雲雀の詩
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
雲雀が草壁を連れ旅立った後、幸子は並盛駅の地下にあるショッピングモールへ買い物に出かけた。
あの口振りからすると、今回の出張は長いのかもしれない。
心の不安は完全に収まった訳ではなく、まだ微かに残っている。それをまぎらわせるものが欲しかったのだ。
いろんな店を覗いた末、幸子は並盛書店で小説を買った。適度な厚みがあるので、まぎらわせには丁度良さそうだ。
(あとは夕飯の買い物だけか。恭弥もいないし、お弁当でも買って帰ろうかな)
そんな事を考えながらスーパーに向かい歩いていると――‥
「見ーつけた♪」
「えっ…?」
ふいに背後で声がした。
振り返るが誰もいない。
「あれ…?そら耳…かな」
「そら耳じゃないよ」
「きゃあ!!」
今度は耳許で聞こえた声に驚き、思わず飛び上がって尻餅をついてしまった。
「ハハハ。驚かせちゃった? ごめんね」
目の前に見知らぬ青年が立っていて、幸子を面白そうに覗き込んでいた。
突然の事に、幸子は思考がついて行かず、目をまんまるく見開いたまま青年の顔をぽかんと見つめていた。
「そんなに見つめないでよ。照れちゃうから」
「ご、ごめんなさいっ」
慌てて目を逸らすと、青年は可笑しそうに笑った。
「キミって面白いね。ほら、立てる?」
ス…と差し伸べられた手。
それを取る事に戸惑っていると、青年の笑顔が人なつっこいものから困ったようなそれに変わった。
「怪しいモノじゃないよ。…なんて台詞、怪しすぎだよね」
「あははっ」
青年の言葉に思わず笑ってしまった。
悪い人ではなさそうだ。
幸子は青年の手にそっと自分の手を乗せた。
「すみません、ありがとうございます」
「気にしないで。キミが尻餅ついちゃったの、僕にも責任があるし」
ぐいっと引っ張られて立ち上がる。
同じくらいか、もしくは少しだけ年上だろう。長身で人懐っこい笑顔が印象的な青年だった。
初対面の彼が、なぜ自分に声をかけてきたのだろう?
「あの、私になにか ご用ですか?」
「道を教えてもらおうと思ってさ」
「道…?」
「うん。並盛中学の場所」
あの口振りからすると、今回の出張は長いのかもしれない。
心の不安は完全に収まった訳ではなく、まだ微かに残っている。それをまぎらわせるものが欲しかったのだ。
いろんな店を覗いた末、幸子は並盛書店で小説を買った。適度な厚みがあるので、まぎらわせには丁度良さそうだ。
(あとは夕飯の買い物だけか。恭弥もいないし、お弁当でも買って帰ろうかな)
そんな事を考えながらスーパーに向かい歩いていると――‥
「見ーつけた♪」
「えっ…?」
ふいに背後で声がした。
振り返るが誰もいない。
「あれ…?そら耳…かな」
「そら耳じゃないよ」
「きゃあ!!」
今度は耳許で聞こえた声に驚き、思わず飛び上がって尻餅をついてしまった。
「ハハハ。驚かせちゃった? ごめんね」
目の前に見知らぬ青年が立っていて、幸子を面白そうに覗き込んでいた。
突然の事に、幸子は思考がついて行かず、目をまんまるく見開いたまま青年の顔をぽかんと見つめていた。
「そんなに見つめないでよ。照れちゃうから」
「ご、ごめんなさいっ」
慌てて目を逸らすと、青年は可笑しそうに笑った。
「キミって面白いね。ほら、立てる?」
ス…と差し伸べられた手。
それを取る事に戸惑っていると、青年の笑顔が人なつっこいものから困ったようなそれに変わった。
「怪しいモノじゃないよ。…なんて台詞、怪しすぎだよね」
「あははっ」
青年の言葉に思わず笑ってしまった。
悪い人ではなさそうだ。
幸子は青年の手にそっと自分の手を乗せた。
「すみません、ありがとうございます」
「気にしないで。キミが尻餅ついちゃったの、僕にも責任があるし」
ぐいっと引っ張られて立ち上がる。
同じくらいか、もしくは少しだけ年上だろう。長身で人懐っこい笑顔が印象的な青年だった。
初対面の彼が、なぜ自分に声をかけてきたのだろう?
「あの、私になにか ご用ですか?」
「道を教えてもらおうと思ってさ」
「道…?」
「うん。並盛中学の場所」