幸子はベッドに横たわったまま壊れた天井をぼんやりと見つめていた。
どれくらい眠っていたのだろう…。一時間にも感じられるし、10分にも感じられた。
骸の話を聞き終えた直後、さらわれてきた時と同様に眠らされてしまったのだ。
辺りを見回してみると、四畳半程の荒れ果てた狭い部屋にいる事が判った。
「恭弥…」
思わず呟く恋人の名。もちろん応える声はなく。
雲雀はどこへ連れていかれたのだろう。
大怪我を負ってしまった。早く治療しなければ、命に関わるかもしれない。
ベッドから起き上がりドアを調べるも、鍵がかかっているのか開く気配はなかった。
「？……」
ふと耳を澄ませば、ドアの向こうから骸と…それに沢田、リボーンの声が聞こえてくるではないか。
「沢田君！リボーン君！」
大声で呼んでみるも、２人が幸子に気づく気配はなかった。もしかしたらこの部屋自体が防音になっているのかもしれない。
しかし挫けている時間はない。こうしてる間にも、雲雀の命が危険に曝されているのだ。
「誰か！誰か気づいて！」
祈るような気持ちで大声を上げた。