのはお前ですか?」
「…ぐっ…」
「答えなさい」
低い声で言えば、見張り番は縦に頷いた。直ぐにゴキッと鈍い音がして、それきり見張り番は言葉を発さなくなった。
デイモンがパッと手を放すと見張り番は崩おれ床に突っ伏した。
「幸子に触れた罪は重い。死を持って償いなさい」
事切れた見張り番を見下ろすデイモンの目には激しい怒りが宿っていた。
これで幸子は安全だ。後は任せよう、彼に。
「嫉妬します。全くもって忌々しい雲ですね」
殺意を持った大勢の人間。その中心にアラウディはいた。
「そんな手錠ひとつで何が出来る」
高見の見物を決め込んだ短髪の男が言うと、あちこちから馬鹿にしたような嘲笑が上がる。
アラウディは指で手錠をくるくると回しながら様子を伺った。ざっと700はいるだろうか。
「これで全員かい?」
「どうした?あまりの多さにビビッちまったか?」
アラウディの近くにいたマフィアが、ポケットに手を突っ込みながらニヤニヤと言った。
「全員逮捕しないと気が済まないからね」
「んだとォ…!? 出来るモンならしてみやがれ!!」
いきり立つ男がアラウディに襲いかかる。それが合図だった。
アラウディは手錠を投げ飛ばす。
「唯一の武器を投げ捨てちまっていいのかァ?」
短髪の男が笑った。瞬間。
手錠を繋ぐ紫の炎が一際大きく揺らめき、宙を飛ぶ手錠は無限に増殖した。
「なにィ!?」
手錠は各々の腕に絡みつくと同時に またもや物凄いスピードで増殖を繰り返した。
「な、なんだこれは!?」
「雲属性の特徴は"増殖"」
手錠は短髪の男を始め、そこにいる全員を捕えていた。
「言ったはずだよ。逃がさないって」
アイスブルーの瞳が、揺れた。
フィッティッツィオファミリーの残党は思い知る。
アラウディの強さを。ボンゴレ最強の守護者の力を。
「締め上げよう」
700人のマフィア達の絶叫を背に、アラウディは二階へと向かった。
そんな喧騒を後目(しりめ)に、裏から建物内部へ侵入したデイモンは気配を消しながら廊下を進んでいた。
普段は孤高の存在で、同じ守護者であろうとも馴れ合わないアラウディだが、互いの正義が一致した時には頼もしい味方となる。しかし今回に限っては、その限りではない。
愛する女を救う為といえば互いに意思は一致しているのだが、こうなった経緯が経緯なだけに共に行動するには障害が多すぎた。
「あそこですか…」
最奥の部屋。その前に立つ見張り番が一人。
デイモンは闇に紛れ音もなく近づくと、見張り番の背後から彼を羽交い締めにした。
「!……むぐっ…」
声を出されるより先に、見張り番の口元を皮の手袋をはめた手で塞ぐ。
「大人しく私の質問に答えなさい。そうすれば命だけは助けてあげます」
「む…むご…」
見張り番は忍び寄る死の恐怖から逃げ延びたい一心で、コクコクと縦に頷いた。
「この中に、連れ去ってきた女がいますね?」
「むご…」
縦に頷く。…肯定の意だ。
「では彼女を捕えたのはお前ですか?」
「…ぐっ…」
「答えなさい」
低い声で言えば、見張り番は縦に頷いた。直ぐにゴキッと鈍い音がして、それきり見張り番は言葉を発さなくなった。
デイモンがパッと手を放すと見張り番は崩おれ床に突っ伏した。
「幸子に触れた罪は重い。死を持って償いなさい」
事切れた見張り番を見下ろすデイモンの目には激しい怒りが宿っていた。
これで幸子は安全だ。後は任せよう、彼に。
「嫉妬します。全くもって忌々しい雲ですね」
殺意を持った大勢の人間。その中心にアラウディはいた。
「そんな手錠ひとつで何が出来る」
高見の見物を決め込んだ短髪の男が言うと、あちこちから馬鹿にしたような嘲笑が上がる。
アラウディは指で手錠をくるくると回しながら様子を伺った。ざっと700はいるだろうか。
「これで全員かい?」
「どうした?あまりの多さにビビッちまったか?」
アラウディの近くにいたマフィアが、ポケットに手を突っ込みながらニヤニヤと言った。
「全員逮捕しないと気が済まないからね」
「んだとォ…!? 出来るモンならしてみやがれ!!」
いきり立つ男がアラウディに襲いかかる。それが合図だった。
アラウディは手錠を投げ飛ばす。
「唯一の武器を投げ捨てちまっていいのかァ?」
短髪の男が笑った。瞬間。
手錠を繋ぐ紫の炎が一際大きく揺らめき、宙を飛ぶ手錠は無限に増殖した。
「なにィ!?」
手錠は各々の腕に絡みつくと同時に またもや物凄いスピードで増殖を繰り返した。
「な、なんだこれは!?」
「雲属性の特徴は"増殖"」
手錠は短髪の男を始め、そこにいる全員を捕えていた。
「言ったはずだよ。逃がさないって」
アイスブルーの瞳が、揺れた。
フィッティッツィオファミリーの残党は思い知る。
アラウディの強さを。ボンゴレ最強の守護者の力を。
「締め上げよう」
700人のマフィア達の絶叫を背に、アラウディは二階へと向かった。