或る放課後
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幸子とてそれを単なる思い付きで言ったのではなく、根拠はあった。
ここ数日、不思議な夢ばかり見るのだ。
大人になった幸子が中学時代の沢田達と一緒にいる。
大人の自分がいるならそこはつまり未来だ、と。
しかしよくよく考えると、どんなに確信を持っていても夢はやはり夢でしかなく…。夢を理由に沢田達の安否が量れるものではない。
(なんか私、安易だよね…)
そう思いちょっと落ち込む。
その時 ふいに間近で気配を感じ、座っていたソファが沈んだ。
膝に広げていた本から顔を上げると、今まで執務机に着いて仕事していた雲雀が隣に座った所だった。
「お仕事、終わったの?」
「さっきから本が一頁も進んでないね」
問いかけに対し問いかけで応えてくる雲雀。その視線が一瞬本に落とされ、直ぐに幸子へと移動した。
「ああ、ちょっとぼうっとしてたから…」
「何を考えていたんだい?」
「えっ…?」
「夢のこと?」
雲雀は鋭い。本当にいつも見透かされているようでドキリとさせられる。
それを誤魔化す為に幸子は身を寄せて自分からキスをした。
「ん、……っ」
自分から仕掛けたキスなのに、気がつけばすっかり雲雀のペースになっていた。いつの間にか口内に侵入してきた舌に舌を絡め取られ、吸われる。
徐々に力が抜けてきたせいで持っていた本を床に落としてしまったが、それを気にする余裕も幸子にはなかった。
「っ、はあ……っ」
情事の前のようなキスを終えると、雲雀は濡れた唇を幸子の首筋につけて強く吸い上げた。ちりっとした痛みがまた甘美だ。
「恭弥…?」
「しるし」
「?」
「幸子が僕のものだっていう、ね」
口角を引き上げた雲雀は、思い立ったように立ち上がった。反射的に幸子は彼の袖口を掴む。
「ん?」
「あっ…」
幸子は小さく戸惑いの声を上げた。
立ち上がっただけではないか。…なぜ、何処かに行ってしまうなどと思ったのだろう。
「ど、どこか行くの?」
「行くよ」
「何処に…?」
「ついてくれば解る」
そう言って歩きだそうとする雲雀を、もう一度呼び止めた。
「なに?」
振り返った雲雀の青みがかったグレーの瞳が幸子を映した。
「…もし、私が…沢田君達が未来にいるって本気で言っていたら……信じてくれる?」
一笑に伏されると思った。
だが雲雀は、いつものように笑うでもからかうでもなく真っ直ぐに幸子の瞳を見つめたまま、答えた。
「信じるよ」
ここ数日、不思議な夢ばかり見るのだ。
大人になった幸子が中学時代の沢田達と一緒にいる。
大人の自分がいるならそこはつまり未来だ、と。
しかしよくよく考えると、どんなに確信を持っていても夢はやはり夢でしかなく…。夢を理由に沢田達の安否が量れるものではない。
(なんか私、安易だよね…)
そう思いちょっと落ち込む。
その時 ふいに間近で気配を感じ、座っていたソファが沈んだ。
膝に広げていた本から顔を上げると、今まで執務机に着いて仕事していた雲雀が隣に座った所だった。
「お仕事、終わったの?」
「さっきから本が一頁も進んでないね」
問いかけに対し問いかけで応えてくる雲雀。その視線が一瞬本に落とされ、直ぐに幸子へと移動した。
「ああ、ちょっとぼうっとしてたから…」
「何を考えていたんだい?」
「えっ…?」
「夢のこと?」
雲雀は鋭い。本当にいつも見透かされているようでドキリとさせられる。
それを誤魔化す為に幸子は身を寄せて自分からキスをした。
「ん、……っ」
自分から仕掛けたキスなのに、気がつけばすっかり雲雀のペースになっていた。いつの間にか口内に侵入してきた舌に舌を絡め取られ、吸われる。
徐々に力が抜けてきたせいで持っていた本を床に落としてしまったが、それを気にする余裕も幸子にはなかった。
「っ、はあ……っ」
情事の前のようなキスを終えると、雲雀は濡れた唇を幸子の首筋につけて強く吸い上げた。ちりっとした痛みがまた甘美だ。
「恭弥…?」
「しるし」
「?」
「幸子が僕のものだっていう、ね」
口角を引き上げた雲雀は、思い立ったように立ち上がった。反射的に幸子は彼の袖口を掴む。
「ん?」
「あっ…」
幸子は小さく戸惑いの声を上げた。
立ち上がっただけではないか。…なぜ、何処かに行ってしまうなどと思ったのだろう。
「ど、どこか行くの?」
「行くよ」
「何処に…?」
「ついてくれば解る」
そう言って歩きだそうとする雲雀を、もう一度呼び止めた。
「なに?」
振り返った雲雀の青みがかったグレーの瞳が幸子を映した。
「…もし、私が…沢田君達が未来にいるって本気で言っていたら……信じてくれる?」
一笑に伏されると思った。
だが雲雀は、いつものように笑うでもからかうでもなく真っ直ぐに幸子の瞳を見つめたまま、答えた。
「信じるよ」