「はじめましょうか？」
トランプを取り出したデイモンの姿がそれを合図に、一瞬の内に沢田達の前へ移動した。
デイモンの手にしたトランプの絵柄は爆弾を携えたジョーカー。
爆弾が爆発した。煙が晴れると、獄寺とランボ、山本、加藤の姿はその場から消えていた。
「牢獄からＤ・スペードが来た時と同じ炎を感じた。さては、どこかへ飛ばしたな」
デイモンの口角がゆっくりと上がる。
「さすが鳥となっても六道骸。その通りです。彼らはこの穴より私の創った幻覚世界へ行って頂きました」
デイモンの手に残った三枚のカード。
先程のジョーカーは消え、代わりに不気味に巻く渦が描かれていた。
一同に衝撃が走る。
この人間離れした力は一体……。
驚愕する沢田達を冷たく見据え、デイモンは己の目的を語り出す。
「私の目的は、今まさに行われる 堕落したボンゴレの10代目候補討伐の物語を新たな伝説として、後世のボンゴレに残すことなのです。その為にも、彼らには語り部になってもらわなくてはならない。沢田綱吉の悲惨な最期を目撃し、語り継ぐ者にね」
シャイイン――‥
悦に入ったように語るデイモンを金属音と共にチェーンが襲う。デイモンはそれを予期していたかのように素早い動きで避けた。
標的を外したチェーンがカチャッとトンファーに収まる。
「語り継がれるのは君の死の方だよ」
鋭いまなざしでデイモンを捕らえた雲雀恭弥が静かに告げた。