「今日は委員会があるの。先に帰ってて」
幸子のクラスに行くと、鞄に教科書を仕舞う彼女に開口一番言われた。
「残念ですが仕方ありませんね。わかりました」
もっと無茶を言うかと思いきや、骸は意外にあっさりと引き下がった。
「ありがとう、骸」
「いえ、礼には及びませんよ。では僕は先に失礼します」
近くにいた女子達が見とれる程にキラキラと輝いた笑顔を浮かべ、骸は教室を出て……行こうとした所で、幸子を振り返った。
「幸子」
「なあに？」
「真っ直ぐ帰って来るのですよ。いいですね？」
「う、うん」
「いい子だ」
そして今度こそ教室を後にした。