風紀vs.粛正
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雲雀恭弥は応接室から窓の外を眺めていた。
珍しく落ち着かない様子でしきりに校門のあたりを気にしている。
もう30分以上もこうしていた。
『ヒバリ ヒバリ』
「ん?」
なにか小さくて黄色いものが、部屋の中に飛び込んできた。
『ユキコ ユキコ』
それはヒバードだった。
ヒバードは幸子の名を呼びながら雲雀の頭上を旋回し始めた。
「……どこ?」
雲雀が尋ねると、ヒバードは再び窓から外に出て、今度は空をぐるぐると回った。
「ん…」
雲雀は窓から少し乗り出して校舎を見上げる。
次の瞬間、その表情に不敵な笑みを浮かべると、『風紀』腕章のついた学ランを翻し、屋上へと向かった。
「風紀を乱したらどうなるか…教えてあげるよ」
―――――‥‥
幸子はアーデルハイトと共に屋上にいた。
手を縛られ、冷たいコンクリートの床に座らされているその姿はまるで人質…。
「安心しなさい。あなたを傷つけるつもりはないわ」
アーデルハイトが口を開いた。蒼白な幸子を見兼ねたのだろう。
「あなたには、雲雀恭弥をおびきだす餌になってもらう。目的が果たせれば無傷で解放します」
やっぱり…幸子は唇を噛み締めた。
己の身などどうでもいい。それよりも雲雀の負担になるのが嫌だった。
雲雀がここに現れるのは時間の問題だろう。雲雀はそういう男だ。何だかんだ言っても幸子を愛している。
雲雀が負けるなどとは全く思っていない。
むしろ幸子のこの姿をみたら、雲雀はアーデルハイトを咬み殺してしまうかもしれない。
自分が雲雀と無関係だと判ったら、アーデルハイトは幸子を解放してくれるだろうか…。
「私を捕まえたって、き…雲雀…君、は来ません」
ああ、我ながら下手な演技だ。『雲雀君』などと呼ぶのはいつ以来だろう。
「いいえ、来るわ。あなたは雲雀恭弥の恋人でしょう?」
やはりアーデルハイトは気づいていた。
「そ、そんな事は…」
「違うとでも言うの?」
「私は……」
言い淀む幸子にとどめをさすように、アーデルハイトは彼女なりの見解を続ける。
「委員長達を倒しても雲雀恭弥は全く動じなかった。なのに応接室であなたを襲った時、凄まじい殺気を放ってきたわ。それが、雲雀恭弥にとってあなたが特別な証」
「……恭弥を挑発する目的は何ですか…?」
「私の目的は粛清委員会による並盛中学の支配」
「うそ…」
幸子はぽつりと呟いた。
自分を捕らえた事も、校舎を埋め尽くす『粛清』の文字が書かれた大きな幕も、全て風紀委員会というよりは、雲雀本人を挑発する為のものだと思えた。
幸子の呟きを聞いたアーデルハイトは、フッと笑う。
「嘘ではないわ。粛清委員長として、風紀委員長である雲雀恭弥の力量を測りたい。それだけよ」
それはつまり、雲雀を倒す気でいるという事だろう。
(恭弥……)
祈るように心の中で呟いた時、屋上の扉が開いた。
珍しく落ち着かない様子でしきりに校門のあたりを気にしている。
もう30分以上もこうしていた。
『ヒバリ ヒバリ』
「ん?」
なにか小さくて黄色いものが、部屋の中に飛び込んできた。
『ユキコ ユキコ』
それはヒバードだった。
ヒバードは幸子の名を呼びながら雲雀の頭上を旋回し始めた。
「……どこ?」
雲雀が尋ねると、ヒバードは再び窓から外に出て、今度は空をぐるぐると回った。
「ん…」
雲雀は窓から少し乗り出して校舎を見上げる。
次の瞬間、その表情に不敵な笑みを浮かべると、『風紀』腕章のついた学ランを翻し、屋上へと向かった。
「風紀を乱したらどうなるか…教えてあげるよ」
―――――‥‥
幸子はアーデルハイトと共に屋上にいた。
手を縛られ、冷たいコンクリートの床に座らされているその姿はまるで人質…。
「安心しなさい。あなたを傷つけるつもりはないわ」
アーデルハイトが口を開いた。蒼白な幸子を見兼ねたのだろう。
「あなたには、雲雀恭弥をおびきだす餌になってもらう。目的が果たせれば無傷で解放します」
やっぱり…幸子は唇を噛み締めた。
己の身などどうでもいい。それよりも雲雀の負担になるのが嫌だった。
雲雀がここに現れるのは時間の問題だろう。雲雀はそういう男だ。何だかんだ言っても幸子を愛している。
雲雀が負けるなどとは全く思っていない。
むしろ幸子のこの姿をみたら、雲雀はアーデルハイトを咬み殺してしまうかもしれない。
自分が雲雀と無関係だと判ったら、アーデルハイトは幸子を解放してくれるだろうか…。
「私を捕まえたって、き…雲雀…君、は来ません」
ああ、我ながら下手な演技だ。『雲雀君』などと呼ぶのはいつ以来だろう。
「いいえ、来るわ。あなたは雲雀恭弥の恋人でしょう?」
やはりアーデルハイトは気づいていた。
「そ、そんな事は…」
「違うとでも言うの?」
「私は……」
言い淀む幸子にとどめをさすように、アーデルハイトは彼女なりの見解を続ける。
「委員長達を倒しても雲雀恭弥は全く動じなかった。なのに応接室であなたを襲った時、凄まじい殺気を放ってきたわ。それが、雲雀恭弥にとってあなたが特別な証」
「……恭弥を挑発する目的は何ですか…?」
「私の目的は粛清委員会による並盛中学の支配」
「うそ…」
幸子はぽつりと呟いた。
自分を捕らえた事も、校舎を埋め尽くす『粛清』の文字が書かれた大きな幕も、全て風紀委員会というよりは、雲雀本人を挑発する為のものだと思えた。
幸子の呟きを聞いたアーデルハイトは、フッと笑う。
「嘘ではないわ。粛清委員長として、風紀委員長である雲雀恭弥の力量を測りたい。それだけよ」
それはつまり、雲雀を倒す気でいるという事だろう。
(恭弥……)
祈るように心の中で呟いた時、屋上の扉が開いた。