2人の雲雀
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デイモンが異空間から消えると、雲雀はすぐにスクリーンに目を移した。
勝ち誇ったような笑い声が耳に残り、雲雀をイライラさせる。スクリーンには未だ別の異空間に捕らわれた幸子が映っていた。
『恭弥!恭弥っ!!』
幸子が呼んでいる。行かなくては。
焦燥感を募らせた雲雀は、おもむろにトンファーで奇妙なトランプに覆われた壁を殴打した。なんとかここを脱け出さなくてはならない。
しかし雲雀の焦りとは裏腹に、辺りにキィィンと虚しく金属音が響くだけで、壁には傷一つ付ける事ができなかった。
『幸子』
突如スクリーンから聞こえてきた声に、再び雲雀はスクリーンを睨み付けるように見た。
この声の主は……
「D・スペード」
雲雀が吐き捨てるように呟き、ぎりっと唇を噛んだ。
『恭弥ぁっ!』
『ここだよ、幸子』
異空間に現れたデイモン。
幸子には彼が雲雀に見えているのであろう。
何の疑いもせず雲雀に化けたデイモンに走り寄っていく幸子。
「幸子!」
咄嗟に雲雀は彼女を呼び止めていた。
別の空間にいる幸子に己の声が聞こえる訳がない。それでも呼び止めずにはいられなかった。
『っ!?』
雲雀の声が届いたのか。
次の瞬間、幸子はその足を止めた。
『あ、あれ…っ?私…』
当の本人である幸子も、自分の行動の真意を計りかねているようだった。
『幸子』
そんな幸子の腕を引き強引に彼女を抱きしめるデイモン。
「!!」
怒りと焦り、独占欲と嫉妬心。
負の感情に身体が震える。
『恭…弥…?』
『……やっと……』
『えっ…?』
そして事もあろうにデイモンは、幸子と口づけを交わそうと顔を近づける。
しかし、またしても雲雀の心を無意識に感じたのか、幸子はドンッとデイモンの胸を押してそれを拒否した。
『どうしたんだい、幸子。僕を嫌いになったのかい?』
雲雀なら決して言わない弱い草食動物のようなその台詞が、己の姿で幸子に問われているかと思うと胃がムカつく。
『そんな事ない!!』
幸子は慌てて首を横に振ったが、どこか葛藤しているようにも見えた。
しばしの沈黙。
やがて幸子は、己の姿をした"それ"にそっと寄り添い告げた。
『愛してる…』
自発的に出たその言葉。
デイモンは至福の笑顔を浮かべると幸子を強く抱きしめた。
「……っ……」
雲雀が噛みしめる唇からツー…と一筋の赤が伝った。いつも涼しげなその表情はデイモンとは対照的にどこか苦しげで。
雲雀はトンファーを構えると、抑えきれない気持ちをぶつけるようにトンファーラッシュを壁に浴びせた。
ヒビすら入る気配のないその壁は、まるで雲雀を嘲笑うように目の前に立ちはだかっていた。
勝ち誇ったような笑い声が耳に残り、雲雀をイライラさせる。スクリーンには未だ別の異空間に捕らわれた幸子が映っていた。
『恭弥!恭弥っ!!』
幸子が呼んでいる。行かなくては。
焦燥感を募らせた雲雀は、おもむろにトンファーで奇妙なトランプに覆われた壁を殴打した。なんとかここを脱け出さなくてはならない。
しかし雲雀の焦りとは裏腹に、辺りにキィィンと虚しく金属音が響くだけで、壁には傷一つ付ける事ができなかった。
『幸子』
突如スクリーンから聞こえてきた声に、再び雲雀はスクリーンを睨み付けるように見た。
この声の主は……
「D・スペード」
雲雀が吐き捨てるように呟き、ぎりっと唇を噛んだ。
『恭弥ぁっ!』
『ここだよ、幸子』
異空間に現れたデイモン。
幸子には彼が雲雀に見えているのであろう。
何の疑いもせず雲雀に化けたデイモンに走り寄っていく幸子。
「幸子!」
咄嗟に雲雀は彼女を呼び止めていた。
別の空間にいる幸子に己の声が聞こえる訳がない。それでも呼び止めずにはいられなかった。
『っ!?』
雲雀の声が届いたのか。
次の瞬間、幸子はその足を止めた。
『あ、あれ…っ?私…』
当の本人である幸子も、自分の行動の真意を計りかねているようだった。
『幸子』
そんな幸子の腕を引き強引に彼女を抱きしめるデイモン。
「!!」
怒りと焦り、独占欲と嫉妬心。
負の感情に身体が震える。
『恭…弥…?』
『……やっと……』
『えっ…?』
そして事もあろうにデイモンは、幸子と口づけを交わそうと顔を近づける。
しかし、またしても雲雀の心を無意識に感じたのか、幸子はドンッとデイモンの胸を押してそれを拒否した。
『どうしたんだい、幸子。僕を嫌いになったのかい?』
雲雀なら決して言わない弱い草食動物のようなその台詞が、己の姿で幸子に問われているかと思うと胃がムカつく。
『そんな事ない!!』
幸子は慌てて首を横に振ったが、どこか葛藤しているようにも見えた。
しばしの沈黙。
やがて幸子は、己の姿をした"それ"にそっと寄り添い告げた。
『愛してる…』
自発的に出たその言葉。
デイモンは至福の笑顔を浮かべると幸子を強く抱きしめた。
「……っ……」
雲雀が噛みしめる唇からツー…と一筋の赤が伝った。いつも涼しげなその表情はデイモンとは対照的にどこか苦しげで。
雲雀はトンファーを構えると、抑えきれない気持ちをぶつけるようにトンファーラッシュを壁に浴びせた。
ヒビすら入る気配のないその壁は、まるで雲雀を嘲笑うように目の前に立ちはだかっていた。