*chamomile*
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その後 着替えて
頬を膨らませながら 部屋で書類に目を通していれば
デスク越しに「出掛けてくる」そう言って口付けられ
何処へゆくともいつ帰るとも告げられず高杉は出ていってしまった
結局 翌朝になっても帰って来なかった
今度は何をしようとしているんだろう
なんて考えていたら
少し熱っぽい事に気付く
「そういえば江戸にきて1週間ほど経つのね」
立ち上がり羽織りだけ肩にかけて 鍵を持ち 研究室へ向かった
途中で熱があがり始めたのか
ぼんやりと霞む視界の中 誰かとぶつかった
「あ、ごめんなさい」
「おっと、すまないでござる。
優殿、顔色が良くないが大丈夫でござるか?」
「万斉。久しぶりね、おかえり」
「ただいまもどったでござるよ。
それより優殿、熱が」
「いつもの事だから、いま薬も取りに行くわ、大丈夫。」
「ならば、お供しよう」
「ありがとう」
万斉に手を引かれ 子供達に心配されながら
研究室へとたどり着く
握りしめていた鍵でデスクの一番下の引き出しを開け ロック付きの保管ケースを取り出す
「随分厳重でござるな」
「あまり知られたくない物ですからね」
ロックを解除し1瓶取り出す
「晋助は知っているのでござるか?」
「いいえ、まだその時ではないですから。
時が来たらちゃんと話しますよ」
小瓶の蓋を開け飲み干す
(心臓が…)
優は胸の当たりを掴み咳き込んで
その場に崩れる
「優殿!!」
「ゲホッ…万斉、晋助には…」
「わかっているでござるよ。」
その言葉に安心し優の意識は途切れた
目が覚めれば 自室の布団で寝かされており
隣で煙管を吹かせる高杉の姿があった
「おかえりなさい。」
起き上がり高杉の背にもたれ掛かり
背を預け合いながら話す
「あぁ」
「心配、かけてしまいましたよね。
ごめんなさい」
「気にする事はねぇ」
「今日も出かけられるのですか?」
「その予定はねぇ」
「そうですか、じゃあ少しだけ甘えてもいいですか?」
高杉の正面に回り込む
「膝枕してください」
口に含んでいた煙を顔めがけて吹きかけられる
「ケホケホッ 何するんですかもうっ!」
温かい手が額に触れる
「だいぶ下がってんな。
丸一日寝りゃァそりゃ下がるか」
「え?私、丸一日も寝てたんですか?」
「あぁ、ぐっすりな」
「そう、でしたか…」
シュンと項垂れていると 高杉は足を組みかえる
「座れ」
「えー、膝枕してくれるんじゃないんですかー?」
「それ以上文句言うなら無しだ」
「兄さまのケチ」
高杉の膝の上に背を預けるようにして座る
「ククッ、そう呼ばれるのは久しぶりだな」
「いつしかそう呼ばなくなりましたが、貴方もまた私の兄の1人ですから」
暇を持て余している 高杉の左手に触れる
「アイツらと一緒にされるのは気に食わねぇが
そう呼ばれるのも悪くはねぇなぁ」
「あら、そうなんですか?
てっきり嫌がられるかと思ったのに。」
「ククッ、お前しか俺をそう呼ぶ奴はいねぇからな」
煙管の灰を落とすと 優を持ち上げ 互いの顔が見えるように 横向きに座らせる
「愛してます、晋助」
ふっと鼻で笑い優しい表情をみせる高杉をみて
そっと胸に寄りかかり目を閉じた