絶対的遮断力を持った雲の炎を混合した密閉球体――それが『球針態』
歴代ボスが超えてきたボンゴレの試練を 沢田は己の意志と覚悟を示す事で、見事に乗り越えた。
そして始まるは凄まじい殺気を炎に宿した雲雀との闘い。
この闘いにルールはない。沢田が選べるのは、雲雀に勝つか……死ぬかのみ。


―――――‥‥
「匣がどうやってできたのか知っているの？」
沢田の機転により持ち越しという形で決着がついた後――雲雀がゆっくりと口を開いた。
匣を設計したのは４世紀前の生物学者ジェペット・ロレンツィニ。
そこに書かれていた空論を再現しようと動いたのが３人の発明家だった。
彼らはわずか５年で匣のプロトタイプを完成させ、更に新しいタイプの匣を発明・開発した。
その後、３人の発明家の内唯一の生き残りケーニッヒは今でも匣の研究を続け、できたものを闇の武器商人に流しているという。
だが、匣を現在に成り立たせた本当の立役者は、実はジェペットでも優秀な科学者でもない。
「偶然だ」
不敵な笑みを湛えた雲雀が言った。
そう、現在風紀財団が調査しているのは、この匣についてなのだ。
「知るほどに謎は深まるばかりでね」
雲雀は最後にそう話を締め括った。そして踵を返す。
「沢田綱吉。明日も楽しませてくれよ」
コツコツと足音を響かせて、雲雀は訓練施設を後にした。