雲鳥の統べる空
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サクラクラ病で動けない雲雀を骸の一方的な攻撃が容赦なく襲い、そして――‥
「さて、君には歯を取るまで横になっていてもらいましょうか」
意識を失った雲雀を見下ろしながら骸が薄く笑った。それから入り口に目をやり声をかける。
「起きなさい」
雲雀に伸され部屋の入り口に倒れていた黒曜生が、骸の声に反応してフラリと起き上がった。
「この男を連れて行くのです」
「はい」
まるで操られているかのようにふらふらと歩いてきた黒曜生は、無表情に雲雀を担ぎあげると、部屋を後にした。
「恭弥!!」
依然手足を拘束されソファーに座らされたままの幸子が、黒曜生に連れ去られる雲雀に向かって叫んだ。それから泣き腫らした目で骸を振り向く。
「恭弥をどこに連れて行くの!?もう充分でしょ?」
嗚咽混じりに告げる幸子の瞳にはまた涙が溢れ出す。骸のオッドアイがそんな幸子を映した。
雲雀恭弥に身も心も、全て奪われている、女。
今まで出逢う事のなかったタイプの幸子は骸にとって異質で、やけに新鮮で興味深く見えた。
「ええ、そうですね。彼は"ボンゴレ"ではなかった。だから別の場所で大人しくしていてもらうのです」
"ボンゴレ"…まただ。
「恭弥を……皆を傷つけてまであなたが探す"ボンゴレ"ってなに?」
「………」
幸子の叫びにも似た問いかけに、骸はその表情を変える事なく告げた。
「僕が探す"ボンゴレ"は、ボンゴレファミリーというマフィアのボスです」
「マフィア…?」
突拍子もない話だ。
なぜ雲雀がマフィアのボスと疑われたのか益々解らない。第一並中にマフィアのボスなどいる訳が……
「!!」
「どうやら君には、心当たりがあるようですね」
骸は幸子の僅かな表情の変化を見逃さない。
「心当たりなんてない…」
ただ思い出しただけだ。
沢田や獄寺、山本…そしてリボーンと交わす会話に、稀に"マフィア"という単語が飛び出す事を。
だが…そう、あれは遊びのはずだ。
山本がよく、"マフィアごっこ"と笑いながら話している。
何か考えるように押し黙る幸子を探るような目付きで見つめていた骸であったが、ふ…と息をついた。
「まあ いいでしょう。君に聞かずとも、"ボンゴレ"が見つかるのも時間の問題だ」
「なんで…?なんでそうまでして"ボンゴレ"にこだわるの…?」
一度外された視線が、もう一度幸子に合わせられた。束の間の静寂。
「いいでしょう。"ボンゴレ"が見つかるまでの退屈しのぎに、特別に話してさしあげましょう」
つかつかとソファーに座る幸子に近づき、その正面に立った。
「僕はかつて、自分のファミリーに人体実験のモルモットにされていたのです」
―――――‥‥
一方 気を失った雲雀は、骸に意識をコントロールされた黒曜生の手により、閉ざされた空間に幽閉されようとしていた。
担がれた雲雀のズボンから、するりと携帯が落ちる。
ゴッ…と鈍い音をたてて床に叩きつけられたそれは、衝撃で壊れ、着信もしていないのに勝手に着信音を奏で始めた。
『緑たなーびくー並盛のー♪』
辺りに響く雲雀の電話着信音である並中校歌。その着うたにじっと聴き入る小さな影がひとつ。
「さて、君には歯を取るまで横になっていてもらいましょうか」
意識を失った雲雀を見下ろしながら骸が薄く笑った。それから入り口に目をやり声をかける。
「起きなさい」
雲雀に伸され部屋の入り口に倒れていた黒曜生が、骸の声に反応してフラリと起き上がった。
「この男を連れて行くのです」
「はい」
まるで操られているかのようにふらふらと歩いてきた黒曜生は、無表情に雲雀を担ぎあげると、部屋を後にした。
「恭弥!!」
依然手足を拘束されソファーに座らされたままの幸子が、黒曜生に連れ去られる雲雀に向かって叫んだ。それから泣き腫らした目で骸を振り向く。
「恭弥をどこに連れて行くの!?もう充分でしょ?」
嗚咽混じりに告げる幸子の瞳にはまた涙が溢れ出す。骸のオッドアイがそんな幸子を映した。
雲雀恭弥に身も心も、全て奪われている、女。
今まで出逢う事のなかったタイプの幸子は骸にとって異質で、やけに新鮮で興味深く見えた。
「ええ、そうですね。彼は"ボンゴレ"ではなかった。だから別の場所で大人しくしていてもらうのです」
"ボンゴレ"…まただ。
「恭弥を……皆を傷つけてまであなたが探す"ボンゴレ"ってなに?」
「………」
幸子の叫びにも似た問いかけに、骸はその表情を変える事なく告げた。
「僕が探す"ボンゴレ"は、ボンゴレファミリーというマフィアのボスです」
「マフィア…?」
突拍子もない話だ。
なぜ雲雀がマフィアのボスと疑われたのか益々解らない。第一並中にマフィアのボスなどいる訳が……
「!!」
「どうやら君には、心当たりがあるようですね」
骸は幸子の僅かな表情の変化を見逃さない。
「心当たりなんてない…」
ただ思い出しただけだ。
沢田や獄寺、山本…そしてリボーンと交わす会話に、稀に"マフィア"という単語が飛び出す事を。
だが…そう、あれは遊びのはずだ。
山本がよく、"マフィアごっこ"と笑いながら話している。
何か考えるように押し黙る幸子を探るような目付きで見つめていた骸であったが、ふ…と息をついた。
「まあ いいでしょう。君に聞かずとも、"ボンゴレ"が見つかるのも時間の問題だ」
「なんで…?なんでそうまでして"ボンゴレ"にこだわるの…?」
一度外された視線が、もう一度幸子に合わせられた。束の間の静寂。
「いいでしょう。"ボンゴレ"が見つかるまでの退屈しのぎに、特別に話してさしあげましょう」
つかつかとソファーに座る幸子に近づき、その正面に立った。
「僕はかつて、自分のファミリーに人体実験のモルモットにされていたのです」
―――――‥‥
一方 気を失った雲雀は、骸に意識をコントロールされた黒曜生の手により、閉ざされた空間に幽閉されようとしていた。
担がれた雲雀のズボンから、するりと携帯が落ちる。
ゴッ…と鈍い音をたてて床に叩きつけられたそれは、衝撃で壊れ、着信もしていないのに勝手に着信音を奏で始めた。
『緑たなーびくー並盛のー♪』
辺りに響く雲雀の電話着信音である並中校歌。その着うたにじっと聴き入る小さな影がひとつ。