2人の雲
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煩い校舎を離れて夕暮れの校庭を歩いていると、またまた目の前に見知った顔が立ちはだかった。
「おお、見つけたぞヒバリ!」
この大声の主は、顔を見ずとも分かる。
「笹川君…」
「僕は忙しいんだ。君と関わってる暇はないよ」
くるりと踵を返す雲雀。
「聞く耳持たんのか。待てヒバリ!」
背中腰に聞こえる笹川の大声。
詳しい事情を知らない幸子でも、彼らが何をしたいか明白だった。
沢田も獄寺も山本も笹川も目的はただひとつ。雲雀の説得だ。
「ねぇ、恭弥。みんなの話…聞いてあげたらどうかな?」
校門前まで歩いて来たところで、幸子は思いきって切り出した。
彼らの言う認定試験が何なのかは知らない。
だが、あれだけ沢田たちが必死になっているのだ。見て見ぬふりをする訳にはいかない。
急に歩みを止めた雲雀が幸子に視線を投げた。いつになく鋭いまなざしに一瞬身がすくむ。
「君には関係ないよ」
その言葉に、ちくりと胸が痛んだ。
「何かあったの…?」
「別に」
雲雀の返答が冷たい。
それはまるで…モヤモヤする気持ちをぶつけてきているようで。
「何をそんなにイライラしてるの?こんなの恭弥らしくないよ」
「うるさいな。君はもう帰っていい。僕は忙しいんだ」
「っ……」
幸子は言葉を詰まらせた。代わりに目尻にじわりと滲むもの。それを悟られまいと、幸子は俯いた。
「っ、分かった。私…先に帰るね」
「!……」
やっとの事でそれだけ告げると、幸子は雲雀の顔を見ずに振り切って駆け出した。
雲雀が幸子を大切に思い、なにも事情を話さない気持ちは分かる。分かってはいても、どこかでそれを寂しく思う自分もいて。
「………」
そんな2人の様子を、校舎の上に立つアラウディが静かに見つめていた。
「おお、見つけたぞヒバリ!」
この大声の主は、顔を見ずとも分かる。
「笹川君…」
「僕は忙しいんだ。君と関わってる暇はないよ」
くるりと踵を返す雲雀。
「聞く耳持たんのか。待てヒバリ!」
背中腰に聞こえる笹川の大声。
詳しい事情を知らない幸子でも、彼らが何をしたいか明白だった。
沢田も獄寺も山本も笹川も目的はただひとつ。雲雀の説得だ。
「ねぇ、恭弥。みんなの話…聞いてあげたらどうかな?」
校門前まで歩いて来たところで、幸子は思いきって切り出した。
彼らの言う認定試験が何なのかは知らない。
だが、あれだけ沢田たちが必死になっているのだ。見て見ぬふりをする訳にはいかない。
急に歩みを止めた雲雀が幸子に視線を投げた。いつになく鋭いまなざしに一瞬身がすくむ。
「君には関係ないよ」
その言葉に、ちくりと胸が痛んだ。
「何かあったの…?」
「別に」
雲雀の返答が冷たい。
それはまるで…モヤモヤする気持ちをぶつけてきているようで。
「何をそんなにイライラしてるの?こんなの恭弥らしくないよ」
「うるさいな。君はもう帰っていい。僕は忙しいんだ」
「っ……」
幸子は言葉を詰まらせた。代わりに目尻にじわりと滲むもの。それを悟られまいと、幸子は俯いた。
「っ、分かった。私…先に帰るね」
「!……」
やっとの事でそれだけ告げると、幸子は雲雀の顔を見ずに振り切って駆け出した。
雲雀が幸子を大切に思い、なにも事情を話さない気持ちは分かる。分かってはいても、どこかでそれを寂しく思う自分もいて。
「………」
そんな2人の様子を、校舎の上に立つアラウディが静かに見つめていた。