苧環の花束
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獄寺は幸子を認めるとツカツカと近寄ってきた。心なしか顔は青ざめ、いつもより思い詰めた顔をしてる。
「獄寺君!?」
「無事だったみてーだな。ヒバリはどうした?」
彼の言う"ヒバリ"は、幸子もよく知る雲雀で間違いないだろう。
「9日前から出張に行ってるんだ」
「出張!? お前、ヒバリがいねーのにこんな所を花束持ってノコノコと歩いてたのか!?」
「これは……、あれっ!?」
振り返るが既にひばりの姿はなかった。
幸子に別れを告げ、獄寺が現れるまでのほんの一瞬で見えない程遠くに行けるとは到底思えない。しかし現実的にもうひばりの姿はなく。
「おかしいな…」
「おかしいのはお前だ!こんな時に一人でフラフラ出歩いてんじゃねー!!」
口は悪く沸点は低いが、幸子の事を心配してくれているらしい。
「ごめんね、獄寺君。心配してくれてありがとう」
素直に詫び、礼を述べると獄寺はチッと舌打ちした。
「どうも幸子といると調子狂うぜ」
腰に手をあて銀髪をかりかりと掻いた。
その頬がほんのり赤いのは、幸子を心配するあまり逆上してしまった事に照れているからだろう。
コホンと咳払いをすると、チラリと花束を見た。
「…紫の花か」
「うん。苧環って言うんだって」
「オダマキ…花言葉は"勝利"だな。今の俺達にはお誂え向きだぜ」
花言葉を知ってるなんて、博識の獄寺らしい。
「幸子、ヒバリはいつ戻るんだ?」
「分かんない。恭弥 なんにも言っていかなかったから」
そうか…と獄寺はポケットに手を突っ込んだまま何事か思案していたが、やがて幸子に視線を向けた。
「行くぞ」
「えっ、ど、どこ!?」
「俺達のアジトだ。ヒバリが留守の間はそこにいろ」
「で、でも…恭弥が帰って来たら…」
「でもじゃねー。言われた通りにしやがれ!」
そして獄寺は、この10年間一度として見せた事のないような安堵の表情を浮かべ呟いた。
「……無事で…良かった」
その声音は、表情と裏腹に何かに堪えているようで。
事情はよく分からないが、ここは獄寺に従うのが最良の策だと幸子は直感した。
「ありがとう、獄寺君。アジトに連れて行って。でもその前に…」
雲雀の私邸を留守にするなら、彼も連れて行かなければならない。
「なんだ?」
「ヒバードも連れて行かなくちゃ。恭弥について行かないで、私と一緒に留守番してくれてるの」
「ユキコ ユキコ」
ふいに可愛らしい声が幸子を呼んだ。
空を見上げるとヒバードの姿。パタパタと飛んで来て幸子の肩に軟着陸した。
「ヒバード!良かった。迎えに行こうと思ってたんだよっ」
「ピヨッ」
ふかふかの羽毛に頬を擦り寄せると、ヒバードはくすぐったそうに目を細めた。
あまりにもタイミングよく現れたヒバードは、もしかして幸子の後をつけていたのかもしれない。雲雀の代わりに自分を守ってくれているのかと思うと、申し訳ないと思いつつもすごく嬉しかった。
「行くぞ、幸子」
「うんっ」
肩にヒバードを乗せたまま幸子は頷いた。
「獄寺君!?」
「無事だったみてーだな。ヒバリはどうした?」
彼の言う"ヒバリ"は、幸子もよく知る雲雀で間違いないだろう。
「9日前から出張に行ってるんだ」
「出張!? お前、ヒバリがいねーのにこんな所を花束持ってノコノコと歩いてたのか!?」
「これは……、あれっ!?」
振り返るが既にひばりの姿はなかった。
幸子に別れを告げ、獄寺が現れるまでのほんの一瞬で見えない程遠くに行けるとは到底思えない。しかし現実的にもうひばりの姿はなく。
「おかしいな…」
「おかしいのはお前だ!こんな時に一人でフラフラ出歩いてんじゃねー!!」
口は悪く沸点は低いが、幸子の事を心配してくれているらしい。
「ごめんね、獄寺君。心配してくれてありがとう」
素直に詫び、礼を述べると獄寺はチッと舌打ちした。
「どうも幸子といると調子狂うぜ」
腰に手をあて銀髪をかりかりと掻いた。
その頬がほんのり赤いのは、幸子を心配するあまり逆上してしまった事に照れているからだろう。
コホンと咳払いをすると、チラリと花束を見た。
「…紫の花か」
「うん。苧環って言うんだって」
「オダマキ…花言葉は"勝利"だな。今の俺達にはお誂え向きだぜ」
花言葉を知ってるなんて、博識の獄寺らしい。
「幸子、ヒバリはいつ戻るんだ?」
「分かんない。恭弥 なんにも言っていかなかったから」
そうか…と獄寺はポケットに手を突っ込んだまま何事か思案していたが、やがて幸子に視線を向けた。
「行くぞ」
「えっ、ど、どこ!?」
「俺達のアジトだ。ヒバリが留守の間はそこにいろ」
「で、でも…恭弥が帰って来たら…」
「でもじゃねー。言われた通りにしやがれ!」
そして獄寺は、この10年間一度として見せた事のないような安堵の表情を浮かべ呟いた。
「……無事で…良かった」
その声音は、表情と裏腹に何かに堪えているようで。
事情はよく分からないが、ここは獄寺に従うのが最良の策だと幸子は直感した。
「ありがとう、獄寺君。アジトに連れて行って。でもその前に…」
雲雀の私邸を留守にするなら、彼も連れて行かなければならない。
「なんだ?」
「ヒバードも連れて行かなくちゃ。恭弥について行かないで、私と一緒に留守番してくれてるの」
「ユキコ ユキコ」
ふいに可愛らしい声が幸子を呼んだ。
空を見上げるとヒバードの姿。パタパタと飛んで来て幸子の肩に軟着陸した。
「ヒバード!良かった。迎えに行こうと思ってたんだよっ」
「ピヨッ」
ふかふかの羽毛に頬を擦り寄せると、ヒバードはくすぐったそうに目を細めた。
あまりにもタイミングよく現れたヒバードは、もしかして幸子の後をつけていたのかもしれない。雲雀の代わりに自分を守ってくれているのかと思うと、申し訳ないと思いつつもすごく嬉しかった。
「行くぞ、幸子」
「うんっ」
肩にヒバードを乗せたまま幸子は頷いた。