*デザートローズ*
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「そんな名は知らないですね」
(狙いが優様なら
優様に知らせるのは不味かったか!?
真っ先に優様が到着なさらなければいいのだが)
「そうか、ならばもう貴様に用はない」
錫杖を振りかざしてくるので
救護した娘を自らの背後に突き飛ばし刀で受け止める
「今のうちに早く逃げて下さい!!」
「は、はいっ!!」
震えた声で足を縺れさせながらも走り去ったのを聞き届け 敵と対峙する
「どうしてこの村を焼き払った」
「アイツの娘だ こうした方が炙り出せる」
「その娘とやらと村人は関係ないのにか」
「娘が捕えられれば 誰が死のうが構いはしないのでな」
その言葉に怒りを抑えきれず
押し切って 首を跳ねた
「っ…」
言葉にできない 怒りと哀しみに頬に涙が伝った
「お兄ちゃん…」
すすり泣きながら 家族を探す 女の子の声で我に返る
(今は泣いている場合じゃない)
着物の袖で涙を拭い
少女の声がした方へ走り出した
「…おかぁさん…おにぃちゃん」
「家族と離れたのかい?」
少女にそう声をかけると 彼女は泣き出してしまった
「1人で怖かったね
僕も一緒に 探すからもう大丈夫だよ」
目線を合わせるように しゃがみ頭を撫でる
「まだ生き残りが居たか」
燃える民家の間から また黒装束の男が現れ
少女を抱きしめて 後ずさる
男のもつ 錫杖の刃は赤く染まっているのが見えると
再度ふつふつと怒りが込み上げてくる
(この子を庇って戦えるだろうか)
腰に指した刀に左手で触れる
それと同時に 男が走り込んでくる
真後ろで家屋が焼き崩れ 退路を絶たれる
(せめてこの子だけでも守らなくては)
振りかざされる刃を体で受け止める覚悟を決めた瞬間
目の前が白で染まる 刃と刃が交わる音
「入江さん
早くその子を連れて安全な場所へ」
「優様!!
このモノたちの狙いは貴女です!」
「分かっています
私は大丈夫です。 行ってください」
白の羽織をはためかせ
小さな体で 男を押し切っていく
まだ何とか 通れそうな路地まで
少女を抱え 一気に走る
(優様、どうかご無事で)