「やあ名字、ぼんち揚食う？」
「うわ」
にやにや顔の迅だ。こういう時の迅は大体面倒くさい。ぼんち揚は貰う。
「二宮さんを弟子に取ったんだって？」
「違うよ、よく絡んできて相手してあげてるだけ」
「弟子みたいなもんじゃん」
「そうかなあ」
「どうなの？お弟子さんの調子は」
「入りたてにしちゃ頭一つ抜けてる感あるけどまだまだ駄目。なんかこう、空間を立体的に使えてない。シューティングゲームじゃあるまいし」
「名字って仲良くない人には厳しいよね」
事実これは妥当な評価だと思う。せっかくの射手の優位性を全然活かしきれていないのだ。頭固いし。同期の加古サンって人の方がその点は優ってる気がする。あんまり見たことないけど。
「……でも素質はあると思う。トリオン効率とか頭にない今の段階でわたしと撃ち合えてるし。柔軟ではないけど頭は良い」
「へーえ」
にやにやするな。