雲鳥の統べる空
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神社の裏手にきた雲雀が最初に目にしたのは、獄寺と楽しそうに話す幸子の姿だった。
己の意思とは関係なく、沸々と湧いてくる独占欲と嫉妬心。
「幸子」
なぜか慌てて立ち上がった幸子に声をかけ、ゆっくりと近づいていく。
やっぱり知らしめておく必要があるね。君が誰のものなのか―‥
「てめー ヒバリ!何しに来やがった!?」
獄寺が立ち上がり、威嚇するように雲雀に言い放つ。
ああ、間に合わなかった。迎えに行くフリをして、日を改めようと思ったのに。
しかし雲雀は特別獄寺を気にするでもなく、その横をスルリとすり抜け幸子の前に立った。
「ワオ、浴衣なんて着てきたんだ。僕の為?」
「っ、恭弥…」
「き、きょう…や!?」
頬染めた幸子が雲雀を名前で呼んだ事に、獄寺は驚きを隠せず目を丸くしている。
「違うのかい?」
「っ、それは…」
「僕以外のどの草食動物に見せるつもりだったの?」
「ち、ちが……恭弥の為…だよ…」
最後の方は、近くにいる獄寺にしか聞こえないような声で幸子が言った。
こんな所で…は、恥ずかしすぎる。
「幸子さん?」
状況を把握できないというように、京子が呼んだ。
一同が雲雀と幸子を注目している。もう後には退けない。
真っ赤になった幸子は、ドキドキと緊張しながら雲雀の隣に立つ。
「紹介するね。私の…こ、恋人…雲雀恭弥さん」
一瞬の静寂。
「ヒ、ヒバリさんーっ!?」
静寂をつんざくようにハモり響くみんなの声。
追って弾けた夜空に咲く大輪の花。
―――――‥‥
合流した雲雀と幸子は、京子や沢田達とは少し離れた場所で花火を眺めていた。
「きれい…」
雲雀と一緒に見る花火は本当にキレイで素敵だ。
「ねぇ、幸子。君、獄寺隼人と何を話していたんだい?」
「えっ?あ、うん。ちょっと…」
まさか雲雀が売り上げを持ち去ろうとした件などと言える訳もなく。
「なに?僕に言えないこと?」
「違うよ。えっと…ひ、ひったくり集団の話。捕まって良かったね」
「ふうん」
雲雀が大して関心なさそうに言った。
集金も気になるが、今はそんな事より雲雀と一緒のこの時間を満喫する方が大切で。
「恭弥」
「ん…?」
「来てくれてありがとう。みんなに恭弥を紹介できて嬉しかった」
そっと雲雀の肩に寄り添うと、雲雀は幸子の腰を引き寄せた。更に密着するように。
「チッ。なんで幸子の恋人が寄りによってヒバリなんだよ」
「獄寺さん、妬いてるんですかー?」
「うるせーアホ女!」
「まあまあ、いいじゃねーか。幸子先輩が選んだんだ。温かく見守ろうぜ」
「黙りやがれ野球バカが」
「ちょっと獄寺さん!聞き捨てならないです。ハルはアホ女じゃありません!」
ガヤガヤと騒ぐ獄寺、ハル、なだめる山本を他所に、京子は微笑みを浮かべて幸子と雲雀を見つめていた。それに気づいた沢田が声をかける。
「どうしたの?京子ちゃん」
「…幸子さん、幸せそうだなって思ってたんだ」
「うん、そうだね」
「それに…雲雀さんてあんな優しい表情するんだね」
その言葉に沢田も雲雀と幸子に視線を移した。
途端に雲雀と目と目がばっちり合った。その表情は優しさとは程遠い不機嫌そのもので。
「…なに見てんの?」
「ひぃぃぃっ。すいません!!」
夜空には、花火と一緒に沢田の悲鳴が上がったという。
