グレー・コラージュ・ソング
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「後輩ができました!」
拍手!といつもよりだいぶ高いテンションで名字が言った。いつもはおれが一方的に呼び出してるけど今回この約束を取り付けたのは彼女だ。
玉狛に招いた日以来、やれこの店のチャーシュー麺が美味しかっただの、やれ野良猫を見つけただのお互いどうでもいいやり取りを細々と続けていた。そんな中で報告があります!と嬉しそうに連絡してきた。せっかくだから直接会って言う、とのことで今に至る。
「後輩って魔法少女の?おめでとう」
「そうだよー、ありがとう」
ぱき、と割り箸を割った。いつも奢られてるからここはわたしが出す、と連れて来られたのは、お馴染み「味自慢らーめん」だ。おしゃれなカフェとかケーキ屋とかを選ばないところが名字らしいというか何というか。ただ万が一レイジさんと出くわしたら気まずいかもしれない。そんなことをおれが考えてるともつゆ知らず、目の前の女の子は味噌バターラーメンの大盛りを啜っている。
「やっぱ一人より二人だよね。効率がぐっと上がる」
「作戦の幅も質も変わるよな、人が増えると」
「武器のタイプが違うからほんとそれ実感してるとこ」
流石ボーダー隊員、わかっていらっしゃる。そう言って彼女はレンゲの中でバターを溶かした。お互いの詳しい事情なんかは知らなくても、人外の敵と戦うという面では共通している。
「後輩と言えば玉狛 の後輩も今頑張ってるところなんだ」
「ほう?」
「目標があって、上を目指してる」
「それは素敵だ、すごく」
惰性じゃ強くなれないからね、目標があることは大事だよ。
彼女がなんてことないように口にした言葉には、リアルな重みが乗っかっているように感じた。
「名字にはあるの?目標」
「あるよ」
「絶対に倒さなきゃいけない魔女がいるの」
「……そっか」
絶対に倒さなきゃいけない敵。憶測だけどそれは親、とか大切な人の仇だったりするんだろう。例えば秀次にとってのお姉さんとか、遊真にとっての父親とか、おれにとっての母さん、とか。__おれは、母さんの仇を討ちたいんだろうか?そしてその“仇”は近界民なんだろうか?深みに落ちそうになる思考を、ぶんぶんと頭を振って取り払った。
名字はもう食べ終えたようで、メニューを凝視している。そのあまりの真剣さに口元が緩むのを感じた。仇とか考えるのどうでもよくなった。可愛い女の子と、違うアプローチで平和を守り、向かい合ってラーメンを食べる。今この瞬間、おれの世界は平穏だ。
「あ、デラックス杏仁パフェ頼もうと思うんだけど、迅くんも何か頼む?」
「お腹いっぱいだよ。見てるだけで」
拍手!といつもよりだいぶ高いテンションで名字が言った。いつもはおれが一方的に呼び出してるけど今回この約束を取り付けたのは彼女だ。
玉狛に招いた日以来、やれこの店のチャーシュー麺が美味しかっただの、やれ野良猫を見つけただのお互いどうでもいいやり取りを細々と続けていた。そんな中で報告があります!と嬉しそうに連絡してきた。せっかくだから直接会って言う、とのことで今に至る。
「後輩って魔法少女の?おめでとう」
「そうだよー、ありがとう」
ぱき、と割り箸を割った。いつも奢られてるからここはわたしが出す、と連れて来られたのは、お馴染み「味自慢らーめん」だ。おしゃれなカフェとかケーキ屋とかを選ばないところが名字らしいというか何というか。ただ万が一レイジさんと出くわしたら気まずいかもしれない。そんなことをおれが考えてるともつゆ知らず、目の前の女の子は味噌バターラーメンの大盛りを啜っている。
「やっぱ一人より二人だよね。効率がぐっと上がる」
「作戦の幅も質も変わるよな、人が増えると」
「武器のタイプが違うからほんとそれ実感してるとこ」
流石ボーダー隊員、わかっていらっしゃる。そう言って彼女はレンゲの中でバターを溶かした。お互いの詳しい事情なんかは知らなくても、人外の敵と戦うという面では共通している。
「後輩と言えば
「ほう?」
「目標があって、上を目指してる」
「それは素敵だ、すごく」
惰性じゃ強くなれないからね、目標があることは大事だよ。
彼女がなんてことないように口にした言葉には、リアルな重みが乗っかっているように感じた。
「名字にはあるの?目標」
「あるよ」
「絶対に倒さなきゃいけない魔女がいるの」
「……そっか」
絶対に倒さなきゃいけない敵。憶測だけどそれは親、とか大切な人の仇だったりするんだろう。例えば秀次にとってのお姉さんとか、遊真にとっての父親とか、おれにとっての母さん、とか。__おれは、母さんの仇を討ちたいんだろうか?そしてその“仇”は近界民なんだろうか?深みに落ちそうになる思考を、ぶんぶんと頭を振って取り払った。
名字はもう食べ終えたようで、メニューを凝視している。そのあまりの真剣さに口元が緩むのを感じた。仇とか考えるのどうでもよくなった。可愛い女の子と、違うアプローチで平和を守り、向かい合ってラーメンを食べる。今この瞬間、おれの世界は平穏だ。
「あ、デラックス杏仁パフェ頼もうと思うんだけど、迅くんも何か頼む?」
「お腹いっぱいだよ。見てるだけで」