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よく知るその声に、幸子は恐怖に潤んだ瞳で白蘭の視線の先を辿った。
「恭…弥…」
雲雀だ。応接室で別れたばかりの雲雀が立っている。
「そこを退け」
雲雀がもう一度命令する。
怒りを抑えようともしない雲雀とは逆に、白蘭はニコニコと笑みを湛えている。
「相変わらず雲雀チャンは幸子ちゃんのコトになるとおっかないんだね」
「君、そんなに僕に咬み殺されたいのかい?」
「冗談なんだから、本気にならないでよ。ヒッバーリチャン♪」
「咬み殺す!」
雲雀が片方だけになったトンファーを振るうと、白蘭は両手をポケットに突っ込んだまま 予期していたかのように僅かに身を引いて交わした。
そのまま雲雀と距離をとるように、トンッと正門に飛び移る。
「代理戦争の挨拶に来ただけだよ。ボクはユニちゃんの代理なんだ」
「ふぅん。戦闘が始まったら真っ先に咬み殺してあげる」
「ハハハ…君に出来るかな?――でも」
と雲雀の言葉を笑顔で受け流した白蘭が幸子を見た。
「幸子ちゃんも代理なんて楽しみだなー…なんてね♪じゃーね!」
言いたい事だけ言うと、白蘭はスッと姿を消した。
残された雲雀と幸子。
「怪我はないかい?」
雲雀は側に落ちていたトンファーを拾い上げながら、立ち尽くしている幸子に声をかけた。
「う…うん、大丈夫。来てくれてありがとう…恭弥」
笑顔を向けてはいるが、幸子は明らかにショックを受けている様子だ。
迂闊だった。まさか白蘭が現れるとは――雲雀の脳裏に未来の出来事が甦る。
それに 白蘭に幸子が代理人である事を知られてしまった今、彼女を一人にする訳にはいかない。
「幸子」
「ん…?」
見上げれば、いつになく真剣な雲雀のまなざし。
「約束」
「えっ…?」
「代理戦争中、僕の傍を離れないで」
「恭弥…っ!?」
「守れるかい?守れないなら――」
と幸子の左手首を取る。そこには風の代理人である証の腕時計。
「これを今直ぐ壊す」
「!……」
幸子は雲雀を見つめた。
先程の件で雲雀なりに思う所があったのだろう。優しい彼は逃げ道を用意してくれた。
安全な逃げ道…即ち、代理戦争からの離脱。
それが雲雀の本意でない事を幸子は知っている。そして雲雀を信じる幸子自身にとっても本意でない事を。
(だとしたら、私は…恭弥に委ねてもいいの?)
暫しの静寂。
そして幸子はゆっくりと頷いた。
「恭弥の傍を離れないよ、絶対」
「良い子だ」
幸子の頬をさらりと撫でると、雲雀は優しい笑みを浮かべた。
ただのゲームだと思っていたが…面白い。
全ての獲物を狩ってやろう。一人残らず、だ。
「恭…弥…」
雲雀だ。応接室で別れたばかりの雲雀が立っている。
「そこを退け」
雲雀がもう一度命令する。
怒りを抑えようともしない雲雀とは逆に、白蘭はニコニコと笑みを湛えている。
「相変わらず雲雀チャンは幸子ちゃんのコトになるとおっかないんだね」
「君、そんなに僕に咬み殺されたいのかい?」
「冗談なんだから、本気にならないでよ。ヒッバーリチャン♪」
「咬み殺す!」
雲雀が片方だけになったトンファーを振るうと、白蘭は両手をポケットに突っ込んだまま 予期していたかのように僅かに身を引いて交わした。
そのまま雲雀と距離をとるように、トンッと正門に飛び移る。
「代理戦争の挨拶に来ただけだよ。ボクはユニちゃんの代理なんだ」
「ふぅん。戦闘が始まったら真っ先に咬み殺してあげる」
「ハハハ…君に出来るかな?――でも」
と雲雀の言葉を笑顔で受け流した白蘭が幸子を見た。
「幸子ちゃんも代理なんて楽しみだなー…なんてね♪じゃーね!」
言いたい事だけ言うと、白蘭はスッと姿を消した。
残された雲雀と幸子。
「怪我はないかい?」
雲雀は側に落ちていたトンファーを拾い上げながら、立ち尽くしている幸子に声をかけた。
「う…うん、大丈夫。来てくれてありがとう…恭弥」
笑顔を向けてはいるが、幸子は明らかにショックを受けている様子だ。
迂闊だった。まさか白蘭が現れるとは――雲雀の脳裏に未来の出来事が甦る。
それに 白蘭に幸子が代理人である事を知られてしまった今、彼女を一人にする訳にはいかない。
「幸子」
「ん…?」
見上げれば、いつになく真剣な雲雀のまなざし。
「約束」
「えっ…?」
「代理戦争中、僕の傍を離れないで」
「恭弥…っ!?」
「守れるかい?守れないなら――」
と幸子の左手首を取る。そこには風の代理人である証の腕時計。
「これを今直ぐ壊す」
「!……」
幸子は雲雀を見つめた。
先程の件で雲雀なりに思う所があったのだろう。優しい彼は逃げ道を用意してくれた。
安全な逃げ道…即ち、代理戦争からの離脱。
それが雲雀の本意でない事を幸子は知っている。そして雲雀を信じる幸子自身にとっても本意でない事を。
(だとしたら、私は…恭弥に委ねてもいいの?)
暫しの静寂。
そして幸子はゆっくりと頷いた。
「恭弥の傍を離れないよ、絶対」
「良い子だ」
幸子の頬をさらりと撫でると、雲雀は優しい笑みを浮かべた。
ただのゲームだと思っていたが…面白い。
全ての獲物を狩ってやろう。一人残らず、だ。