グレー・コラージュ・ソング
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迅くんからの返信には甘いものも人の手作りも大丈夫な旨と、また玉狛に遊びに来ない?という誘いが書かれていた。栞ちゃんもいつでも来てねと言ってくれていたことだし。せっかくだから栞ちゃんたち玉狛の皆さんへのお菓子も作っていこうかな。栞ちゃんと林藤さんしか知らないし、何人いるのか分からないけど。
バレンタイン当日。前来た時とは別の緊張と共に玉狛支部のチャイムを鳴らした。迅くんに連絡したし、居るはずだ。はーいという聞き覚えのない可愛らしい声が奥から聞こえた。ぱたぱたと足音と共に、ドアが開いた。ロングヘアーの可愛らしい女の子だ。
「あら?お客さん?」
「あっわたし迅くんの……」
「おっ名字、いらっしゃい」
わたしの言葉を遮る形で、迅くんが階段を降りてきた。迅くんの友達の、って言おうとしたのに。上がりなよとの言葉に甘えて靴を脱いで上がった。リビングの方へ着いて行くと、栞ちゃんと知らない男の子がいた。とりあえずお辞儀をしておく。促されるままソファーに腰掛けた。
「これ、作ったんだけどお口に合うかどうか……」
「えっなになに!?クッキーだ!ありがとう〜!今頂いてもいい?お茶もいれてくるね」
働き者の栞ちゃんである。隣に座っている迅くんが距離を詰めて肩を抱いてきた。……抱いてきた?
「小南、京介。この子おれの彼女なんだ」
あまりの展開に脳がショートしかけたが、迅くんは目を合わせて、なっと言ってくる。これ話合わせた方がいいの?とりあえず笑っておいた。自分の口元が引き攣った気がする。どうでもいいけど心臓が煩いのは、急に抱き寄せられて適当なこと言われて驚いたからであって、それ以外の理由はない。どうでもいいけど!
「えっそうなの!?だからバレンタインに呼んだのね!?」
「迅さん彼女いたんすね」
テンションが高い、先の玄関の女の子に比べて黒髪の彼は随分落ち着いている。五人分のお茶を用意した栞ちゃんがお盆を持ってやってきた。わたしが焼いてきたクッキーも乗っている。
「迅さんまた適当なこと言って〜。名前ちゃんは迅さんとわたしのお友達!」
ロングヘアーの彼女は一瞬ぽかんとした顔を浮かべ、すぐキッと迅くんを睨んだ。その隣の黒髪の彼はでしょうねと言った。
「また騙したわね〜〜!!」
「はっはっは」
「名字、この騙されやすいのが小南。小南桐絵。で、その隣のもさもさした男前が烏丸京介だよ」
「どうもどうも。名字名前です。こう見えて迅くんと同い年」
「迅と同い年!?はっ!また騙そうとしてる?!」
「本当だよー。はい保険証」
「若いっすね、同い年くらいかと思いました」
「よく言われる。一応化粧もしてるのにねぇ」
実年齢より幼く見えて当然だ。魔法少女になった15歳のときからこの身体は成長していないのだから。
桐絵ちゃん(栞を名前呼びなんだから私も!と言われた、ときめいた)も烏丸くんもとても面白い人だった。栞ちゃんが玉狛 は少数精鋭のツワモノ集団なのだ!ってドヤ顔で言ってたけど、烏丸くんはともかくあんなに可愛くて騙されやすい桐絵ちゃんが強いのかはつい疑ってしまった。そんなこと言ったら(黙っていれば)可愛いイチカも魔女に大砲ぶっ放してヒャッハーしてるしそんな感じなのかな。
談笑して暫くした後、桐絵ちゃんは弟子の訓練に付き合うとかで行ってしまった。烏丸くんも夕方からバイトが入っているそうだ。栞ちゃんも何やら明日に備えないと、と言って引っ込んでしまうらしい。迅くんに何か耳打ちした後、ごゆっくり〜と扉の奥へ消えてしまった。残されたのは、わたしと迅くんだけだ。
「なんかごめんね、忙しいときにお邪魔しちゃって。明日何かあるの?」
「明日は後輩たちの試合があるだけだ。おれたちがそこまで忙しいわけじゃないし、気にしなくていいよ」
てか誘ったのおれだし。お皿に残り少ないクッキーを口に入れながら迅くんは答えた。あんまり長い時間お邪魔するのも悪いし、そろそろ退散しなくちゃな。夕飯の支度とかもあるだろうし。あ、忘れそうになってた。
「迅くん迅くん」
「ん?」
「はいこれ。ハッピーバレンタイン」
悩みに悩んで作ったのはフォンダンショコラだ。あれこれ試作品を作るうちに段々凝ってしまって、割と難しめのフォンダンショコラまで行き着いてしまった。これに時間を取られた分、栞ちゃんたちへは簡単なクッキーになってしまって少し申し訳ない。多分冷めちゃってるからレンジで軽く温めてから食べてね、と手渡すと迅くんが顔を手で覆って震えていた。え、何?持病?ぼそぼそ何か呟いているようだ。
「……クッキーだけだと思ってた……」
「え?何?」
「……いや、ありがとう。大事に食べるよ」
「お返しは三倍返しでね」
「いや十倍ぐらいにして返すよ」
「コワッ」
ちょっと引いた。そんなにチョコに飢えてるのか迅悠一。
「迅さんそのちょこけーき美味しそうだな」
「あげないからな遊真」
夕飯の後に名字から貰ったフォンダンショコラを温めてると遊真が声をかけてきた。今日、宇佐美に耳打ちされた言葉が頭に残っている。
__うかうかしてると、とりまるくんに取られちゃいますよ〜
「あげないよ、誰にも」
バレンタイン当日。前来た時とは別の緊張と共に玉狛支部のチャイムを鳴らした。迅くんに連絡したし、居るはずだ。はーいという聞き覚えのない可愛らしい声が奥から聞こえた。ぱたぱたと足音と共に、ドアが開いた。ロングヘアーの可愛らしい女の子だ。
「あら?お客さん?」
「あっわたし迅くんの……」
「おっ名字、いらっしゃい」
わたしの言葉を遮る形で、迅くんが階段を降りてきた。迅くんの友達の、って言おうとしたのに。上がりなよとの言葉に甘えて靴を脱いで上がった。リビングの方へ着いて行くと、栞ちゃんと知らない男の子がいた。とりあえずお辞儀をしておく。促されるままソファーに腰掛けた。
「これ、作ったんだけどお口に合うかどうか……」
「えっなになに!?クッキーだ!ありがとう〜!今頂いてもいい?お茶もいれてくるね」
働き者の栞ちゃんである。隣に座っている迅くんが距離を詰めて肩を抱いてきた。……抱いてきた?
