Another~虚~
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目を覚ますと知らない天井がそこにあった。
起き上がろうとすれば
手首が少し重たい…。
カシャ と金属が擦れ合う音に自身の置かれている状況に気がつく。
「っ!」
「目を覚ましましたか、優。」
重い鎖を引きずり何とか起き上がり声の方向を見れば
満足気に不気味な笑みをこぼす虚がそこに居た。
「ここはどこ! 晋助は…」
どしたのかと 問いかけようとして虚に口を塞がれる形で顔を掴まれる。
冷たいその目は その名を言うなと言わんばりだった。
「高杉晋助ならば 生きてはいるでしょう。
かなりの深手を負って。しばらくは動けないでしょうね。」
愉しそうに語る虚を横目に 逃げる算段を始める
(両手同士で鎖は繋がってる… まだ少し自由はある。問題は足…)
左足のみに鎖が繋がれ、その鎖は部屋の隅にある柱に巻き付け 南京錠で止められている。
「あぁ、鎖で拘束させてもらっています
かなり頑丈な物なので 貴女とはいえ壊すには時間がかかるでしょう。
万が一、逃げられたとしても 貴女は私の血無くしては生きられないのですよ?」
(そうだ…この人無くして私は永くは生きられない)
悟った表情を見せた優に満足したのか
手を離し立ち上がる
「何か食べ物を貰ってきます。
いい子で待っていてくださいね、優。」
背筋が凍るような声で言い放ち
部屋から出ていってしまった。
優は状況を今一度確かめた。
身体の異変、浴衣に着替えさせられている以外
傷跡も無くなり 特に変化は無かった。
そして鎖がついた状態での動ける範囲、
音は気になるが部屋の中であれば充分動き回れそうだ。
鎖の強度、
両手をめいいっぱい広げてみようとしたが
鎖が伸びきった所でビクともしなかった。
外への連絡手段…。
通信機器などは見当たらなかったが
紙と筆なら机の上にある。
外へと繋がってるであろう障子を開けた時
後ろから襖の開く音が聞こえる。
「その状態ではどこにも行けませんよ、優。
夜風は冷えます、さあこっちにおいで。」
(今は従うほかない…。)
開けた障子の外には 綺麗に手入れされた中庭と
満月。
その美しい景観に目を奪われた。
お膳を置き 虚が着ていた 羽織りをかけられる
「なかなか良い所でしょう?」
「はぃ、とても綺麗です…」
思わずそのまま口にでた事にハッと我に返るも
「素直な貴女の方が良いですね。」
そう言われながら後ろから抱きしめられる
懐かしい温もりとその身体に少しの間身を任せた。
(父様…。)