雲雀の詩
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それは突然だった。
「暫くの間留守にするよ」
雲雀が出張する時はいつも突然なので驚く事にも慣れているのだが、今回はその限りではなかった。胸にもやもやと重いものがのし掛かってくる。
その理由ははっきりしていた。
一昨日 偶然に目撃してしまった深夜の話し合い。その内容と今回の雲雀の急な出張はおそらく繋がる。
「…いつ行くの?」
「すぐに出発するよ」
「……」
ほとんどの場合、雲雀は当たり前のように幸子を一緒に連れて行く。
ついて来いと言わないという事は、危険のつきまとう出張だという事。
「っ……」
問いただしても雲雀は決して本当の事を言わないし、連れて行ってはくれないだろう。
幸子の中でもどかしさが空回りする。
「どうしたんだい?」
雲雀が指先をそっと幸子の頬に触れさせた。温かい指先は、幸子を泣きたい衝動に駆り立てる。
その想いを感じ取ったかのように雲雀の指は滑り、ふにっと軽く頬をつねった。
「いたいいたいっ!」
「変な顔してるからさ」
「へ、変て……」
思わずツッコミを入れると、雲雀は手を離してフ…と笑った。
その微笑みに釣られ、幸子も笑みを溢す。
「バカな事考えなくていい。いつもと同じただの出張さ」
「うん…っ」
どこにも行かないで。
傍にいて。
一緒に連れていって。
…放れたくないよ。
様々な想いが幸子の中で交差する。
だが そんな気持ちで雲雀を縛りつける事は出来ないし、したくない。
ならば自分に出来る事はただひとつ。
「恭弥」
「ん…?」
「愛してる」
自然と口をついて出た言葉に幸子自身が驚いた。
いつも通り「いってらっしゃい」と告げようとしたはずなのに。しかし雲雀は、戸惑う幸子を抱き寄せ耳許で囁いた。
「知ってる」
「暫くの間留守にするよ」
雲雀が出張する時はいつも突然なので驚く事にも慣れているのだが、今回はその限りではなかった。胸にもやもやと重いものがのし掛かってくる。
その理由ははっきりしていた。
一昨日 偶然に目撃してしまった深夜の話し合い。その内容と今回の雲雀の急な出張はおそらく繋がる。
「…いつ行くの?」
「すぐに出発するよ」
「……」
ほとんどの場合、雲雀は当たり前のように幸子を一緒に連れて行く。
ついて来いと言わないという事は、危険のつきまとう出張だという事。
「っ……」
問いただしても雲雀は決して本当の事を言わないし、連れて行ってはくれないだろう。
幸子の中でもどかしさが空回りする。
「どうしたんだい?」
雲雀が指先をそっと幸子の頬に触れさせた。温かい指先は、幸子を泣きたい衝動に駆り立てる。
その想いを感じ取ったかのように雲雀の指は滑り、ふにっと軽く頬をつねった。
「いたいいたいっ!」
「変な顔してるからさ」
「へ、変て……」
思わずツッコミを入れると、雲雀は手を離してフ…と笑った。
その微笑みに釣られ、幸子も笑みを溢す。
「バカな事考えなくていい。いつもと同じただの出張さ」
「うん…っ」
どこにも行かないで。
傍にいて。
一緒に連れていって。
…放れたくないよ。
様々な想いが幸子の中で交差する。
だが そんな気持ちで雲雀を縛りつける事は出来ないし、したくない。
ならば自分に出来る事はただひとつ。
「恭弥」
「ん…?」
「愛してる」
自然と口をついて出た言葉に幸子自身が驚いた。
いつも通り「いってらっしゃい」と告げようとしたはずなのに。しかし雲雀は、戸惑う幸子を抱き寄せ耳許で囁いた。
「知ってる」