「小南、京介。この子おれの彼女なんだ」
あまりの展開に脳がショートしかけたが、迅くんは目を合わせて、なっと言ってくる。これ話合わせた方がいいの?とりあえず笑っておいた。自分の口元が引き攣った気がする。どうでもいいけど心臓が煩いのは、急に抱き寄せられて適当なこと言われて驚いたからであって、それ以外の理由はない。どうでもいいけど!
「えっそうなの!?だからバレンタインに呼んだのね!?」
「迅さん彼女いたんすね」
テンションが高い、先の玄関の女の子に比べて黒髪の彼は随分落ち着いている。五人分のお茶を用意した栞ちゃんがお盆を持ってやってきた。わたしが焼いてきたクッキーも乗っている。
「迅さんまた適当なこと言って〜。名前ちゃんは迅さんとわたしのお友達!」
ロングヘアーの彼女は一瞬ぽかんとした顔を浮かべ、すぐキッと迅くんを睨んだ。その隣の黒髪の彼はでしょうねと言った。
「また騙したわね〜〜!!」
「はっはっは」
「名字、この騙されやすいのが小南。小南桐絵。で、その隣のもさもさした男前が烏丸京介だよ」
「どうもどうも。名字名前です。こう見えて迅くんと同い年」
「迅と同い年!?はっ!また騙そうとしてる?!」
「本当だよー。はい保険証」
「若いっすね、同い年くらいかと思いました」
「よく言われる。一応化粧もしてるのにねぇ」
実年齢より幼く見えて当然だ。魔法少女になった15歳のときからこの身体は成長していないのだから。
桐絵ちゃん(栞を名前呼びなんだから私も!と言われた、ときめいた)も烏丸くんもとても面白い人だった。栞ちゃんが
談笑して暫くした後、桐絵ちゃんは弟子の訓練に付き合うとかで行ってしまった。烏丸くんも夕方からバイトが入っているそうだ。栞ちゃんも何やら明日に備えないと、と言って引っ込んでしまうらしい。迅くんに何か耳打ちした後、ごゆっくり〜と扉の奥へ消えてしまった。残されたのは、わたしと迅くんだけだ。
「なんかごめんね、忙しいときにお邪魔しちゃって。明日何かあるの?」
「明日は後輩たちの試合があるだけだ。おれたちがそこまで忙しいわけじゃないし、気にしなくていいよ」
てか誘ったのおれだし。お皿に残り少ないクッキーを口に入れながら迅くんは答えた。あんまり長い時間お邪魔するのも悪いし、そろそろ退散しなくちゃな。夕飯の支度とかもあるだろうし。あ、忘れそうになってた。
「迅くん迅くん」
「ん?」
「はいこれ。ハッピーバレンタイン」
悩みに悩んで作ったのはフォンダンショコラだ。あれこれ試作品を作るうちに段々凝ってしまって、割と難しめのフォンダンショコラまで行き着いてしまった。これに時間を取られた分、栞ちゃんたちへは簡単なクッキーになってしまって少し申し訳ない。多分冷めちゃってるからレンジで軽く温めてから食べてね、と手渡すと迅くんが顔を手で覆って震えていた。え、何?持病?ぼそぼそ何か呟いているようだ。
「……クッキーだけだと思ってた……」
「え?何?」
「……いや、ありがとう。大事に食べるよ」
「お返しは三倍返しでね」
「いや十倍ぐらいにして返すよ」
「コワッ」
ちょっと引いた。そんなにチョコに飢えてるのか迅悠一。
「迅さんそのちょこけーき美味しそうだな」
「あげないからな遊真」
夕飯の後に名字から貰ったフォンダンショコラを温めてると遊真が声をかけてきた。今日、宇佐美に耳打ちされた言葉が頭に残っている。
__うかうかしてると、とりまるくんに取られちゃいますよ〜
「あげないよ、誰にも」