武術と幻術
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「ヒヒッ。約束を破ってしまいましたね。木梨幸子さん。
あれだけ雲雀さんがダメを押したのに。ヒハッ」
尾道の言葉がいつまでも幸子の耳にこだましていた。
彼に指摘され、初めて自分がしてしまった重大な過ちに気づかされた。
「恭弥…」
『代理戦争中、僕の傍を離れないで』
雲雀と交わした約束。
自分はそれを知らない内に破ってしまったのだ。
胸が…苦しい。
早く雲雀の許へ戻らなければ。
「幸子か?」
「!」
ふい打ちで背後からかけられた声に飛び上がる程に驚き振り返れば…そこには良く知る顔。
「ディーノさん!?」
「こんな所でどーした?恭弥は一緒じゃねーのか?」
雲雀の標的(ターゲット)であるディーノが両膝に両手を充てて屈みこみ、いつもの屈託ない笑顔で幸子を見ていた。
「恭弥と一緒です。ここへはディーノさんを探しに来たんです」
正直に答えれば、ディーノは「やっぱりな」と頭を掻いた。
「んで、肝心の恭弥は何処に行っちまったんだ?」
「恭弥なら――あっ!」
「ど、どーした幸子!?」
突然大きな声を上げた幸子を落ち着かせようと手を伸ばせば、幸子は怯えるようにその手を避けた。
「幸子?」
「あ……」
明らかに様子がおかしい。
驚きつつも幸子を伺えば、彼女は左手首をおさえて青ざめた顔をしていた。
幸子の左手首にはバトラーウォッチ。
「?……幸子。お前まさか…!?」
ようやく彼女が怯える理由が判った。
お互い別々のアルコバレーノの代理人。そして今は戦闘時間。それが意味するもの。
「俺はいつでも幸子の味方だぜ」
「!……っ」
ディーノは幸子を安心させるよう、極めて明るい口調で話しかけた。
「オレが幸子のバトラーウォッチを壊す訳ねーだろ?」
幸子は葛藤するようにディーノの笑顔を黙って見つめていたが、やがて縦に頷いた。
そんな幸子の髪を、ディーノはいつもそうするように くしゃりと撫でた。
「良い子だ。それじゃ、安心して恭弥の居場所を教えてくれ」
「風さんと一緒に、エレベーターで最上階に行きました」
「最上階か……そいつはヤバイな」
「…えっ?」
「このホテルに宿泊してるのは俺だけじゃねー。マーモンチームも滞在してるんだ」
「マーモンチーム…?」
繰り返すと、ディーノは言い方を少し咀嚼した。
「マーモンと代理であるヴァリアーのチームだ」
「…そ、それじゃあ恭弥が向かったのって…」
「ああ、ヴァリアーの泊まる最上階だ」
「!」
再び青ざめた幸子に向かいディーノは手を差し伸べた。
「立てるか?」
「は、はい……」
「恭弥の所に行くぜ」
ディーノが不敵に笑った。
あれだけ雲雀さんがダメを押したのに。ヒハッ」
尾道の言葉がいつまでも幸子の耳にこだましていた。
彼に指摘され、初めて自分がしてしまった重大な過ちに気づかされた。
「恭弥…」
『代理戦争中、僕の傍を離れないで』
雲雀と交わした約束。
自分はそれを知らない内に破ってしまったのだ。
胸が…苦しい。
早く雲雀の許へ戻らなければ。
「幸子か?」
「!」
ふい打ちで背後からかけられた声に飛び上がる程に驚き振り返れば…そこには良く知る顔。
「ディーノさん!?」
「こんな所でどーした?恭弥は一緒じゃねーのか?」
雲雀の標的(ターゲット)であるディーノが両膝に両手を充てて屈みこみ、いつもの屈託ない笑顔で幸子を見ていた。
「恭弥と一緒です。ここへはディーノさんを探しに来たんです」
正直に答えれば、ディーノは「やっぱりな」と頭を掻いた。
「んで、肝心の恭弥は何処に行っちまったんだ?」
「恭弥なら――あっ!」
「ど、どーした幸子!?」
突然大きな声を上げた幸子を落ち着かせようと手を伸ばせば、幸子は怯えるようにその手を避けた。
「幸子?」
「あ……」
明らかに様子がおかしい。
驚きつつも幸子を伺えば、彼女は左手首をおさえて青ざめた顔をしていた。
幸子の左手首にはバトラーウォッチ。
「?……幸子。お前まさか…!?」
ようやく彼女が怯える理由が判った。
お互い別々のアルコバレーノの代理人。そして今は戦闘時間。それが意味するもの。
「俺はいつでも幸子の味方だぜ」
「!……っ」
ディーノは幸子を安心させるよう、極めて明るい口調で話しかけた。
「オレが幸子のバトラーウォッチを壊す訳ねーだろ?」
幸子は葛藤するようにディーノの笑顔を黙って見つめていたが、やがて縦に頷いた。
そんな幸子の髪を、ディーノはいつもそうするように くしゃりと撫でた。
「良い子だ。それじゃ、安心して恭弥の居場所を教えてくれ」
「風さんと一緒に、エレベーターで最上階に行きました」
「最上階か……そいつはヤバイな」
「…えっ?」
「このホテルに宿泊してるのは俺だけじゃねー。マーモンチームも滞在してるんだ」
「マーモンチーム…?」
繰り返すと、ディーノは言い方を少し咀嚼した。
「マーモンと代理であるヴァリアーのチームだ」
「…そ、それじゃあ恭弥が向かったのって…」
「ああ、ヴァリアーの泊まる最上階だ」
「!」
再び青ざめた幸子に向かいディーノは手を差し伸べた。
「立てるか?」
「は、はい……」
「恭弥の所に行くぜ」
ディーノが不敵に笑った。