2日目開戦‼︎
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「37階だよね。次のエレベーターですぐ行くから」
そう言い残してエレベーターを降りた幸子は、歩いて来た廊下を足早に引き返した。
そして間もなく目的の人物を発見する。
「居た…っ!」
幸子の視線の先には一人の男。
ここがホテルの廊下であるのも構わず、こちらに背を向け胡座をかいて座っている。
かいた胡座の上にはアタッシュケースが乗せられており、そこにだらんとした両手と上体を預けて突っ伏していた。
そう。これこそが幸子が気になっていた事。雲雀に連れられ側を通った時から彼はこの体勢でここに座っていた。
具合でも悪いのだろうか…?
そう思うともう、いても立ってもいられなくなり。
幸子はそっと男に近づき背後から声をかけた。
「(やっぱり体調が優れないのかな)…あの、大丈夫ですか?」
「……」
何も応えない。
もしかして話せないほど体調が悪いのかと心配になり、もう一度話しかけようとした所で、男がバッと頭を上げた。
「大丈夫です。何も問題ありませんよ。ヘヘッ」
「――!?」
一瞬背筋がぞわりとした。
帽子を被ったこの男――後頭部だけで顔は見えないが、幸子は彼を知っている気がした。
(ううん、違う。この人を知ってるんじゃない。この"声"に聞き覚えがあるんだ…!)
ティリリリ!!!
『バトル開始1分前!』
「!」
その時、時計からバトル開始を告げる音声が鳴り響いた。
「ど、どうしよう…こんな時に…」
「ヒヒッ。約束を破ってしまいましたね。木梨幸子さん」
「!!」
「あれだけ雲雀さんがダメを押したのに。ヒハッ」
「な、なんでそれを…!?」
なぜ彼が雲雀と交わした約束を知っているのか。それ以前になぜ自分達の事を知っているのか。しかし今はそこまで気にする余裕もなく。
「ここにはあなたの敵がうようよ居ます。一人で何処まで戦えるのか見物です。ヒヒヒヒッ」
この独特な笑い方…
もしかしてこの人は――!?
「尾道さん!?」
「ヒヒッ。武運を祈ってます。では!」
アタッシュケースを持ってスクッと立ち上がり、こちらを振り向いた尾道は、ニカッと笑うと物凄いスピードで走り去っていった。
あとに残された幸子は愕然としてその後ろ姿を見守っていた。
尾道がなぜこんな事をしたのかは分からない。
いや、まずはそれを考えるより先に早く37階に行かなくては。
戦闘が始まってしまう。
「恭弥…」
幸子は苦しそうにぎゅっと胸に手を宛て、絞り出すように小さく呟いた。
あれだけ言いつけられていたのに。雲雀から離れてしまった。
さっきまで感じなかったその事実を、幸子は今になって嫌という程実感していた。
そんな幸子には、背後に近づく人影に気づく余裕はなかった。
そう言い残してエレベーターを降りた幸子は、歩いて来た廊下を足早に引き返した。
そして間もなく目的の人物を発見する。
「居た…っ!」
幸子の視線の先には一人の男。
ここがホテルの廊下であるのも構わず、こちらに背を向け胡座をかいて座っている。
かいた胡座の上にはアタッシュケースが乗せられており、そこにだらんとした両手と上体を預けて突っ伏していた。
そう。これこそが幸子が気になっていた事。雲雀に連れられ側を通った時から彼はこの体勢でここに座っていた。
具合でも悪いのだろうか…?
そう思うともう、いても立ってもいられなくなり。
幸子はそっと男に近づき背後から声をかけた。
「(やっぱり体調が優れないのかな)…あの、大丈夫ですか?」
「……」
何も応えない。
もしかして話せないほど体調が悪いのかと心配になり、もう一度話しかけようとした所で、男がバッと頭を上げた。
「大丈夫です。何も問題ありませんよ。ヘヘッ」
「――!?」
一瞬背筋がぞわりとした。
帽子を被ったこの男――後頭部だけで顔は見えないが、幸子は彼を知っている気がした。
(ううん、違う。この人を知ってるんじゃない。この"声"に聞き覚えがあるんだ…!)
ティリリリ!!!
『バトル開始1分前!』
「!」
その時、時計からバトル開始を告げる音声が鳴り響いた。
「ど、どうしよう…こんな時に…」
「ヒヒッ。約束を破ってしまいましたね。木梨幸子さん」
「!!」
「あれだけ雲雀さんがダメを押したのに。ヒハッ」
「な、なんでそれを…!?」
なぜ彼が雲雀と交わした約束を知っているのか。それ以前になぜ自分達の事を知っているのか。しかし今はそこまで気にする余裕もなく。
「ここにはあなたの敵がうようよ居ます。一人で何処まで戦えるのか見物です。ヒヒヒヒッ」
この独特な笑い方…
もしかしてこの人は――!?
「尾道さん!?」
「ヒヒッ。武運を祈ってます。では!」
アタッシュケースを持ってスクッと立ち上がり、こちらを振り向いた尾道は、ニカッと笑うと物凄いスピードで走り去っていった。
あとに残された幸子は愕然としてその後ろ姿を見守っていた。
尾道がなぜこんな事をしたのかは分からない。
いや、まずはそれを考えるより先に早く37階に行かなくては。
戦闘が始まってしまう。
「恭弥…」
幸子は苦しそうにぎゅっと胸に手を宛て、絞り出すように小さく呟いた。
あれだけ言いつけられていたのに。雲雀から離れてしまった。
さっきまで感じなかったその事実を、幸子は今になって嫌という程実感していた。
そんな幸子には、背後に近づく人影に気づく余裕はなかった。