「恭弥っ、どこっ!?」
勢い込んで応接室に入って来た幸子は、黒い革貼りのソファーに座り本を読んでいた雲雀に開口一番叫んだ。
「うるさいな。君の目の前にいるよ」
「そういう意味じゃなくて…っ！何処が悪いの？」
本を持つ手に手を重ね、心配そうに己を覗き込んでくる幸子。なんとなく、状況が解ってきた。
「あたま」
「えっ!?」
「君の」
「なっ!!!?」
なんという失礼なっ!!?
呆気に取られていると、雲雀は添えられていた幸子の手を退かし 読んでいた本を閉じた。
「赤ん坊と話したの？」
「えっ… う、うん」
素直に頷けば、雲雀は青灰色の瞳を真っ直ぐに幸子へと向けた。
「体調なら問題ないよ」
「だ、だってリボーン君には…っ、恭弥っ…！」
「少し黙りなよ」
くいっと顎を持ち上げられ、至近距離で囁かれる。唇に触れる吐息がくすぐったい。
「こうすれば治るから」
唇が離れた後。
雲雀はポツリと言った。