雲鳥の統べる空
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「沢田君!リボーン君!」
ドンドンとドアを叩き声を上げ、自分の存在を訴える幸子であったが、壁一枚隔てた向こう側の沢田達が気づく気配は一向になかった。それでも諦めずにドアを叩き続けていた幸子は、思わずその動きを止める。
「覚悟はいいかい?」
ふいに聞こえてきた凛とした声。
間違いない。間違いようがない。
「恭弥!」
雲雀だ!無事だったのだ!!
「良かった…恭弥……」
思わず溢す ホッとする安堵の息と熱い涙。
どうやら雲雀は骸と再戦を繰り広げているらしい。自分も…こんなところで泣いていられない。
ぐいっと涙を拭うと、幸子は壁腰に戦局を見守り始めた。
そして奇跡が起こる。
目の前のドアが破壊され、開かれたその先にはトンファーを装備した雲雀が立っていた。
俯き加減の雲雀の垂れた前髪が邪魔していて、その表情は見えない。
「っ、恭弥…!」
拭ったハズの涙がまた目尻に溜まり出す。
雲雀の顔は血と傷で痛々しく、ボロボロのワイシャツの肩口はおびただしい出血で朱に染まっていた。
思わず立ち上がり駆け寄ろうとすると、それを止めるように雲雀の低い声が聞こえた。
「…選択……」
「えっ…?」
「あんな選択……二度とするな」
「っ…!」
「僕を信じろ」
顔を上げた雲雀の、青みがかった灰色の瞳が幸子を真っ直ぐに見た。
本人にその気はないのかもしれないが、限界が近く余裕がないせいだろう。その瞳はいつになく鋭く幸子を捕らえていた。
選択――‥
その言葉が何を意味するのか…幸子はすぐに察した。
「君が今ここで僕に抱かれるというのなら……彼を解放してさしあげます。さあ、答えを聞きましょうか。"自分"と"恋人"。君はどちらを選びますか…木梨幸子」
骸の言葉が脳裏に甦る。
これ以上雲雀が傷つくのを見たくなくて、己が傷つく事を"選択"した幸子。
あの時幸子はどちらかだけでも助かる道を懸命に選んだ。だが元より雲雀の中には一択しか存在せず、既に2人とも助かる道を選んでいたのだとしたら?
…私は、彼を酷く傷つけてしまったのかもしれない。
信じろ…なんて、言うのは簡単で、実行に移すにはなんと難しい言葉だろう。
しかし雲雀は身を持ってそれを示してくれた。現に幸子の目の前には今 雲雀がいて。
選択されたのは"雲雀"でも"幸子"でもなく、雲雀が選んだ"2人"なのだから。
だからこその、"信じられる"人。
「っ、うん…っ」
頷いた途端、涙が溢れた。
「それでいい…」
その返事に満足したのか。
フッ…と優しく微笑んだ雲雀の上体がぐらりと揺れ、幸子の肩にもたれかかるようにして倒れ込んだ。
「恭弥?恭弥!」
幸子一人では雲雀を支えきれずに片膝をついてなんとか支えると、リボーンと沢田、獄寺が駆けつけてきてくれた。
「大丈夫ですか、幸子さん!ヒバリさんは!?」
「うん、私は大丈夫。でも恭弥が…早く病院に連れていかないと…!!」
「それなら心配ねーぞ。直にボンゴレの優秀な医療チームが来るからな」
「よかった……恭弥…」
倒れた雲雀の頭を膝枕した幸子が、その柔らかな黒髪を撫で言葉を詰まらせた。
「こいつ途中から無意識で戦ってたぞ。よほど 一度負けたのが悔しかったんだな」
「ヒバリさんすげー……」
「うん…本当に……」
恭弥は……すごい…。
沢田とは違う意味で幸子はそう思っていた。
「その医療チームは不要ですよ」
「!!」
全く無警戒だった。
「なぜなら…生存者はいなくなるからです」
上半身を起こした骸がこちらに何かつきつけている。それは鈍く黒光りする銃だった。
ドンドンとドアを叩き声を上げ、自分の存在を訴える幸子であったが、壁一枚隔てた向こう側の沢田達が気づく気配は一向になかった。それでも諦めずにドアを叩き続けていた幸子は、思わずその動きを止める。
「覚悟はいいかい?」
ふいに聞こえてきた凛とした声。
間違いない。間違いようがない。
「恭弥!」
雲雀だ!無事だったのだ!!
