*chamomile*
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椿と研究室に入れば
まだ 幼い 女の子たちが数人
ネズミをまだ追いかけていた
が、私の姿を見るやいなや
一斉に「ごめんなさい」の声が響く
驚いたのか追いかけられていたネズミは
私の足元へと寄ってきたので
それを捕まえる
「みな、怪我は無いのですね?」
問いかければ また一斉に 「はい」とかえってくる
「ならよかった。
逃げたネズミは後どれくらいですか?」
と近くにいた 新米のまだ幼い桜に問えば
それで最後だと言うので
ケージに入れて 皆で片付け作業を始める
研究室フロアには
私の研究室と
カミツレの女の子達の生活スペースしかない為
他の隊員が入ってくる事はまず無い
なので 鬼兵隊の中には
私の研究室があるというだけで近付いたら
総督に殺される なんて噂があるらしい
ここに居るのが女の子ばっかりなのは
男の子は 鬼兵隊の方で仕事を貰えるので
女の子は 私が引き受け
勉強を教え、 15歳を越えた頃に 望めば 戦闘の稽古をつけるようにしている。
実質 戦闘員は
椿とスミレの2人だけだ。
椿は勉強は苦手だが 体を動かす事には長けていて、姉御肌気質なので 副隊長として頑張って貰っている
スミレは 文武両道。
世に言うツンデレ。まぁ、私の前ではデレデレなのだが…
私が忙しい時などには 他の子の勉強を見てもらっている
拾われてきた子達には
自分の名を知らない者も多かった為
名のない子達には 花の名を付けた
船の外へはなかなか出してあげれないが
不自由なく 平等に接するように気を付けている
生物室の片付けが概ね終わったところで
スミレが 女の子達と お茶とお菓子を持って研究室に入ってくる
「優様、すこしお茶しませんか?」
「スミレ、ありがとう」
礼を言って微笑めば
スミレは頬を赤らめる
お片付け組にも声をかけ
手を洗ってから皆でお菓子を囲む
「夕食も近いから みんなお菓子食べすぎないようにね」
言えば、皆口々に 返事をする。
「全く、副隊長様がついていて この有様とは」
スミレが 椿の顔をみて言う
「なっ! だ、誰だって失敗ぐらいするぞっ!!」
両者睨み合いになっていたので
「まぁまぁ 」と諫めれば
2人はお互い顔を背けた
2人はいつもこうやっていがみ合ってはいるが
戦闘となれば
息はピッタリで 良いライバルであり良い仲間なのだと思う。
半刻ほど休憩した後
片付けに皆で取り掛かれば10分程で終わった
驚くほど しっちゃかめっちゃかだったのに
誰も怪我してなくて本当によかった
そう思いながら
まだ浮かない顔している 桜に
近づき
名を呼んで抱き上げる
「ふわぁあっ! 優様っ」
私に気づかなかったのか 可愛らしい声をあげて驚く
「桜。
さっき椿も言ってたけれど、誰にでも失敗はあるものよ。
それに 私は桜が怪我をしてなくてよかったわ」
そう言って抱き上げた桜の頭を撫でると
桜は泣き出してしまう。
羨ましそうに嫉妬する スミレの視線がすこし痛い…
が、まぁここに居る子は 本当にそれぞれ過酷な状態にいた子達ばかりなので
時々手を煩わされる時もある…
「さぁ、当番の子たちは夕食の準備にかかって下さい。
今日は桜も当番でしたね」
「はぃ。ぐすっ…」
「お手伝いできそうですか?」
涙ながらに私の腕の中で桜は頷く
「さすが桜です」
抱き上げていた桜をおろして
目線を合わせたまま、ハンカチで桜の涙を拭く。
「使って下さい」
ハンカチを桜に渡し、頭をポンっとしてやれば
ありがとうと呟き 当番の子達と台所へ向かう
その場に残っているのは スミレと椿で
「2人とも。あとは任せますね」
そう伝えると2人は真剣な顔で返事をする
それを聞いて私は研究フロアを後にして
自室へと向かった。