束の間の休息
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屋上へと続く扉を開けると――手すりに肘をつき、空の雲を眺めている見知った背中。
コツコツと靴音を立てて近づけば、彼女はこちらを振り返って嬉しそうに笑む。
「幸子」
「恭弥…!」
幸子の立つ場所まで歩いていくと、嬉しそうに己を見ていた幸子のそれが 悪戯っぽい表情に変わる。
「ちゃんと来られるか心配しちゃった」
「僕をみくびらない事だね、幸子」
「ふふっ。そうだねっ。ねっ、面白かった?」
「案外楽しめたよ」
「そっか。良かった」
幸子はホッとしたように言った。
ボンゴレ狩りがおこなわれているようなこんな物騒な時に 行き先も告げず 勝手にアジトを出たことを、もっと雲雀に咎められると思っていたのだろう。
「待ち合わせは済んだね。これから何処に行きたいんだい?」
尋ねれば、幸子はゆっくりと首を横に振った。
「これでお出掛けは終わりっ。アジトに帰ろう?」
「帰る?」
「うんっ。恭弥はちゃんと来てくれた。私を見つけてくれた……それだけで充分」
「……」
今の状況を リボーンから幾らかは聞いているのだろう。
この外出に多少なりとも危険が伴っていることを、幸子は理解しているのだ。そして己の気持ちも。
だからこそ、この女を愛しく想う気持ちは強く。
雲雀は さらりと幸子の頬を撫でると、そのまま唇を重ねた。
「んっ……!」
突然のキスに驚く幸子だったが、口内に侵入してきた雲雀の舌に、すぐに何も考えられなくなった。
ちゅくっ…と聞こえる水音に聴覚が犯され、脳が痺れていく。いつの間にか幸子は雲雀に抱きしめられており、背中に回された彼の腕によって支えられていた。
「っ、は……な…に?」
激しい口づけから解放されたあと、幸子は息を乱し潤んだ瞳を向けながら目の前の雲雀に問いかける。
雲雀は涼しい顔で言った。
「幸子の願いを叶えただけさ」
「願い…?」
「Per favore mi faccia tacere col Suo labbro」
雲雀の口から流暢なイタリア語が流れる。
それは指令3に幸子が用いた文章。
「望み通り、僕の唇で君を黙らせてあげたよ」
「――っ?!」
ああ、なんという人なんだろう。
やはり雲雀は十枚も百枚も上手だ。
「そういう意味で書いたんじゃないっ」
「じゃあどういう意味で書いたの?」
「たまたま素敵な文章だなって思ったからチョイスしたのっ」
「ふうん。願望が無意識に表に出たんだね」
「なっ…!?」
「いい加減 素直になりなよ」
真っ赤な顔で睨みつければ、雲雀は不敵な笑みを浮かべたまま。その内に思わず吹き出してしまった。
「ねっ、恭弥。約束っ」
「ん?」
「今度、星のキレイな場所に2人で行こう?」
「いいよ」
全てが終わったら。必ず。
コツコツと靴音を立てて近づけば、彼女はこちらを振り返って嬉しそうに笑む。
「幸子」
「恭弥…!」
幸子の立つ場所まで歩いていくと、嬉しそうに己を見ていた幸子のそれが 悪戯っぽい表情に変わる。
「ちゃんと来られるか心配しちゃった」
「僕をみくびらない事だね、幸子」
「ふふっ。そうだねっ。ねっ、面白かった?」
「案外楽しめたよ」
「そっか。良かった」
幸子はホッとしたように言った。
ボンゴレ狩りがおこなわれているようなこんな物騒な時に 行き先も告げず 勝手にアジトを出たことを、もっと雲雀に咎められると思っていたのだろう。
「待ち合わせは済んだね。これから何処に行きたいんだい?」
尋ねれば、幸子はゆっくりと首を横に振った。
「これでお出掛けは終わりっ。アジトに帰ろう?」
「帰る?」
「うんっ。恭弥はちゃんと来てくれた。私を見つけてくれた……それだけで充分」
「……」
今の状況を リボーンから幾らかは聞いているのだろう。
この外出に多少なりとも危険が伴っていることを、幸子は理解しているのだ。そして己の気持ちも。
だからこそ、この女を愛しく想う気持ちは強く。
雲雀は さらりと幸子の頬を撫でると、そのまま唇を重ねた。
「んっ……!」
突然のキスに驚く幸子だったが、口内に侵入してきた雲雀の舌に、すぐに何も考えられなくなった。
ちゅくっ…と聞こえる水音に聴覚が犯され、脳が痺れていく。いつの間にか幸子は雲雀に抱きしめられており、背中に回された彼の腕によって支えられていた。
「っ、は……な…に?」
激しい口づけから解放されたあと、幸子は息を乱し潤んだ瞳を向けながら目の前の雲雀に問いかける。
雲雀は涼しい顔で言った。
「幸子の願いを叶えただけさ」
「願い…?」
「Per favore mi faccia tacere col Suo labbro」
雲雀の口から流暢なイタリア語が流れる。
それは指令3に幸子が用いた文章。
「望み通り、僕の唇で君を黙らせてあげたよ」
「――っ?!」
ああ、なんという人なんだろう。
やはり雲雀は十枚も百枚も上手だ。
「そういう意味で書いたんじゃないっ」
「じゃあどういう意味で書いたの?」
「たまたま素敵な文章だなって思ったからチョイスしたのっ」
「ふうん。願望が無意識に表に出たんだね」
「なっ…!?」
「いい加減 素直になりなよ」
真っ赤な顔で睨みつければ、雲雀は不敵な笑みを浮かべたまま。その内に思わず吹き出してしまった。
「ねっ、恭弥。約束っ」
「ん?」
「今度、星のキレイな場所に2人で行こう?」
「いいよ」
全てが終わったら。必ず。