誇り
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深い洞窟を下りていくと、その古城は突如禍々しい全貌を現した。
嫌な気配を感じ、前に立っているだけで足がすくんでしまう。
「怖いのかい?」
雲雀が安心させるように幸子の肩を抱いた。その温もりが幸子の心を落ち着かせていく。
幸子が小さく微笑んで首を横に振ると、雲雀は何も言わずにただ頷いた。
薄暗い廊下を進む。
廊下を挟んだ左右には、処狭しと扉がある。そのひとつで雲雀は足を止めた。
何か気配を感じたようだ。
「行くよ」
ガチャと扉を開けると、そこは祭壇のような大広間だった。広間の一番奥に玉座を思わせる豪華な椅子があり誰かが座っている。
その人物は半ば意識を失っているのか不気味な表情を浮かべ、なにやらうわ言を繰り返していた。
ゾッとするような光景に、幸子はそっと雲雀に寄り添った。
玉座に気を取られていて気づくのが遅れたが、自分達からわりと近くに沢田や獄寺といった見知った姿がある。
沢田達の会話が、広間に吹く生暖かい風に乗って聞こえてきた。
「あそこにいる古里はオレ達が知っている古里じゃねぇってことか…」
それは山本の声。
彼が元気な事に幸子は驚きと嬉しさを感じた。確か山本は重傷を負ったはず。元気な姿は奇跡としかいいようがない。
「こうなっちまったら話し合いは通じねぇ」
「いちかばちか力ずくでわからせるしかねーな」
リボーンの言葉に獄寺がそう結論付けた。
「待って。オレに任せてほしい。エンマのことは大丈夫」
そう言った沢田の顔は驚くほど晴れやかで。
なにかを吹っ切ったんだと感じる。
「ああっ。それなら頼んだぜ、ツナ」
「お気をつけて10代目!!」
「ありがとう!」
せっかくまとまった話に水を注すものが存在するだろうか。答えは彼らの背後にあった。
「何 言ってんの?あの小動物は僕のエモノだよ」
「き、恭弥っ!?」
「ヒ!! ヒバリさん!!」
黙って会話を聞いていた雲雀が突然口を挟んだ。
これには沢田だけではなく、幸子も思わず声を上げてしまう。そんな2人を余所に雲雀は平然と話を続けた。
「まあ だけど、君が殺されるの待っててあげるよ。その後で僕が咬み殺す」
ああ、そういう事かと幸子は表情を変えない雲雀の顔を見ながら納得した。
「んな――!? オレ…殺されるの前提ですか?」
「ヒバリてめー!! ナメたこと言ってんじゃねーぞ!!」
「まあまあ獄寺。落ち着けって」
沢田の当然すぎるツッコミと、いきり立つ獄寺、それをなだめる山本。
雲雀の言葉はおそらく不器用な彼なりの激励だ。それは幸子だけが解る雲雀の優しさ。それが嬉しくて思わず微笑んでいると、沢田が雲雀の隣に立つ幸子に声をかけてきた。
「幸子さん。意識戻ったんですね、良かった」
「うん、もう大丈夫だよ。ありがとう沢田君」
「幸子先輩。無事だったんだなっ」
「うん。山本君も怪我したって聞いたけど……元気そうで良かった」
「ハハハッ。オレの取り柄は"元気"だからな」
カラカラと笑った山本の脳裏に、デイモンにマインドコントロールされていた幸子の姿が浮かんだ。続けて甦るのは昨夜のリボーンの話。
それは獄寺も同じらしかった。
イラついた表情で雲雀に視線をぶつけると、一気に捲し立てた。
「ざけんな!! てめーなんで幸子を連れてきた!? 幸子がデイモンの野郎に狙われている事はてめーも知ってんだろうが!! もっと安全な場所に――」
「安全な場所ってどこ?」
「ヒバリてめー!!」
「やめろ獄寺」
「リ、リボーンさん!?」
リボーンには雲雀の意図、そしてその選択が解ったらしい。静かに獄寺を制した。
束の間の静寂。
幸子は自分のせいで場の空気がおかしくなってしまった事に罪悪感を覚えながらも、穏やかに微笑みながら獄寺に話しかけた。
「獄寺君、心配してくれてありがとう。でもねっ、私は大丈夫だよ。だって今、一番安全な場所にいるんだもん」
と雲雀を見る幸子の目は…雲雀を信じている、それ。
「っ……」
雲雀と幸子。2人の間に存在する絶対的な絆を感じ、獄寺は唇を噛んで顔を背けた。
「と、とにかく幸子さんが無事で本当に良かったです。だって突然意識を失ったから…その…ヒバリさんと……あの…」
「っ!!」
場を取り繕おうとして墓穴を掘ってしまった事に気づいたのか、沢田がしどろもどろになっていく。
そしてそんな沢田の言わんとしていた事が解り、幸子は思わず赤面した。
そういえばここにいるメンバーに見られているのだ、雲雀との口づけを。…今更ながらに恥ずかしさが込み上げてくる。
「ヒバリさん…すいません!じゃあ行ってきます!」
