まずアーデルハイトが目に入った。
次いで座らされ両腕を縛られている幸子の姿を確認し、一気に体中の血が沸騰するのが判った。
「恭弥！」
「やはり来たわね、雲雀恭弥」
「咬み殺す」
雲雀の言葉に、アーデルハイトは口の端をあげた。
「やっと勝負する気になったようね」
「当然だよ。君の行動は目にあまる」
雲雀は静かにトンファーを構えた。
「ここで…終わらせよう」


―――――‥‥
雲雀とアーデルハイトの決着は、沢田綱吉の勇気ある仲裁によって落着した。
そこで新たに判明した事実がある。
鈴木アーデルハイト含む転校生７人は、シモンファミリーというマフィアだったのだ。
そして、シモンファミリーは、沢田が正式な10代目ボスになるボンゴレ継承式に招待されてきたという。
(なんだかすごい事になってきたな…)
幸子がぼんやり考えていると、どこからか飛んできたヒバードが幸子の肩にとまった。
『ユキコ ユキコ』
「ヒバード！良かった…無事だったんだね」
「自分の心配をしたら？」
いつの間にか雲雀が幸子のすぐ傍に立っていた。
雲雀はムスッとした表情で幸子を見下ろしている。…機嫌が悪そうだ。
「恭弥、あの…」
「……」
「っ、ちょ…恭弥っ」
雲雀は何も言わずに幸子を横抱きにすると、そのまま無言で屋上を後にした。