3つの花言葉
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ずっと壁だと思っていた場所が ボンゴレアジトへと繋がる出入口扉だった事に幸子は驚いた。
「こんな所からボンゴレアジトに行けたんだ…」
出入口を通り抜け医務室へ続く廊下を歩く。その途中にあった一室の扉の前で、幸子はふと思い出したように足を止めた。
「そうだっ。苧環…!」
「ん?」
「恭弥…ちょっと寄り道してもいいかな?…談話室」
幸子が遠慮がちに扉を指した。
「なに?」
「花がね、置きっぱなしなんだっ」
悪戯っぽく告げると扉の前に立った。ウィーン…と静かな音がして扉が開く。
「あった…!」
無造作にものが置かれた部屋の隅に誂えられた低い棚の上。花瓶に生けられた紫の花に幸子は近寄っていく。そんな幸子を追って雲雀も部屋に足を踏み入れた。
「キレイでしょ。"オダマキ"って言うんだよっ」
幸子の隣に立ち 雲雀はその花を見た。
「花言葉は"勝利"なんだって。獄寺君に聞いたんだ」
「どうしたんだい?」
「えっ…?」
「その花」
雲雀は心なしか不機嫌そうに見える。
「あっ、うん……もらったんだ」
「誰に?」
やっぱり…。雲雀は勘づいている。
ならば素直に答えるしかない。
やましい事はないのだ。
「知り合い…」
「誰?」
「ひ、ひばり…さん」
「!?」
雲雀は一瞬キョトンとした目で幸子を見たが、すぐに はぁ…と呆れたように溜め息をついた。
「幸子 豆腐の角で頭でも打ったのかい?」
「へっ?」
「僕はこんな花 あげた覚えはないよ」
どうやら幸子の話を狂言だとでも思ったらしい。
「ほ、ホントにひばりさんからもらったのっ!恭弥じゃなくて "ひばり"っていう人」
「"ひばり"……?」
雲雀はまだ怪訝そうな顔をしていたが、それ以上は何も言って来なかった。
"ひばり"に逢ったなど、確かに雲雀でなくても信じがたい話だ。
幸子は苧環の花を見ながら謎の青年――ひばりを思い出していた。
(不思議な人だったな…)
終始 人懐っこい笑顔を湛えた青年。冗談混じりの会話も楽しかった。
一見親しみ易そうなのに、どこか他者を寄せ付けないような所もある。
おおらかに見えて掴み処のない"ひばり"。
「彼がどうして君に花を贈るんだい?」
"知り合い"と言っただけで"男"など一言も言ってないのに そう決めつけているのが独占欲の強い雲雀らしい。
「それが…よく分かんないんだよね。成り行きって言うか……あっ、でもね、この花 恭弥と私にってくれたんだよっ」
「僕?」
「"私と恋人君に"って。私には"花" 恭弥には"色"をプレゼントって言ってた」
「花と色…」
「うんっ。変わってるよねっ」
クスクスと笑う幸子のななめ後ろには苧環。
その紫の花が妖しく揺れていた。
「こんな所からボンゴレアジトに行けたんだ…」
出入口を通り抜け医務室へ続く廊下を歩く。その途中にあった一室の扉の前で、幸子はふと思い出したように足を止めた。
「そうだっ。苧環…!」
「ん?」
「恭弥…ちょっと寄り道してもいいかな?…談話室」
幸子が遠慮がちに扉を指した。
「なに?」
「花がね、置きっぱなしなんだっ」
悪戯っぽく告げると扉の前に立った。ウィーン…と静かな音がして扉が開く。
「あった…!」
無造作にものが置かれた部屋の隅に誂えられた低い棚の上。花瓶に生けられた紫の花に幸子は近寄っていく。そんな幸子を追って雲雀も部屋に足を踏み入れた。
「キレイでしょ。"オダマキ"って言うんだよっ」
幸子の隣に立ち 雲雀はその花を見た。
「花言葉は"勝利"なんだって。獄寺君に聞いたんだ」
「どうしたんだい?」
「えっ…?」
「その花」
雲雀は心なしか不機嫌そうに見える。
「あっ、うん……もらったんだ」
「誰に?」
やっぱり…。雲雀は勘づいている。
ならば素直に答えるしかない。
やましい事はないのだ。
「知り合い…」
「誰?」
「ひ、ひばり…さん」
「!?」
雲雀は一瞬キョトンとした目で幸子を見たが、すぐに はぁ…と呆れたように溜め息をついた。
「幸子 豆腐の角で頭でも打ったのかい?」
「へっ?」
「僕はこんな花 あげた覚えはないよ」
どうやら幸子の話を狂言だとでも思ったらしい。
「ほ、ホントにひばりさんからもらったのっ!恭弥じゃなくて "ひばり"っていう人」
「"ひばり"……?」
雲雀はまだ怪訝そうな顔をしていたが、それ以上は何も言って来なかった。
"ひばり"に逢ったなど、確かに雲雀でなくても信じがたい話だ。
幸子は苧環の花を見ながら謎の青年――ひばりを思い出していた。
(不思議な人だったな…)
終始 人懐っこい笑顔を湛えた青年。冗談混じりの会話も楽しかった。
一見親しみ易そうなのに、どこか他者を寄せ付けないような所もある。
おおらかに見えて掴み処のない"ひばり"。
「彼がどうして君に花を贈るんだい?」
"知り合い"と言っただけで"男"など一言も言ってないのに そう決めつけているのが独占欲の強い雲雀らしい。
「それが…よく分かんないんだよね。成り行きって言うか……あっ、でもね、この花 恭弥と私にってくれたんだよっ」
「僕?」
「"私と恋人君に"って。私には"花" 恭弥には"色"をプレゼントって言ってた」
「花と色…」
「うんっ。変わってるよねっ」
クスクスと笑う幸子のななめ後ろには苧環。
その紫の花が妖しく揺れていた。