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――深夜1時
ふと満月と海の絵が描きたくなり
キャンパスと絵の具を持って港に来た。
私は画家ではなく、ただのイラストレーターなのだが
時々、風景画が描きたくなって
唐突に山に行ってみたり、川に行ったりを良くする。
もちろん深夜に出かけるのもしょっちゅうある。
そのため真選組の方々には
これまでに夜中に職質を何度か受けたため、認知されており、今度は何処へ?
なんて気さくに尋ねられる
目的地を告げれば
その付近の巡回を強化してくれるため
とても安心して絵に没頭出来る。
今夜も没頭しているその時、兎と出会った。
「こんな夜中に女性が1人とは、
怖くないの?」
聞きなれない青年?らしき声が
後ろから聞こえて振り返る
月夜に照らされた
その人物に見惚れてしまった
「ん? どうかした?」
相変わらず貼り付けたような笑顔の彼
髪は月の光でほんのり淡い朱、
黒い服を纏うせいか、肌がより一層白く
美しかった。
「きれい。」
そう言いながら彼に手を伸ばしていた。
「え?
そーかな?キミの方がきれいだと思うけど?」
伸ばしていた手を握られ
引き寄せられる
「ふえっ!?」
急な事に変な声を出しながら
彼の腕の中に収まる
「ほら、キミの方がきれいだよ」
ひんやりと冷たい手で私の頬を撫でる
「いやいや。そんなこと」
「ね、キミ。
名前は?」
頬から引き寄せられた時に乱れた髪へと
彼の白い指は移る
「優です」
私はただただ、圧巻していた。
こんなに美しい人を見た事は無かったのだ。
「優ね。
またどこかで会えるといいね」
そう言って
頬に口付けをされたかと思えば
彼はまだ暗い街に消えていった。
「名前…聞きそびれちゃったな…」
口付けをされた頬を撫でながら
彼が消えていった方をしばらく眺めていた。
END