雲雀の集金が、祭の開催費と神輿や神社の維持費に使われていると幸子が知るのは、数日後のお話。
己の意思とは関係なく、沸々と湧いてくる独占欲と嫉妬心。
「幸子」
なぜか慌てて立ち上がった幸子に声をかけ、ゆっくりと近づいていく。
やっぱり知らしめておく必要があるね。君が誰のものなのか―‥
「てめー ヒバリ!何しに来やがった!?」
獄寺が立ち上がり、威嚇するように雲雀に言い放つ。
ああ、間に合わなかった。迎えに行くフリをして、日を改めようと思ったのに。
しかし雲雀は特別獄寺を気にするでもなく、その横をスルリとすり抜け幸子の前に立った。
「ワオ、浴衣なんて着てきたんだ。僕の為?」
「っ、恭弥…」
「き、きょう…や!?」
頬染めた幸子が雲雀を名前で呼んだ事に、獄寺は驚きを隠せず目を丸くしている。
「違うのかい?」
「っ、それは…」
「僕以外のどの草食動物に見せるつもりだったの?」
「ち、ちが……恭弥の為…だよ…」
最後の方は、近くにいる獄寺にしか聞こえないような声で幸子が言った。
こんな所で…は、恥ずかしすぎる。
「幸子さん?」
状況を把握できないというように、京子が呼んだ。
一同が雲雀と幸子を注目している。もう後には退けない。
真っ赤になった幸子は、ドキドキと緊張しながら雲雀の隣に立つ。
「紹介するね。私の…こ、恋人…雲雀恭弥さん」
一瞬の静寂。
「ヒ、ヒバリさんーっ!?」
静寂をつんざくようにハモり響くみんなの声。
追って弾けた夜空に咲く大輪の花。
―――――‥‥
合流した雲雀と幸子は、京子や沢田達とは少し離れた場所で花火を眺めていた。
「きれい…」
雲雀と一緒に見る花火は本当にキレイで素敵だ。
「ねぇ、幸子。君、獄寺隼人と何を話していたんだい?」
「えっ?あ、うん。ちょっと…」
まさか雲雀が売り上げを持ち去ろうとした件などと言える訳もなく。
「なに?僕に言えないこと?」
「違うよ。えっと…ひ、ひったくり集団の話。捕まって良かったね」
「ふうん」
雲雀が大して関心なさそうに言った。
集金も気になるが、今はそんな事より雲雀と一緒のこの時間を満喫する方が大切で。
「恭弥」
「ん…?」
「来てくれてありがとう。みんなに恭弥を紹介できて嬉しかった」
そっと雲雀の肩に寄り添うと、雲雀は幸子の腰を引き寄せた。更に密着するように。
「チッ。なんで幸子の恋人が寄りによってヒバリなんだよ」
「獄寺さん、妬いてるんですかー?」
「うるせーアホ女!」
「まあまあ、いいじゃねーか。幸子先輩が選んだんだ。温かく見守ろうぜ」
「黙りやがれ野球バカが」
「ちょっと獄寺さん!聞き捨てならないです。ハルはアホ女じゃありません!」
ガヤガヤと騒ぐ獄寺、ハル、なだめる山本を他所に、京子は微笑みを浮かべて幸子と雲雀を見つめていた。それに気づいた沢田が声をかける。
「どうしたの?京子ちゃん」
「…幸子さん、幸せそうだなって思ってたんだ」
「うん、そうだね」
「それに…雲雀さんてあんな優しい表情するんだね」
その言葉に沢田も雲雀と幸子に視線を移した。
途端に雲雀と目と目がばっちり合った。その表情は優しさとは程遠い不機嫌そのもので。
「…なに見てんの?」
「ひぃぃぃっ。すいません!!」
夜空には、花火と一緒に沢田の悲鳴が上がったという。
雲雀の集金が、祭の開催費と神輿や神社の維持費に使われていると幸子が知るのは、数日後のお話。