雲雀の詩
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幸子と青年は並盛中学校に向かう道を並んで歩いていた。
雲雀に知られたら叱られそうだが、これも人助け…という事で大目に見てもらう。
「道が分からなくて困ってたんだ。キミに逢えてラッキーだったな」
「私もお役に立てて嬉しいです」
「道 詳しいんだね」
「偶然です。並中は私の母校だから」
「へー…キミは並盛中学出身なんだ?」
ニッコリ笑う青年に同じように笑みを返し頷いた。
そう、並盛中学は幸子にとってとても大切な場所。雲雀や沢田達と出逢った思い出の場所なのだ。
「ところでさ、その大事そうに抱えてる紙袋には何が入ってるんだい?」
「これですか?」
「……そ」
問われて幸子は紙袋をぎゅっと抱きしめた。
「本です」
「随分大事そうに抱えてるね」
「あはは…そう見えますか?」
幸子が苦笑いを返した所で、前方に並盛中学が見えてきた。
「あっ、あそこです!」
校門の前に立つと懐かしさで胸がいっぱいになった。
今にも学ランを着た風紀委員長の雲雀が、校舎から姿を現しそうだ。
じわりと目に滲むものがあり、幸子は青年に気づかれないようにぐいと拭った。
「中学時代を思い出しちゃった?」
「っ、はい……ちょっとだけ」
ははは…と幸子は照れたように笑った。
「それじゃ、私はこれで」
「うん、ありがとう。またね♪」
ヒラヒラと手を振る青年に軽く会釈して、幸子は来た道を戻り始めた。
遠ざかる幸子の背を見つめていた青年は、いつの間にか手にしていた紙袋をがさがさと開け、一冊の本を取り出した。
本のタイトルは…"雲雀の詩(うた)"
「本当に雲雀チャンの事で頭がいっぱいなんだね」
青年は冷たい笑顔を貼りつけたまま、ビリッと本を破き紙袋と共にその場に捨てた。くしゃくしゃになった紙袋には"並盛書店"の文字。
それは幸子が先程まで大事そうに抱えていたものだった。
「警戒心0…これまでにない最高のファーストインプレッションだ♪」
青年の口の端がニヤリとつり上がる。
「また逢おうね。木梨幸子チャン」
青年の姿は消え、後に残された破れた本の頁が、風でパラパラと捲れていた。
雲雀に知られたら叱られそうだが、これも人助け…という事で大目に見てもらう。
「道が分からなくて困ってたんだ。キミに逢えてラッキーだったな」
「私もお役に立てて嬉しいです」
「道 詳しいんだね」
「偶然です。並中は私の母校だから」
「へー…キミは並盛中学出身なんだ?」
ニッコリ笑う青年に同じように笑みを返し頷いた。
そう、並盛中学は幸子にとってとても大切な場所。雲雀や沢田達と出逢った思い出の場所なのだ。
「ところでさ、その大事そうに抱えてる紙袋には何が入ってるんだい?」
「これですか?」
「……そ」
問われて幸子は紙袋をぎゅっと抱きしめた。
「本です」
「随分大事そうに抱えてるね」
「あはは…そう見えますか?」
幸子が苦笑いを返した所で、前方に並盛中学が見えてきた。
「あっ、あそこです!」
校門の前に立つと懐かしさで胸がいっぱいになった。
今にも学ランを着た風紀委員長の雲雀が、校舎から姿を現しそうだ。
じわりと目に滲むものがあり、幸子は青年に気づかれないようにぐいと拭った。
「中学時代を思い出しちゃった?」
「っ、はい……ちょっとだけ」
ははは…と幸子は照れたように笑った。
「それじゃ、私はこれで」
「うん、ありがとう。またね♪」
ヒラヒラと手を振る青年に軽く会釈して、幸子は来た道を戻り始めた。
遠ざかる幸子の背を見つめていた青年は、いつの間にか手にしていた紙袋をがさがさと開け、一冊の本を取り出した。
本のタイトルは…"雲雀の詩(うた)"
「本当に雲雀チャンの事で頭がいっぱいなんだね」
青年は冷たい笑顔を貼りつけたまま、ビリッと本を破き紙袋と共にその場に捨てた。くしゃくしゃになった紙袋には"並盛書店"の文字。
それは幸子が先程まで大事そうに抱えていたものだった。
「警戒心0…これまでにない最高のファーストインプレッションだ♪」
青年の口の端がニヤリとつり上がる。
「また逢おうね。木梨幸子チャン」
青年の姿は消え、後に残された破れた本の頁が、風でパラパラと捲れていた。