千紫万恋
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多少不愉快ではあるが、デイモンの発言で幸子はどうやら街へ行ったらしい事が判った。
既に陽は暮れ 夜が辺りを支配していた。幸子がまだ帰らないのは明らかにおかしい。…何かあったのだ。
一刻の猶予もならない。街へ探しに行こう。
(幸子……無事で)
「幸子はフィッティッツィオファミリーのアジト跡地にいます」
「!……」
ボンゴレ本部玄関前。
門から出ようとしたアラウディを呼び止める人物。振り返ったアラウディの背後にはD・スペード。
「なんで君が幸子の居場所を知ってるの?」
「これです」
左の人差し指と中指で器用に挟んだ一枚の紙を ピラリと示す。アラウディの眉間に皺が寄せられた。
「なにそれ?」
「フィッティッツィオの生き残りから私に宛てられた手紙です。たった今 従者から受け取りました」
アラウディはそれを無言で受けとり目を通す。
手紙は簡潔だった。
『女は預かった。我が偉大なるフィッティッツィオの地で待つ。援軍を呼べば女の命はない』
「街のカフェで幸子に逢いました。どうやらそれを目撃されていたようです」
「なぜ君がフィッティッツィオの人間に狙われるんだい?」
フィッティッツィオファミリーといえば、元はボンゴレの対抗勢力と同盟を組んでいた小さな組織だ。
戦局が進む内に抵抗勢力の情報を持ってボンゴレ側に寝返り、しかし結局は抵抗勢力の報復で壊滅したと聞いている。
デイモンは暫しの間 黙ってアラウディのアイスブルーの瞳を睨めつけていた。同じくアラウディも、目を逸らす事なく鋭くデイモンを見据える。
「ヌフフフ。幸子と同じ色の瞳…しかし宿す光は全く違いますね」
「答えになってないよ」
デイモンは屈辱的とでも言わんばかりにアラウディを一睨みし…しかし己の計略の甘さが幸子を危険に曝してしまった事実に罪悪感を感じているのだろう。ゆっくりと口を開いた。
「フィッティッツィオファミリーを壊滅に追い込んだのは私なのです」
「……」
衝撃の事実を聞いてもアラウディの表情は然程変わらなかった。ある程度は予測していたのだろう。
「ねえ、そんなに無駄な犠牲を増やして何かいいことでもあるのかい?」
「無駄な犠牲ではありません。強きボンゴレの為の価値ある尊い犠牲です」
熱弁を奮うデイモンとは逆に、アラウディは冷めた瞳を向けたまま 口角を引き上げた。
それは会ってからずっとムスッと口をヘの字にしていたアラウディが、初めて笑った瞬間。しかしその笑いは氷より冷たく。
「強きボンゴレの為?…違うね。ただの君の自己満足だ」
激しい憎しみの目を向けるデイモンを一瞥し、アラウディは再び前を向いた。
これ以上、話をしていてもムダだ。それに今は一分一秒でも惜しい。
「待ちなさい。何処へ行くつもりです!?」
「そんなの分かりきっているよ」
「援軍を呼べば幸子の命はない。フィッティッツィオファミリーのアジトへは私一人で行きます」
「援軍? 僕は個人的に行くんだ。君達の事情なんて知らないね」
アラウディらしい返答。
孤高の浮き雲と謳われるアラウディがここまで個人に執着している姿など、初めて見た。
「フィッティッツィオファミリーの生き残りは100や200ではないのですよ?」
「関係ないな」
幸子は己のもの。
それを取り返しに行くのは当然。
既に陽は暮れ 夜が辺りを支配していた。幸子がまだ帰らないのは明らかにおかしい。…何かあったのだ。
一刻の猶予もならない。街へ探しに行こう。
(幸子……無事で)
「幸子はフィッティッツィオファミリーのアジト跡地にいます」
「!……」
ボンゴレ本部玄関前。
門から出ようとしたアラウディを呼び止める人物。振り返ったアラウディの背後にはD・スペード。
「なんで君が幸子の居場所を知ってるの?」
「これです」
左の人差し指と中指で器用に挟んだ一枚の紙を ピラリと示す。アラウディの眉間に皺が寄せられた。
「なにそれ?」
「フィッティッツィオの生き残りから私に宛てられた手紙です。たった今 従者から受け取りました」
アラウディはそれを無言で受けとり目を通す。
手紙は簡潔だった。
『女は預かった。我が偉大なるフィッティッツィオの地で待つ。援軍を呼べば女の命はない』
「街のカフェで幸子に逢いました。どうやらそれを目撃されていたようです」
「なぜ君がフィッティッツィオの人間に狙われるんだい?」
フィッティッツィオファミリーといえば、元はボンゴレの対抗勢力と同盟を組んでいた小さな組織だ。
戦局が進む内に抵抗勢力の情報を持ってボンゴレ側に寝返り、しかし結局は抵抗勢力の報復で壊滅したと聞いている。
デイモンは暫しの間 黙ってアラウディのアイスブルーの瞳を睨めつけていた。同じくアラウディも、目を逸らす事なく鋭くデイモンを見据える。
「ヌフフフ。幸子と同じ色の瞳…しかし宿す光は全く違いますね」
「答えになってないよ」
デイモンは屈辱的とでも言わんばかりにアラウディを一睨みし…しかし己の計略の甘さが幸子を危険に曝してしまった事実に罪悪感を感じているのだろう。ゆっくりと口を開いた。
「フィッティッツィオファミリーを壊滅に追い込んだのは私なのです」
「……」
衝撃の事実を聞いてもアラウディの表情は然程変わらなかった。ある程度は予測していたのだろう。
「ねえ、そんなに無駄な犠牲を増やして何かいいことでもあるのかい?」
「無駄な犠牲ではありません。強きボンゴレの為の価値ある尊い犠牲です」
熱弁を奮うデイモンとは逆に、アラウディは冷めた瞳を向けたまま 口角を引き上げた。
それは会ってからずっとムスッと口をヘの字にしていたアラウディが、初めて笑った瞬間。しかしその笑いは氷より冷たく。
「強きボンゴレの為?…違うね。ただの君の自己満足だ」
激しい憎しみの目を向けるデイモンを一瞥し、アラウディは再び前を向いた。
これ以上、話をしていてもムダだ。それに今は一分一秒でも惜しい。
「待ちなさい。何処へ行くつもりです!?」
「そんなの分かりきっているよ」
「援軍を呼べば幸子の命はない。フィッティッツィオファミリーのアジトへは私一人で行きます」
「援軍? 僕は個人的に行くんだ。君達の事情なんて知らないね」
アラウディらしい返答。
孤高の浮き雲と謳われるアラウディがここまで個人に執着している姿など、初めて見た。
「フィッティッツィオファミリーの生き残りは100や200ではないのですよ?」
「関係ないな」
幸子は己のもの。
それを取り返しに行くのは当然。