「良かった…恭弥……」
思わず溢す ホッとする安堵の息と熱い涙。
どうやら雲雀は骸と再戦を繰り広げているらしい。自分も…こんなところで泣いていられない。
ぐいっと涙を拭うと、幸子は壁腰に戦局を見守り始めた。
そして奇跡が起こる。
目の前のドアが破壊され、開かれたその先にはトンファーを装備した雲雀が立っていた。
俯き加減の雲雀の垂れた前髪が邪魔していて、その表情は見えない。
「っ、恭弥…!」
拭ったハズの涙がまた目尻に溜まり出す。
雲雀の顔は血と傷で痛々しく、ボロボロのワイシャツの肩口はおびただしい出血で朱に染まっていた。
思わず立ち上がり駆け寄ろうとすると、それを止めるように雲雀の低い声が聞こえた。
「…選択……」
「えっ…?」
「あんな選択……二度とするな」
「っ…!」
「僕を信じろ」
顔を上げた雲雀の、青みがかった灰色の瞳が幸子を真っ直ぐに見た。
本人にその気はないのかもしれないが、限界が近く余裕がないせいだろう。その瞳はいつになく鋭く幸子を捕らえていた。
選択――‥
その言葉が何を意味するのか…幸子はすぐに察した。
「君が今ここで僕に抱かれるというのなら……彼を解放してさしあげます。さあ、答えを聞きましょうか。"自分"と"恋人"。君はどちらを選びますか…木梨幸子」
骸の言葉が脳裏に甦る。
これ以上雲雀が傷つくのを見たくなくて、己が傷つく事を"選択"した幸子。
あの時幸子はどちらかだけでも助かる道を懸命に選んだ。だが元より雲雀の中には一択しか存在せず、既に2人とも助かる道を選んでいたのだとしたら?
…私は、彼を酷く傷つけてしまったのかもしれない。
信じろ…なんて、言うのは簡単で、実行に移すにはなんと難しい言葉だろう。
しかし雲雀は身を持ってそれを示してくれた。現に幸子の目の前には今 雲雀がいて。
選択されたのは"雲雀"でも"幸子"でもなく、雲雀が選んだ"2人"なのだから。
だからこその、"信じられる"人。
「っ、うん…っ」
頷いた途端、涙が溢れた。
「それでいい…」
その返事に満足したのか。
フッ…と優しく微笑んだ雲雀の上体がぐらりと揺れ、幸子の肩にもたれかかるようにして倒れ込んだ。
「恭弥?恭弥!」
幸子一人では雲雀を支えきれずに片膝をついてなんとか支えると、リボーンと沢田、獄寺が駆けつけてきてくれた。
「大丈夫ですか、幸子さん!ヒバリさんは!?」
「うん、私は大丈夫。でも恭弥が…早く病院に連れていかないと…!!」
「それなら心配ねーぞ。直にボンゴレの優秀な医療チームが来るからな」
「よかった……恭弥…」
倒れた雲雀の頭を膝枕した幸子が、その柔らかな黒髪を撫で言葉を詰まらせた。
「こいつ途中から無意識で戦ってたぞ。よほど 一度負けたのが悔しかったんだな」
「ヒバリさんすげー……」
「うん…本当に……」
恭弥は……すごい…。
沢田とは違う意味で幸子はそう思っていた。
「その医療チームは不要ですよ」
「!!」
全く無警戒だった。
「なぜなら…生存者はいなくなるからです」
上半身を起こした骸がこちらに何かつきつけている。それは鈍く黒光りする銃だった。