実力派エリートの朝は早い……時もあれば遅い時もある。今日は後者だ。遊真の黒トリガーを狙った太刀川さんたちと戦ったのが数日前。本部に呼び出されることもなく、おれの一日は遅めの起床から始まった。


「えー？また集団自殺！？」
「あ、おはよう迅さん。もうお昼だよ」
「おはよう宇佐美。で小南はなーにをそんな騒いでんの」


　リビングに向かうと小南が何やらテレビを見て騒いでいた。ちょうど画面は蓮乃辺市からの中継を映している。


「蓮乃辺の中学校で集団自殺ね……。」
「三門市と蓮乃辺市を中心に起こる集団自殺はこれで今月六件目となり、両市の警察は事件性も視野に入れて調査を続ける方針です。次のニュースです＿＿」

「ほんと物騒な話だよね」
「一部の市民はこれも近界民の仕業じゃないかって騒いでるらしい。根付さんがその火消しに大忙し、って嵐山が」
「はあ！？何よそれ！ボーダーが悪いってこと！？」
「まあまあ」


　実際、今月だけで六件の集団自殺なんて明らかにおかしい。街をぶらついた時も一般市民に異変はなかった。……まだ近界民が関係しているとは限らないけど、何か裏があるのかもしれない。



「じゃじゃーん、お待たせ〜。オムライスできたよ〜」
「むむ！いいにおいがするぞ！」
「陽太郎、あんた散歩から帰ったんだから手洗いなさい」


　ぐう。腹の虫も一足遅れて目覚めたようだ。