開いた扉の前に立っていたのは、ボンゴレ暗殺部隊として名高いヴァリアーだった。
マーモンが一緒にいる所を見ると、彼らがマーモンの代理で間違いないだろう。
最上階フロアでエレベーターを待っていたヴァリアーは、雲雀と風が現れ意外そうな表情を見せていたが、直ぐに不敵なそれに変化した。
「う゛ぉ゛ぉい。これから出向こうって時に…」
「ししっ。カモがネギ背負(しょ)って来やがった」
スクアーロの言葉を、ナイフを弄びながらベルフェゴールが続けた。
「ヒバリが風背負(しょ)って だろ」
「まんまじゃない…」
ルッスーリアが的確にレヴィにツッこんだ。
息ぴったりと言った所か。さすがヴァリアークオリティ。
それほどの強者を前にしても、雲雀は怯む事もなく。
「これはこれで嬉しいな。ここは まるでサバンナだ」
「ムムッ。風」
「やあ、マーモン」
挨拶を交わす霧と嵐のアルコバレーノ。
ヘの字に口を結ぶマーモンと 口角を上げる風の反応は対照的だ。
「あれ？ ボスザルがいないね」
コツコツと靴音を立ててエレベーターから降りた雲雀が、ヴァリアーを見回しながら言った。
その背後でエレベーターの扉が音もなく閉まった。
自分達の存在を無視したようなその態度に反応しないヴァリアーではない。
「う゛お゛ぉい。ヒバリィ――オレ達じゃ相手にならないっていうのかぁ？」
「笑わせるじゃん」
「君達だって役には立つさ。僕の牙の手入れ程度にはね」
不敵な笑みを浮かべながらトンファーを構えた雲雀。その態度はあくまで強気で。
幸子は次のエレベーターで追いつくと言っていた。
その前に終わらせよう。全てを。