グレー・コラージュ・ソング
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「名前せんぱい!今どこにいますか!?」
「家でマリオやってるー」
「お暇なんですね!魔女の結界見つけたので来てください!」
「あい」
魔法少女は年中無休だ。
「遅いですよせんぱい!」
「イチカみたいに瞬間移動使えないから」
「確かに!」
イチカは瞬間移動が使える。魔法少女の能力は契約時の願いに応じて与えられるものだ。わたしの場合は異常な脚力、きっと回復力も他より優れていると思う。……イチカはどこでもドアが欲しいとか願ったのかな?流石に違うか。
この廃工場から、確かに魔女の気配がする。剣を生成して空間を切り裂いた。結界の入り口だ。
「行こう」
「ハイ!」
「この結界、やけに広いですね……」
「その分力を持った魔女なのかも」
結界の中は牧草地のような、緑溢れる空間だった。魔女の結界は禍々しいものが多い中、随分と清々しい空間だ。……よく見ると人の顔に似た不気味な花とか咲いてるし、やっぱ清々しくはなかった。行く手を阻もうと飛び出してくる使い魔を切り倒して進む。
一本道をイチカと並んで歩く。木々がざわざわと騒ぎ出したかと思えば、ただの芝生だった地面が、ベルトコンベアーのように急速に動き出した。__魔女に気付かれた。
「っバレましたね、来ますよ!」
「オーケー、分かってるって」
みるみる景色が流れ変わっていく。澄んだ青空も、黒い雲で染まっていった。きっとここが、魔女がいる最深部。
__首が無い、羊のような姿かたち。植物で埋め尽くされた結界。周りを取り囲む柵。
なんで、気付かなかったんだろう。この景色を、一日も忘れることができなかったのに。
剣を握る指先が冷えていくのが分かった。それなのに脚にはどくどくと熱が篭っている気がする。三年前とは違うんだ、もう逃げるわけにはいかない。
わたしが倒せなかった魔女。わたしが逃げ出した魔女。わたしが倒さなきゃいけない魔女。__わたしを、守ってくれた、先輩。
「……せんぱい?どうしたんですか?」
「…………なんでもないよ」
しがらみの魔女。かつての名は