2人の雲
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「幸子」
甘く低い声に名を呼ばれ、幸子は振り返った。そこにスーツをきっちりと着込んだ大人の男が立っていた。
雲雀によく似た面影を持つこの男を、幸子はよく知っている。
「十年後の……恭弥!?」
そう。似た面影を持つのではなく、彼は幸子の愛するその人。
十年後の雲雀とは、雲雀の誕生日に僅かな時間だが逢ったことがある。いや彼は雲雀本人なのだから、"逢った"というのは不適切か。"見た"ことがある…と言うべきだろうか。
しかし今、幸子の目の前に十年後の雲雀が現れるなど不思議なことだ。この場所には十年バズーカは存在しない。
「なんで恭弥がここに…!?」
「君に伝えたい事があってね」
薄い笑みを浮かべた雲雀が幸子に近づくと、腰に手を回して一気に己の許に引き寄せた。
「っ、恭弥っ!?」
頬を赤く染めた幸子が慌てたように彼の名を呼ぶと、雲雀はそんなのは想定済みだとばかりに受け流し、幸子の耳許に唇を寄せた。
「君を……愛している」
雲雀の言葉が耳からゆっくりと幸子の身体中に染み渡っていく――‥
そこで…目が覚めた。
時計を見ると5時を少し回ったところであった。日の出にはまだ時間があるのだろうか。室内はまだ薄暗かった。
「夢…?」
それにしてはリアルだったな。
雲雀の囁きと抱きしめられた感触が幸子の耳と身体に残っていた。まるで、今までそこに十年後の雲雀がいたようなリアルな感覚…。
ふとパジャマの襟元から人差し指を入れ、赤く刻まれた痕に触れた。昨夜雲雀につけられた、彼の所有の証。
「恭弥…」
カーテンの隙間から覗く白み始めた空を眺め、幸子はぽつりと呟いた。
甘く低い声に名を呼ばれ、幸子は振り返った。そこにスーツをきっちりと着込んだ大人の男が立っていた。
雲雀によく似た面影を持つこの男を、幸子はよく知っている。
「十年後の……恭弥!?」
そう。似た面影を持つのではなく、彼は幸子の愛するその人。
十年後の雲雀とは、雲雀の誕生日に僅かな時間だが逢ったことがある。いや彼は雲雀本人なのだから、"逢った"というのは不適切か。"見た"ことがある…と言うべきだろうか。
しかし今、幸子の目の前に十年後の雲雀が現れるなど不思議なことだ。この場所には十年バズーカは存在しない。
「なんで恭弥がここに…!?」
「君に伝えたい事があってね」
薄い笑みを浮かべた雲雀が幸子に近づくと、腰に手を回して一気に己の許に引き寄せた。
「っ、恭弥っ!?」
頬を赤く染めた幸子が慌てたように彼の名を呼ぶと、雲雀はそんなのは想定済みだとばかりに受け流し、幸子の耳許に唇を寄せた。
「君を……愛している」
雲雀の言葉が耳からゆっくりと幸子の身体中に染み渡っていく――‥
そこで…目が覚めた。
時計を見ると5時を少し回ったところであった。日の出にはまだ時間があるのだろうか。室内はまだ薄暗かった。
「夢…?」
それにしてはリアルだったな。
雲雀の囁きと抱きしめられた感触が幸子の耳と身体に残っていた。まるで、今までそこに十年後の雲雀がいたようなリアルな感覚…。
ふとパジャマの襟元から人差し指を入れ、赤く刻まれた痕に触れた。昨夜雲雀につけられた、彼の所有の証。
「恭弥…」
カーテンの隙間から覗く白み始めた空を眺め、幸子はぽつりと呟いた。