グレー・コラージュ・ソング
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「名前せんぱい!!」
魔女は結界ごと吹き飛んだ。力を使い果たした名前せんぱいが、倒れている。せんぱいの回復力で、まだ生きている。助けなきゃ。黒い魔力が波打って流れ出てくる。ソウルジェムがどんどん黒く濁っていくのが見える。だめ、だめ、これ以上は……!
「名字!!」
ボーダーのサングラスの人が走ってきて、名前せんぱいに駆け寄る。追いかけてきたんだろう。多分せんぱいの、大事な人。
「気をしっかり!だめ、戻れなくなっちゃう……!!っあ……!」
ぱりん、と軽やかな音を立てて真っ黒なそれは割れ、見慣れた物体が姿を見せた。本来、ソウルジェムの穢れを吸い取るための道具。魔女を倒すと手に入るそれ。
「グリーフシード……!!」
周りの景色は幕が降りたかのようにするすると変わっていった。結界だ、結界が創り出されようとしている。あまりの突風に飛ばされそうになり、脚にぐっと力を込めた。
確かに名前せんぱいの声で、ごめんね、と聞こえた。
「名字名前は完全に魔女となった。もう君たちの声は届かないよ」
「お前……!」
「……キュゥべえ……!!」
「やはり、名前は以前の大規模侵攻で魔力を使い過ぎてたみたいだね」
それでも四年も保つなんて大したものだよと、何でもないようにあたしたちの前に現れた。表情がまるで変わらない。こいつには、本当に感情がないんだ……。魔法少女の結末。知識として知っていたけれど、目の前で起きたそれに、涙を堪えるのが精一杯だった。それにしても、とキュゥべえは言葉を繋ぐ。
「どうやら名前にとって、諦めが絶望へのトリガーだったようだね。初めに家族、それから部活、友達、大学進学も諦めた。緑埜つぼみの命も諦め、最後に……」
キュゥべえが彼にのったりと不気味な動きで目を合わせた。
「__恋を諦めた。
これこそが一番のきっかけさ。君が名前と出会ってくれたお陰で、名前はここまで立派な魔女になった。膨大なエネルギーも手に入った。本当に感謝してるよ、迅悠一」
彼の顔が、絶望に染まった。
「さあイチカ、早くあの魔女を倒そうよ」
end1:灰の魔女