「だからァ弾の軌道も置く場所も直線的すぎるんだって！せっかくエンジニアが優秀な弾造ってくれたんだからもっとさぁ、あるじゃん！ヒューン、ひょい、ギュンって！」
「説明が抽象的すぎる。分かるか」
「分かれよ二宮」
「ア？呼び捨てにするな」
「いひゃい」
両頬をぐっと掴んで潰された。相手は華の女子高生だぞ。

「名字！ちょっといいか……って取り込み中みたいだな、出直すよ」
「出直さなくていいよ嵐山！よく来てくれた！」
「二宮さんこんにちは」
「ああ」
どったんばったん騒いでたら爽やかアイドル嵐山がやって来た。ちょっと前に嵐山とザキさん（スポーツマン柿崎のこと）が記者会見に出てから、嵐山はメディア露出が増えた。根付さんがあの会見の後、不気味な笑みを浮かべていたのをわたしは知っている。
「明日のホームルーム出られそうにないから、おれの分までクジ引いといてくれないか」
「えっわたしクジ運のムラやばいよ。先月めっちゃいい席引いたから今度は一番前とか引きそう」
「ははは、いいよそれで」
「えー後悔しても知らんぞ」

「……そうかお前ら同い年か」
「そうだよ。同じクラス」
一方的に肩を組んでイェーイとピースを作って見せた。嵐山は空気を読んで少し屈んでくれた。これが神対応か。
「嵐山の苦労が伺えるな」
「楽しい奴ですよ」