*chamomile*
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市街地まで戻ってきたところで
前方に真選組の車が見えた
姿は少し違うとはいえ
2人して 刀を下げているものだから
どう言い訳をしようかと考えて歩いていたが
人が多く 真選組の隊員に声をかけられることなく
通り過ぎることが出来た
賑わう市街地で 高杉は
髪飾りを取り扱う店内へと足を進めた
「いらっしゃいませ〜
店内ごゆっくりご覧下さいませ〜」
簪のコーナーで足をとめた高杉を見上げれば
下ろしている髪を手ですくいあげる
「下ろしてるのもいいが 簪さしてる方がお前らしい」
じっと見つめながら言われたからか
少し恥ずかしくなって目線を逸らした
そこには シンプルなデザインのものだけではなく
細かいビーズを使用したものや つまみ細工の簪等 所狭しと並べられていた
「今はこんなにあるんですね」
何となく目に付いた
赤紫のトンボ玉に水引で作られた紫の蝶が2匹チェーンについた 簪を手に取ってみれば
「ぜひ試してみてください」と店員から声をかけられる
下ろしていた髪をさっとまとめ 手慣れた手つきで簪をさして
高杉に背を向ける
「紫、似合いますか?」
「お前は赤の方が似合う」
「そう言うと思いました。
この簪、いつもの晋助っぽい感じで素敵だと思ったんですけどね」
試し差ししていた簪を抜いて
元の場所へ戻そうとして
高杉に止められた
「これとこの赤と貰おう」
止められた手から簪を奪われ 同じデザインの赤を持って高杉は店員とレジへ向かってしまう
「紫の方はすぐ使う」
「はいかしこまりました。
残りはラッピングしておきますね」
呆然と2人のやり取りをみていたら
会計を終えた高杉に頭をポンとされて我にかえる
「ほら」
先程の紫の簪を手渡され
再度結い直す
優しい目で微笑む高杉にドキッとする
「なんだか今日は調子狂わされてばかりです」
ボソッと呟きながら高杉に手を引かれて店を出た
それから団子屋でお茶を飲んだり
呉服屋を見て回ったりしている内に
日が暮れはじめた
人通りの少ない所に来た所で高杉は立ち止まる
「そろそろ姿みせたらどうだぁ?」
「気付かれていたか」建物の陰から攘夷浪士がわらわらと出てくる
吉原を出た辺りから気付いていたのでなんの驚きもなかった
「せめてそこのお嬢さんと離れてからと思っていたのだがな」
「ふふっ それなら一生晋助のクビなどとれませんね」
「ククッ
優お前をそばに置いときゃ長生き出来るらしい 今度から連れて歩いてやろうか」
2人して浪士達を 笑いながら刀を抜く
それをみて浪士達は一斉に切りかかってくる
「貴方の側に四六時中いるのは御免こうむります
私だってやりたい事がありますから」
斬撃を交わしながら次々と切り伏せてゆく
遠くの方で「攘夷志士が斬りあってるぞー」と声が聞こえれば
パトカーのサイレンが鳴り響き始めた
「これ以上の面倒事はごめんですよ」
「ククッ
優、引くぞ」
高杉の言葉に長屋の瓦の上へと飛び上がる
対峙している浪士を斬り伏せ 高杉もそれに続く
「待てっ!追え!!」
瓦の上で刀の血を払ってから鞘に納め
暗がりの方へと 屋根から屋根へ移動した
上手くまけたらしく自船へ帰る頃には浪士の声も気配も無かった
「おかえりなさいっす!
晋助様、優様!!」
「ただいま」
「あれ、結局優様
簪刺してるじゃないっすか」
「ごめんなさい、また子
こっちの方が落ち着くの」
「いえいえ、かまわないっす!」
高杉は甲板で煙管を吹かせ始めていた
「先戻ってますね」と声をかけて自室に戻った