入江正一から語られる真相は驚きの連続だった。
今までの出来事は全て来る戦いに備えてのこと。
その為に多大なる負担(プレッシャー)をかけ、沢田や守護者達に短期間で飛躍的な成長を遂げさせようとしたこと。
「この計画は絶対バレないように、僕と10年後の綱吉君と10年後の雲雀恭弥の３人だけの秘密だったんだ」
「それであんな深夜に話し合いをしてたんだね…」
あの日の光景を思いだしながら呟く幸子に対し、入江は少々バツが悪そうにボリボリと頭を掻いた。
「そうなんだ。だから木梨さんが現れた時は本当にびっくりしたよ。雲雀君からは目が覚めないくらい君を疲れさせてきたって聞いてたから」
「ちょ…入江君！その話はおしまいで…!!」
思わぬ方向に話が行きかけ動揺したが、とにかく大体の話は分かった。
この基地でのこの状況での出会い方こそが、沢田に入江、それに雲雀。３人の設定したゴールだったのだ。そしてそれは、全て白蘭打倒の為の危険な賭け。
「君達がここに辿り着く事を第一段階だとすると、クリアすべき第二段階があるんだ。――イタリア主力戦がね」
全世界のミルフィオーレに対し、ボンゴレが総攻撃をかける。
それがイタリア主力戦だ。
「ともあれ、君達にはしばらく傷を癒してもらうつもりだ。ボンゴレ基地に戻ってね」
入江の話はその言葉で締め括られた。
「そのイタリア主力戦てヤツをクリアしねーとどーにもならねーってコトか」
「こればっかりはファミリーの力を信じて待つしかねーな」
それしかない事は頭脳明晰の獄寺にも分かっていたようで、やりきれなさを手のひらに拳を打ちつけることで抑えているようだ。
全てうまくいく。
今はそう信じて吉報を待つしかない。