2人の雲雀
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幻覚で作られた異空間に飛ばされた雲雀は、浮かび上がるスクリーンで一部始終を見ていた。
「くっ……!」
雲雀はきつく唇を噛みしめた。激しい怒りと底なしの悔しさが雲雀を襲っていた。
幸子を守れなかった。
デイモンのトランプに捕われる寸前の幸子の恐怖の表情、己を呼ぶ悲痛な声……もう二度と、彼女を傷つけさせないと誓ったはずなのに。
だがしかし、まだだ。
まだ決着はついていない。
一刻も早くこの異空間から脱け出し、今度こそデイモンを討つ。
「ヌフフ…」
「!」
ふいに空間が揺らぎ、スクリーンの前にデイモンが現れた。
雲雀はトンファーを構えると、デイモンを警戒しながら彼の背後のスクリーンに目を向けた。
スクリーンに映る現実世界では、沢田と古里が12の属性の力を発動させたデイモンと戦っている。
という事は、ここにいるデイモンは6人の内の一人。しかもおそらくは6人のデイモンのリーダー格…つまりは本体であると雲雀は察した。
デイモンは幸子に異常な執着を見せている。そして その恋人である雲雀と、幸子の前世とやらの恋人であったらしいアラウディに激しい憎しみを抱いている。
何を差し置いても己を潰しにくるだろう。
ならば この異空間にいる彼がデイモン本人に間違いない。
「この世界の居心地はいかがですか、雲雀恭弥?」
「最悪だね。それよりまだ決着はついてないよ」
「ヌフフフ。これ以上の戦いは無意味です。現にあなたはこの世界に閉じ込められ、私は幸子を手に入れました」
「黙れ。幸子は渡さない。君はこの世界ごと咬み殺す」
雲雀は隠しもせず殺気を放つ。
それはデイモンも同じであったが、幸子を手にしているという優越感が、デイモンに余裕を与えていた。
「吼えていなさい。どうせ幸子はもう私の手中にあるのですから」
「その減らず口、二度と叩けなくしてあげるよ」
「ヌフフ…怒りは判断を鈍らせますよ?ご覧なさい、雲雀恭弥」
デイモンがスッとスクリーンの脇に退く。いつの間にか映し出されている映像が変わっていた。
「っ…!」
一瞬それがスクリーン越しの映像である事を忘れ、雲雀は思わず駆け寄ろうとして…足を止めた。
現実世界の戦いは消え、己と同じような異空間に捕われた幸子が心細そうに映っている。
『…恭弥……』
スクリーンの中の幸子が己の名を何度も呼んでいた。
その声があまりにも切なくて、焦燥感からくるもどかしさに雲雀は胸が締め付けられた。
「私のものになったと言うのに…幸子はまだあなたの名前を呼んでいます…雲雀恭弥。主人が誰であるのか…調教し直す必要がありますね」
「!」
激しい怒りを秘めたまなざしをスクリーンからデイモンに向けた雲雀は、思わず目を大きく開き彼に見入った。
そこに立っていたのはデイモンではない。
「ですがその前に……やはりあなたには壊れて頂きましょうか、雲雀恭弥」
目の前には雲雀がいた。
「くっ……!」
雲雀はきつく唇を噛みしめた。激しい怒りと底なしの悔しさが雲雀を襲っていた。
幸子を守れなかった。
デイモンのトランプに捕われる寸前の幸子の恐怖の表情、己を呼ぶ悲痛な声……もう二度と、彼女を傷つけさせないと誓ったはずなのに。
だがしかし、まだだ。
まだ決着はついていない。
一刻も早くこの異空間から脱け出し、今度こそデイモンを討つ。
「ヌフフ…」
「!」
ふいに空間が揺らぎ、スクリーンの前にデイモンが現れた。
雲雀はトンファーを構えると、デイモンを警戒しながら彼の背後のスクリーンに目を向けた。
スクリーンに映る現実世界では、沢田と古里が12の属性の力を発動させたデイモンと戦っている。
という事は、ここにいるデイモンは6人の内の一人。しかもおそらくは6人のデイモンのリーダー格…つまりは本体であると雲雀は察した。
デイモンは幸子に異常な執着を見せている。そして その恋人である雲雀と、幸子の前世とやらの恋人であったらしいアラウディに激しい憎しみを抱いている。
何を差し置いても己を潰しにくるだろう。
ならば この異空間にいる彼がデイモン本人に間違いない。
「この世界の居心地はいかがですか、雲雀恭弥?」
「最悪だね。それよりまだ決着はついてないよ」
「ヌフフフ。これ以上の戦いは無意味です。現にあなたはこの世界に閉じ込められ、私は幸子を手に入れました」
「黙れ。幸子は渡さない。君はこの世界ごと咬み殺す」
雲雀は隠しもせず殺気を放つ。
それはデイモンも同じであったが、幸子を手にしているという優越感が、デイモンに余裕を与えていた。
「吼えていなさい。どうせ幸子はもう私の手中にあるのですから」
「その減らず口、二度と叩けなくしてあげるよ」
「ヌフフ…怒りは判断を鈍らせますよ?ご覧なさい、雲雀恭弥」
デイモンがスッとスクリーンの脇に退く。いつの間にか映し出されている映像が変わっていた。
「っ…!」
一瞬それがスクリーン越しの映像である事を忘れ、雲雀は思わず駆け寄ろうとして…足を止めた。
現実世界の戦いは消え、己と同じような異空間に捕われた幸子が心細そうに映っている。
『…恭弥……』
スクリーンの中の幸子が己の名を何度も呼んでいた。
その声があまりにも切なくて、焦燥感からくるもどかしさに雲雀は胸が締め付けられた。
「私のものになったと言うのに…幸子はまだあなたの名前を呼んでいます…雲雀恭弥。主人が誰であるのか…調教し直す必要がありますね」
「!」
激しい怒りを秘めたまなざしをスクリーンからデイモンに向けた雲雀は、思わず目を大きく開き彼に見入った。
そこに立っていたのはデイモンではない。
「ですがその前に……やはりあなたには壊れて頂きましょうか、雲雀恭弥」
目の前には雲雀がいた。