デイモンの口から語られる彼の過去。
己も貴族であったが、堕落した貴族達に嫌気がさし、地位はなくとも優秀な人間が社会の中心にあるべきだと考えていた事。
そんな考えに共感した公爵の娘エレナに薦められ、ボンゴレファミリーに入った事。
ボンゴレファミリーは市民を守るという大義の下、全ての腐敗した者を正していった事。
そんなボンゴレファミリーに愛着を持ち全力で貢献したデイモンを、エレナは誇りに思い、以前よりも愛してくれた事。
しかし……
「血迷い始めたⅠ世は平和路線に切り替え、戦力を減らした。案の定手薄になった縄張りで私達は敵対勢力に狙われ…そして…エレナは……命を落とした」
幸せな時は長くは続かなかった事。
「私があの時Ⅰ世の考えをしっかりと正していれば……エレナが犠牲になることはなかった…」
デイモンが声をつまらせた。
「強くなくては弱き者どころか愛する女性(ひと)一人救えないのだ」
「！」
ぴくりと眉を動かした雲雀の幸子を抱く腕に、僅かに力が籠った。
「"弱き者の為、ボンゴレと共に"…それがエレナの願いだった。私はエレナに誓った。名を聞いただけで震えあがる程のボンゴレを創りあげることを…!!」
デイモンの目が、まるで長年の感情を吐き出すように大きく開かれた。
「強いボンゴレを創る…エレナから受け継いだ崇高な指命を遂行していた私は、"彼女"と出逢った」
先程の感情の迸りが嘘のような穏やかな声で言うと、デイモンは目を細めて幸子を振り向いた。