真っ赤になっている幸子に気を遣ったのか、沢田は話を切り上げると死ぬ気モードになった。
嫌な気配を感じ、前に立っているだけで足がすくんでしまう。
「怖いのかい?」
雲雀が安心させるように幸子の肩を抱いた。その温もりが幸子の心を落ち着かせていく。
幸子が小さく微笑んで首を横に振ると、雲雀は何も言わずにただ頷いた。
薄暗い廊下を進む。
廊下を挟んだ左右には、処狭しと扉がある。そのひとつで雲雀は足を止めた。
何か気配を感じたようだ。
「行くよ」
ガチャと扉を開けると、そこは祭壇のような大広間だった。広間の一番奥に玉座を思わせる豪華な椅子があり誰かが座っている。
その人物は半ば意識を失っているのか不気味な表情を浮かべ、なにやらうわ言を繰り返していた。
ゾッとするような光景に、幸子はそっと雲雀に寄り添った。
玉座に気を取られていて気づくのが遅れたが、自分達からわりと近くに沢田や獄寺といった見知った姿がある。
沢田達の会話が、広間に吹く生暖かい風に乗って聞こえてきた。
「あそこにいる古里はオレ達が知っている古里じゃねぇってことか…」
それは山本の声。
彼が元気な事に幸子は驚きと嬉しさを感じた。確か山本は重傷を負ったはず。元気な姿は奇跡としかいいようがない。
「こうなっちまったら話し合いは通じねぇ」
「いちかばちか力ずくでわからせるしかねーな」
リボーンの言葉に獄寺がそう結論付けた。
「待って。オレに任せてほしい。エンマのことは大丈夫」
そう言った沢田の顔は驚くほど晴れやかで。
なにかを吹っ切ったんだと感じる。
「ああっ。それなら頼んだぜ、ツナ」
「お気をつけて10代目!!」
「ありがとう!」
せっかくまとまった話に水を注すものが存在するだろうか。答えは彼らの背後にあった。
「何 言ってんの?あの小動物は僕のエモノだよ」
「き、恭弥っ!?」
「ヒ!! ヒバリさん!!」
黙って会話を聞いていた雲雀が突然口を挟んだ。
これには沢田だけではなく、幸子も思わず声を上げてしまう。そんな2人を余所に雲雀は平然と話を続けた。
「まあ だけど、君が殺されるの待っててあげるよ。その後で僕が咬み殺す」
ああ、そういう事かと幸子は表情を変えない雲雀の顔を見ながら納得した。
「んな――!? オレ…殺されるの前提ですか?」
「ヒバリてめー!! ナメたこと言ってんじゃねーぞ!!」
「まあまあ獄寺。落ち着けって」
沢田の当然すぎるツッコミと、いきり立つ獄寺、それをなだめる山本。
雲雀の言葉はおそらく不器用な彼なりの激励だ。それは幸子だけが解る雲雀の優しさ。それが嬉しくて思わず微笑んでいると、沢田が雲雀の隣に立つ幸子に声をかけてきた。
「幸子さん。意識戻ったんですね、良かった」
「うん、もう大丈夫だよ。ありがとう沢田君」
「幸子先輩。無事だったんだなっ」
「うん。山本君も怪我したって聞いたけど……元気そうで良かった」
「ハハハッ。オレの取り柄は"元気"だからな」
カラカラと笑った山本の脳裏に、デイモンにマインドコントロールされていた幸子の姿が浮かんだ。続けて甦るのは昨夜のリボーンの話。
それは獄寺も同じらしかった。
イラついた表情で雲雀に視線をぶつけると、一気に捲し立てた。
「ざけんな!! てめーなんで幸子を連れてきた!? 幸子がデイモンの野郎に狙われている事はてめーも知ってんだろうが!! もっと安全な場所に――」
「安全な場所ってどこ?」
「ヒバリてめー!!」
「やめろ獄寺」
「リ、リボーンさん!?」
リボーンには雲雀の意図、そしてその選択が解ったらしい。静かに獄寺を制した。
束の間の静寂。
幸子は自分のせいで場の空気がおかしくなってしまった事に罪悪感を覚えながらも、穏やかに微笑みながら獄寺に話しかけた。
「獄寺君、心配してくれてありがとう。でもねっ、私は大丈夫だよ。だって今、一番安全な場所にいるんだもん」
と雲雀を見る幸子の目は…雲雀を信じている、それ。
「っ……」
雲雀と幸子。2人の間に存在する絶対的な絆を感じ、獄寺は唇を噛んで顔を背けた。
「と、とにかく幸子さんが無事で本当に良かったです。だって突然意識を失ったから…その…ヒバリさんと……あの…」
「っ!!」
場を取り繕おうとして墓穴を掘ってしまった事に気づいたのか、沢田がしどろもどろになっていく。
そしてそんな沢田の言わんとしていた事が解り、幸子は思わず赤面した。
そういえばここにいるメンバーに見られているのだ、雲雀との口づけを。…今更ながらに恥ずかしさが込み上げてくる。
「ヒバリさん…すいません!じゃあ行ってきます!」
真っ赤になっている幸子に気を遣ったのか、沢田は話を切り上げると死ぬ気モードになった。