グレー・コラージュ・ソング
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「名前せんぱい!!」
名字を追いかけて来たら、彼女が倒れていた。黒いオーラの元を辿れば、名字の持つ宝石が真っ黒に染まっている。名字の後輩であろう彼女は涙目で、必死で名字に呼びかけている。名字は目を閉じたまま、応えない。
__何が起こっているのか、分からなかった。でも今動かないと一生後悔しそうで、名字の側へと寄ろうと、脚を動かした。手を伸ばした。この手が彼女の服を掠めた時、眩い光が彼女を包んだ。反射的に目を瞑ってしまった。
名字のごめんね、の言葉がやけに耳に残った。
目を開けると、彼女がいない世界だった。
名字の後輩は、下を向いたまま呟いた。
「…………力を使い果たした魔法少女は、円環の理に導かれて消滅する……。」
そう、聞いたことがあります……。せんぱいもまた……。彼女の瞳から、堪え切れない雫が零れ落ちた。
おれは目の前で起こったことを受け止めきれなくて、認めたくなくて、彼女のようには泣けなかった。
名字が偶にする、何かを諦めたような目にもっと早く気付いて、それを大事に掬い取ってやれたら、まだここにいてくれたんだろうか。力を使い切る前に、生きたいって思ってくれたんだろうか。
未来が見える、この力で三門市を守ることを考えてきた。それでもこの手からこぼれ落ちたもの。母さん、最上さん。風刃。これで4つ目だ。おれはいつだって、大切なものを大切にできない。
あの小さくて細くて頼りない背中で。独りで頑張っていた大切な女の子に、おれは一体何ができたんだろう。
瞼の裏で、水色のワンピースが翻った。
__迅悠一には、魔法少女の未来が見えない。
end2:0時に解ける魔法